よく言われる弱い月

米国株市場では、9月が弱い月と言われることがあります。

代表的なのが、次のような相場アノマリーです。

  • 9月アノマリー
  • セル・イン・メイ
  • 夏枯れ相場

アノマリーとは、明確な理論で完全に説明できるわけではないものの、過去に繰り返されやすい傾向のことです。

たとえばS&P 500の長期データでは、9月の平均リターンが他の月より弱いとする分析が多くあります。

ただし、これは「毎年9月に必ず下がる」という意味ではありません。

なぜ9月が弱いと言われるのか

9月が弱い理由として、よく挙げられるのは次の要因です。

  • 夏休み明けのポジション調整
  • 機関投資家のリバランス
  • 年末へ向けた資金整理
  • 決算・金利イベント前の警戒
  • 投資家心理の悪化

特に米国株では、夏休み明けに市場参加者が戻り、ポジション調整が進むことで売りが出やすいと説明されることがあります。

しかし、相場が強い年には9月でも上昇します。

つまり、月別アノマリーは参考情報であって、売買判断の主役ではありません。

10月は暴落の記憶が強い

10月は、歴史的な暴落が多い月として知られています。

代表例は次のとおりです。

出来事
1929年世界恐慌につながる株価急落
1987年ブラックマンデー
2008年リーマン危機期の急落

このため、10月は「暴落が起きやすい月」という印象を持たれやすいです。

ただし、10月は必ず弱い月というわけではありません。

むしろ過去には、10月をきっかけに底打ちして年末高へ向かった相場もあります。

重要なのは、10月そのものではなく、その時点の金利、景気、企業利益、信用不安を確認することです。

日本株と米国株では違う

月別傾向は、日本株と米国株でも変わります。

日本株

日本株は、次の要因を受けやすいです。

  • 3月・9月の決算期
  • 配当・権利落ち
  • 円高・円安
  • 日銀政策
  • 海外投資家の売買

日本株では、企業決算や為替、日銀政策の影響が大きく、米国株のアノマリーをそのまま当てはめるのは危険です。

米国株

米国株は、次の要因が重要です。

  • FRBの金融政策
  • 雇用統計
  • CPIなどインフレ指標
  • ハイテク決算
  • AI・半導体など大型テーマ

近年は、NVIDIAや大型ハイテク株の影響力が大きいため、月別アノマリーよりも決算や金利見通しが相場全体を動かすことがあります。

月より重要なもの

初心者が最も注意したいのは、

9月だから売る

10月だから危険

のように単純化しすぎることです。

本当に重要なのは、次の4つです。

要因見る理由
景気企業利益の土台になる
金利株式のバリュエーションに影響する
企業利益株価の中長期的な支えになる
市場期待好材料・悪材料の織り込み度を決める

たとえば、利下げ期待が強く、企業決算も好調であれば、9月でも株価が上がることがあります。

逆に、景気後退懸念や金融不安が強ければ、どの月でも大きく下がる可能性があります。

暴落はいつ起きるか分からない

暴落は、事前に正確に予測するのが非常に難しいです。

「そろそろ下がる」と思って売った後に、相場がさらに上昇することもあります。

逆に「まだ大丈夫」と思っている時に、急落が始まることもあります。

多くの投資家が失敗しやすいのは、次のような行動です。

  • 暴落予想だけで全売却する
  • 下落を恐れて投資を始められない
  • 上昇に乗り遅れて高値で焦って買う
  • 月別アノマリーだけで短期売買する

相場の月別傾向を見ること自体は悪くありません。

しかし、暴落を完全に避けようとするほど、かえって判断が難しくなります。

長期投資で重要な考え方

長期投資では、月別の値動きよりも、次の3つが重要です。

  • 積立
  • 分散
  • 継続

短期の月別傾向だけで売買すると、感情売買になりやすくなります。

一方で、資産配分を決めて積立を続ける方法なら、下落月も投資の一部として扱えます。

積立投資は下落にも強い

積立投資では、価格が下がった時にも買い続けます。

そのため、次のメリットがあります。

  • 安い価格で多く買える
  • 平均購入価格を下げやすい
  • タイミング判断の負担が減る

もちろん、下落中に含み損が出ることはあります。

しかし、長期資産形成では、下落局面も将来のリターンの種になる場合があります。

初心者が注意すべきこと

「○月は危険」だけ信じる

アノマリーは絶対ではありません。

過去にそういう傾向があったとしても、次も必ず同じとは限りません。

暴落予想に依存する

市場タイミングを完璧に当てるのは難しいです。

暴落を避けようとして、長期の上昇局面を逃すこともあります。

短期売買中心になる

月別アノマリーを意識しすぎると、短期売買が増えやすくなります。

売買回数が増えるほど、手数料、税金、メンタル負担も増えます。

まとめ

  • 米国株では9月が弱い月として語られやすい
  • 10月は歴史的暴落の記憶が強い
  • ただし毎年当てはまるわけではない
  • 株価は景気、金利、企業利益、市場期待で動く
  • 長期投資では積立と分散が重要

まずは、次の3つを意識すると冷静に投資しやすくなります。

  1. 月別傾向を過信しない
  2. 長期視点を持つ
  3. 暴落前提で資産配分する

投資では、

いつ下がるかを当てる

より、

下がっても続けられる設計にする

ことが大切です。

参考資料

本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。