なぜ高層ビルで節税できると言われるのか

結論から言うと、

「市場価格」と「相続税評価額」に差が出る場合がある

ためです。

相続税では、財産を時価そのものではなく、一定の評価ルールに沿って計算します。

現金はそのまま評価されますが、不動産は土地や建物の評価方法が違います。

現金は100%評価される

例えば1億円の現金を相続する場合、相続税評価も基本的に1億円です。

評価差はありません。

そのため、現金は相続税計算では分かりやすい一方、評価を圧縮しにくい資産です。

不動産は評価方法が違う

不動産は、実際の売買価格そのものではなく、次のような基準で評価します。

区分主な評価方法
土地路線価方式または倍率方式
建物固定資産税評価額を基準
賃貸物件権利関係や賃貸割合に応じて調整

このため、都市部の高額不動産では、市場価格より相続税評価額が低くなる場合があります。

高層ビル・タワーマンションで差が出やすい理由

高層階の物件は、眺望、希少性、駅近立地などにより市場価格が高くなりやすいです。

一方、相続税評価では、市場価格のすべてのプレミアムがそのまま反映されるわけではありません。

例えば、

項目金額イメージ
市場価格3億円
相続税評価2億円前後

のように差が出るケースがあります。

これが「タワマン節税」「高層不動産による相続対策」と言われる背景です。

ただしタワーマンション評価は見直されている

重要なのは、現在は昔ほど単純ではないことです。

2024年1月1日以後に相続・贈与などで取得した居住用の区分所有財産については、国税庁が「区分所有補正率」を使う評価方法を導入しています。

これは、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離を調整するための仕組みです。

つまり、

高層階のマンションを買えば必ず大きく節税できる

という考え方は、現在ではかなり危険です。

賃貸ビルは評価が下がることもある

賃貸中のビルやマンションは、所有者が自由に使えません。

そのため、相続税評価では評価減される場合があります。

代表的な考え方は、

  • 貸家建付地
  • 借家権割合
  • 賃貸割合

です。

簡単に言うと、

自由に使えない不動産は、その分だけ評価が調整されることがある

ということです。

ただし、空室が多い場合や一時的な賃貸では、想定通りに評価減できないこともあります。

なぜ富裕層に使われやすいのか

相続税は、資産規模が大きいほど影響が大きくなります。

そのため、富裕層では、

  • 現金を不動産に変える
  • 賃貸物件として運用する
  • 評価差を使って相続税負担を下げる

という設計が検討されることがあります。

特に都市部の高額不動産は、市場価格と評価額に差が出やすいとされてきました。

高層ビル投資のデメリット

1. 価格下落リスク

不動産価格は常に上がるわけではありません。

節税効果があっても、購入後に価格が下がれば、資産全体では損になる可能性があります。

2. 流動性が低い

不動産は株式のようにすぐ売却できません。

相続時に、

  • 売れない
  • 分割しにくい
  • 納税資金が足りない

という問題が起きる場合があります。

3. 維持コストが大きい

高層物件では、

  • 修繕費
  • 管理費
  • 固定資産税
  • テナント対応
  • 空室対策

などの負担が大きくなりやすいです。

節税額だけでなく、保有中のコストも見る必要があります。

初心者が誤解しやすいポイント

「高い物件ほど得」

価格が高いだけでは判断できません。

重要なのは、

  • 評価差
  • 立地需要
  • 利回り
  • 出口戦略

です。

「節税=利益」

節税できても、総合収支が悪化すれば意味がありません。

税金だけでなく、価格下落、借入金利、修繕費、空室率まで含めて判断する必要があります。

「規制前の情報が今も使える」

タワーマンション評価は見直されています。

古い節税スキームをそのまま信じるのは危険です。

実務で重要な考え方

おすすめは、

「節税」ではなく「資産全体最適」で考える

ことです。

高層ビルやマンションを検討する場合は、

  • 資産価値
  • 収益性
  • 相続人の人数
  • 納税資金
  • 売却しやすさ

をまとめて確認する必要があります。

特に相続では、評価額を下げることだけでなく、家族が困らず引き継げるかが重要です。

まとめ

  • 高層ビルは相続税評価が市場価格より低くなる場合がある
  • 現金より評価圧縮しやすいケースがある
  • 賃貸物件は貸家建付地などで評価減されることがある
  • タワーマンション評価は2024年以後見直されている
  • 節税だけで購入判断しないことが重要

まずは、

  1. 保有資産を整理する
  2. 現金比率を確認する
  3. 不動産評価と納税資金を専門家に相談する

この3つから始めると、全体像を理解しやすくなります。

出典・参考

本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。