決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前期実績 | 増減率 | 来期計画 | 見方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 325.24億円 | 324.13億円 | 0.3%増 | 380.00億円 | 期ずれ案件の売上化を計画 |
| 営業利益 | 26.53億円 | 29.85億円 | 11.1%減 | 30.00億円 | CRO増益で回復を見込む |
| 経常利益 | 58.33億円 | 64.50億円 | 9.6%減 | 60.00億円 | 持分法利益が重要 |
| 純利益 | 45.66億円 | 49.24億円 | 7.3%減 | 35.00億円 | 特別利益剥落で減益計画 |
| EPS | 109.69円 | 118.29円 | 7.3%減 | 84.07円 | 来期は純利益減を反映 |
売上は過去最高だが、営業利益と純利益は減少した。大型試験の期ずれと研究開発・人材投資をどう回収するかが中心論点である。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | 7.3%減 | 前期比 | 純利益減で低下 |
| ROIC | 2026年3月期は開示なし | 前期開示値10.4% | 会社は10%以上を重視 |
| PER推移 | 市場データ未使用 | 株価データ未取得 | 会社予想EPSでシナリオ補完 |
数字からは、CROの需要基盤は残る一方、営業利益率は9.2%から8.2%へ低下しており、成長投資の回収時期を確認する必要がある。
ポジティブ要因
売上高は過去最高
売上高は325.24億円となり、4期連続で過去最高を更新した。CROへの外部委託需要や新規創薬モダリティ関連の開発支援需要が背景にある。
CROの受注環境は底堅い
主力CRO事業では、大型試験の完了が次期へずれたものの、会社はその多くを2027年3月期に売上計上できると説明している。
営業CFは増加
営業活動によるキャッシュフローは83.27億円で、前期70.35億円から増加した。投資負担は大きいが、営業面の資金創出は維持している。
配当は維持予定
年間配当は50円で、来期も50円を予定する。来期配当性向は59.5%の見込みで、純利益減計画下でも還元姿勢を維持する形である。
リスク要因
CRO案件の期ずれ
主力CRO事業で大型試験の完了が2027年3月期へずれた。次期に売上計上できない場合、増収計画の前提が弱まる可能性がある。
先行投資負担が重い
人材強化、実験施設拡大、NHP繁殖体制、DXなどの投資によりコストが増加している。売上成長が遅れる場合、営業利益率が下押しされる。
Satsuma社の損失拡大
経鼻片頭痛薬「Atzumi」の市場導入に向け、Satsuma社の営業損失は来期35.28億円を織り込む。事業価値顕在化には時間差がある。
特別利益の剥落
2026年3月期には補助金収入8.00億円が含まれる。来期は特別利益を見込まないため、本業の収益力とは異なる要因が含まれています。
財務安全性
総資産は1050.55億円、純資産は434.89億円、自己資本比率は41.0%である。自己資本比率は前期43.3%から低下したが、30-50%の中位水準を保つ。流動比率は約109.3%で標準的、有利子負債を含む資金需要は拡大している。営業CFは83.27億円のプラスで、投資先行期としては資金創出力を維持している。
業界動向との関連
CRO業界では研究開発の外部委託や新規創薬モダリティの開発支援需要が続く。一方、創薬開発は案件ごとの完了時期や顧客投資姿勢に左右される。当該業界は研究開発サイクルの影響を受けるため、業績は一定ではありません。
株価への示唆
株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。市場株価データは使用せず、会社予想EPS84.07円にシナリオPERを掛けた条件付き試算とする。CRO案件の売上化とSatsuma社費用の管理が進む場合は上位シナリオに近づく可能性がある一方、期ずれが続く場合は評価倍率が低下する可能性がある。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 10.0倍 | 84.07円 | 841円 |
| 中立 | 14.0倍 | 84.07円 | 1177円 |
| 強気 | 18.0倍 | 84.07円 | 1513円 |
今期の総括
2026年3月期は売上最高を維持したが、利益はCROの期ずれと先行投資で減少した。需要テーマは残るものの、営業利益率低下を伴う増収であり、投資回収の確認が必要である。
来期見通し
2027年3月期は売上高380.00億円、営業利益30.00億円、経常利益60.00億円、純利益35.00億円を計画する。CRO事業の期ずれ案件の売上化を見込む一方、Satsuma社費用や特別利益剥落で純利益は減益計画である。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。売上最高と営業CF増加は評価材料だが、EPSは減少し、来期も純利益減の計画である。次回決算では、CRO売上の回復、Satsuma社の費用水準、営業利益率の改善を確認したい。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」、株式会社新日本科学、2026年5月11日開示