決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上高2,283.73億円2,131.31億円+7.2%2,419.00億円-
営業利益693.66億円647.56億円+7.1%744.00億円-
純利益479.26億円453.46億円+5.7%497.00億円-
EPS54.11円50.90円+6.3%56.20円-

国内ECが堅調に伸び、通期では増収増益を確保した。ただし、LYST連結で粗利率は低下しており、単純な利益の質はやや変化している。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率+6.3%前年同期比利益成長は続くが、高成長というより安定成長の局面にある
ROIC開示なし-短信冒頭ではROICの開示がなく、ここでは推計を置かない
PER推移現在約18.4倍2026年5月8日時点の株価1,033円、会社予想EPS56.20円国内ECの安定性と海外展開の不確実性を併せて織り込む水準とみられる

数字から見ると、国内事業は底堅いが、株価は海外展開の成功余地を過度には織り込んでいない中立的な評価に見える。

ポジティブ要因

商品取扱高が伸びた

商品取扱高は6,660億円で前期比8.4%増、その他商品取扱高除くベースでも12.4%増となった。ZOZOTOWNとLINEヤフーコマースの販売力が引き続き強い。

営業利益率は高水準を維持した

営業利益率は30.4%で前期と同水準を維持した。LYST統合による粗利率低下があっても、高収益モデルは崩れていない。

財務基盤が厚い

自己資本比率は53.9%で、純資産は1,068億円まで拡大した。EC企業として財務余力は高い部類である。

来期も増収増益計画

2027年3月期は売上高2,419億円、営業利益744億円、純利益497億円を計画している。国内の安定成長が前提なら、達成可能性は一定程度ある。

リスク要因

LYSTは計画未達だった

LYSTは欧米ラグジュアリー市場の不調や米関税制度変更を背景に計画未達となった。海外展開の収益化には不確実性が残る。

粗利率は低下した

粗利率は33.0%となり、前期比1.5ポイント低下した。LYSTの成果報酬型モデルによる事業構成変化が主因で、利益の見え方は従来と異なる。

特別損失を計上している

MSやMade by ZOZOなど当社グループが商材を発注・生産する事業の終了に伴い、合計7.27億円の特別損失を計上した。本業の収益力とは異なる要因が含まれています。

キャッシュは減少した

営業CFは525億円の黒字だが、投資CFは289億円の赤字、財務CFは458億円の赤字で、期末現金は694億円まで減少した。M&A後の資金配分が重要になる。

財務安全性

自己資本比率は53.9%で高く、純資産も拡大している。営業CFは525億円の黒字で収益力は高い一方、投資CFと財務CFの支出により現金残高は減少した。財務安全性はなお高いが、海外投資後の回収状況は継続確認が必要である。

業界動向との関連

国内ファッションECは安定成長を続ける一方、海外ラグジュアリー市場や為替、広告効率の変化で採算が揺れやすい。ZOZOは国内基盤が強いが、LYST統合で業績の読み方が従来より複雑になっている。

株価への示唆

前提は、2027年3月期会社予想EPS56.20円、2026年5月8日時点の株価1,033円で、予想PERは約18.4倍である。国内ECの安定感に対しては妥当水準にも見えるが、海外M&Aの成果が読みにくいため、上方に大きく振れにくい可能性もある。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。

シナリオ想定PER予想EPS理論株価
弱気16倍56.20円899円
中立18倍56.20円1,012円
強気21倍56.20円1,180円

上記は国内ECの成長が続き、LYSTの収益性が悪化しないことを前提にした試算である。海外事業の立ち上がりが遅れる場合は弱気シナリオに近づく可能性があり、広告効率改善や海外回復が進む場合は強気シナリオもあり得る。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。

今期の総括

2026年3月期は、国内ECの堅調さで増収増益を確保した一方、海外展開の影響で事業構成と粗利率が変化した。収益の安定性はあるが、次の成長源の見極めが必要な決算である。

来期見通し

会社は2027年3月期に売上高2,419億円、営業利益744億円、経常利益744億円、純利益497億円、EPS56.20円を計画している。増収増益計画ではあるが、国内基盤に加え、LYSTを含む海外事業が収益を毀損しないことが前提となる。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。

総合判断

総合判断は中立である。国内事業の高収益性と財務安全性は評価できるが、海外M&Aの収益性と粗利率低下の影響を見極める必要があるためだ。次回決算では、LYSTの改善度合いと国内EC成長の持続が焦点となる。

出典

本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。

  • 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2026年4月30日開示
  • 補足市場データ: 株価、予想PERは市場データを参照して、算出されています(2026年5月8日時点)
本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。