決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 7,374.41億円 | 7,244.54億円 | +1.8% | 7,850.00億円 | - |
| 営業利益 | 537.59億円 | 484.79億円 | +10.9% | 600.00億円 | - |
| 純利益 | 402.57億円 | 121.68億円 | +230.8% | 460.00億円 | - |
| EPS | 243.01円 | 71.73円 | +238.8% | 279.78円 | - |
営業利益は2桁増となり、純利益は前期低水準の反動もあって大きく伸びた。来期も増益計画だが、中国住設の再建が重要である。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +238.8% | 前年同期比 | 前期低水準の反動が大きく、営業利益の伸びと分けてみる必要がある |
| ROIC | 開示なし | - | 短信冒頭ではROICの開示がなく、ここでは推計を置かない |
| PER推移 | 現在約24.8倍 | 2026年5月8日時点の株価6,932円、会社予想EPS279.78円 | 半導体向け成長と住設の立て直し期待を織り込む水準とみられる |
数字から見ると、本業の営業増益は確かだが、純利益の伸びは営業利益以上に大きく、評価は慎重に分けてみる必要がある。
ポジティブ要因
セラミック事業が大きく伸びた
新領域のセラミック事業は売上高674億円で前期比34.0%増、営業利益289億円で同41.7%増となった。AI需要拡大を背景に、半導体製造装置向けセラミック製品の販売が拡大した。
全社の営業利益率が改善した
営業利益率は6.7%から7.3%へ改善した。売上の伸びは小幅でも、収益性改善が伴っている点は前向きである。
アジア・オセアニア住設は好調だった
海外住設のうちアジア・オセアニアは売上高549億円で前期比9.3%増、営業利益102億円で同24.3%増となった。高級ブランドとしての認知を活かした販売が進んでいる。
財務安全性は高い
自己資本比率は63.8%と高く、営業CFも712億円の黒字を維持した。住宅設備企業としては財務余力が大きい。
リスク要因
中国住設は赤字が続いている
中国大陸事業は売上高538億円で前期比19.5%減、営業損失は69億円と赤字が拡大した。市場変化への対応と構造改革が急務である。
日本住設は営業減益である
日本住設事業の営業利益は202億円で前期比7.5%減となった。高付加価値提案は進む一方、各種コストアップが利益を圧迫している。
純利益の伸びは営業利益以上に大きい
営業利益が10.9%増に対し、純利益は230.8%増となった。前期の純利益水準が低かった反動も大きく、営業面の改善と最終利益の伸びは分けて評価する必要がある。
住宅設備業界は地域ごとの需要差が大きい
米州、アジア、欧州、中国で事業環境が大きく異なり、中国市況の停滞や住宅市場の弱さがグローバル住設全体の重しになりうる。
財務安全性
自己資本比率は63.8%で非常に高く、純資産は5,339億円を維持している。営業CFは712億円の黒字、投資CFは218億円の赤字で、フリーCFも十分に確保されている。有利子負債依存の高さは短信冒頭からは見えず、財務安全性は高いと評価できる。
業界動向との関連
住宅設備は地域別需要のばらつきが大きい一方、TOTOは半導体向けセラミックという別軸の成長源を持つ。今回の決算でも、住設の地域差を新領域事業が補う構図が鮮明で、一般的な住宅設備会社とはやや異なる利益構成になっている。
株価への示唆
前提は、2027年3月期会社予想EPS279.78円、2026年5月8日時点の株価6,932円で、予想PERは約24.8倍である。高PERは半導体向けセラミックの成長期待を映す一方、中国住設再建の不確実性も残る。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 20倍 | 279.78円 | 5,596円 |
| 中立 | 25倍 | 279.78円 | 6,995円 |
| 強気 | 28倍 | 279.78円 | 7,834円 |
上記は半導体向けセラミック需要が継続し、中国住設の赤字縮小が進むことを前提にした試算である。中国再建が遅れる場合は弱気シナリオに近づく可能性があり、セラミック事業の高成長が続く場合は強気シナリオもあり得る。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
今期の総括
2026年3月期は、住宅設備の地域差が大きい中で、半導体向けセラミック事業が全社成長を牽引した。純利益の伸びは大きいが、まずは営業利益の2桁増と高い財務安全性を基礎に評価すべき決算である。
来期見通し
会社は2027年3月期に売上高7,850億円、営業利益600億円、経常利益585億円、純利益460億円、EPS279.78円を計画している。営業利益は前期比11.6%増と引き続き2桁成長を見込むが、中国住設の立て直しとセラミック事業の高成長継続が前提となる。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。営業利益の改善と高い財務安全性は評価できるが、中国住設の赤字が重く、PERも成長期待をある程度織り込んでいるためだ。半導体向けセラミックの拡大がどこまで全社利益を押し上げ続けるかが次の焦点になる。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2026年4月30日開示
- 補足市場データ: 株価、予想PERは市場データを参照して、算出されています(2026年5月8日時点)