決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 3,311.09億円 | 2,997.95億円 | +10.4% | 3,867.00億円 | 対象外 |
| 営業利益 | 72.68億円 | 48.34億円 | +50.4% | 121.60億円 | 対象外 |
| 経常利益 | 56.20億円 | 37.49億円 | +49.9% | 113.80億円 | 対象外 |
| 純利益 | 36.80億円 | 6.99億円 | +426.4% | 88.40億円 | 対象外 |
| EPS | 93.01円 | 17.48円 | +432.1% | 223.39円 | 対象外 |
通期決算のため、会社計画欄には2027年3月期通期予想を置き、進捗率は対象外とした。EPSの増減率は、当期EPSと前年同期EPSから計算している。
定量評価
営業利益率は2.2%で、前年同期の1.6%から改善した。アルミニウム二次合金事業は原料価格や販売価格の影響を受けやすいため、利益率の絶対水準は高くないが、前年からの改善幅は大きい。
ROEは4.9%で、前年の1.0%から改善した。純利益が大きく増えた一方、自己資本比率は42.9%と前期末の44.7%からやや低下している。
ポジティブ要因
売上面では、アルミニウム二次合金地金が1,979.90億円、商品・原料他が1,331.19億円となった。LME価格上昇や需要の底堅さが売上を押し上げている。
利益面では、国内でスクラップ価格の高止まりがあったものの、製品・商品の需要が堅調だった。海外でも販売価格の是正や材料転換が進み、収益が回復軌道に入っている。
営業キャッシュ・フローは18.67億円の流入となり、前年のマイナスから改善した。
リスク要因
最大のリスクは、アルミスクラップ価格と販売価格のスプレッドである。スクラップ発生減や低炭素原料としてのスクラップ需要増により、原料コストが高止まりすると利益率が圧迫される。
主要顧客である自動車・輸送機器関連の生産動向も重要である。米国の通商政策、中東情勢、物流混乱などで自動車メーカーが減産すれば、販売数量に影響する可能性がある。
また、営業キャッシュ・フロー対有利子負債比率は39.7年、インタレスト・カバレッジ・レシオは1.0倍と、キャッシュ創出力に対する財務負荷は軽くない。
財務安全性
総資産は1,778.64億円、純資産は771.02億円、自己資本比率は42.9%だった。自己資本比率は一定水準を維持しているが、流動負債の増加と短期借入金の増加には注意が必要である。
営業キャッシュ・フローは18.67億円の流入、投資キャッシュ・フローは51.82億円の流出、財務キャッシュ・フローは50.76億円の流入だった。現金及び現金同等物は89.36億円となった。
業界動向との関連
アルミニウム二次合金業界は、自動車生産、LME価格、スクラップ需給、為替、エネルギー価格の影響を強く受ける。脱炭素の流れはリサイクル原料であるアルミスクラップ需要を押し上げる一方、原料調達競争を激しくする。
大紀アルミニウム工業所は国内外に生産拠点を持ち、原材料選別や販売価格是正で採算改善を進めている。市況改善局面では収益が伸びやすいが、逆回転時の利益変動も大きい。
株価への示唆
今回の決算は、大幅増益と次期増益計画という点でポジティブである。特に次期営業利益121.60億円は、当期比で67.3%増を見込む強い計画である。
一方で、市況連動性が高いため、株価はアルミ価格、スクラップ価格、自動車生産見通しに左右されやすい。利益計画の達成には、原料高を販売価格へ転嫁できるかが重要になる。
今期の総括
2026年3月期は、売上高、営業利益、経常利益、純利益がそろって増加した。海外事業の収益回復も進み、前年からの改善は明確である。
ただし、利益改善は市況要因の影響も大きい。今後はキャッシュ創出力と有利子負債負担のバランスを確認したい。
来期見通し
会社は2027年3月期に売上高3,867.00億円、営業利益121.60億円、純利益88.40億円を見込む。増収増益計画であり、アルミ市況と自動車関連需要の底堅さが前提になる。
リスクとしては、中東情勢、エネルギー価格、サプライチェーン混乱、スクラップ価格の高止まりが挙げられる。
総合判断
総合判断は「強気寄り」である。実績は大幅増益で、次期計画も強い。ただし、市況産業として利益変動が大きく、財務キャッシュ・フローへの依存も残る。
投資判断では、アルミ価格とスクラップ価格のスプレッド、営業キャッシュ・フローの改善継続を重視したい。
出典
- 大紀アルミニウム工業所「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」2026年5月14日開示