決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上高8兆2,658.41億円7兆7,901.68億円+6.1%開示なし-
営業利益2,566.70億円2,723.10億円-5.7%開示なし-
純利益5,438.52億円5,029.65億円+8.1%5,800.00億円93.8%
EPS330.42円302.78円+9.1%354.67円-

収益は伸びたが、本業の営業利益は減益で、最終利益は評価益を含めて押し上げられた構図である。増益でも内訳の確認が欠かせない。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率+9.1%前年同期比1株利益は伸びたが、営業利益減益との乖離があり、利益の質を見極める必要がある
ROIC開示なし-短信冒頭ではROICの開示がなく、ここでは会社開示外の単純推計を置かない
PER推移現在約15.3倍2026年5月8日時点の株価5,433円、会社予想EPS354.67円来期増益を織り込みつつ、過度な過熱感まではない水準とみられる

数字から見ると、株価は営業利益よりも最終利益と来期増益計画を重視している可能性が高い。

ポジティブ要因

収益は6.1%増と堅調だった

金属、食料・アグリ、次世代事業開発が増収に寄与し、収益は8兆2,658億円まで拡大した。商社としての事業分散が増収を支えた。

持分法利益が増えた

持分法投資損益は3,383億円で前期比454億円増となった。チリ銅事業の増益や、前期減損の反動が寄与している。

金融・不動産セグメントが大きく伸びた

金融・リース・不動産は前期比1,029億円増益となった。国内不動産事業統合に伴う評価益や売却益が利益を押し上げた。

自己資本比率が改善した

親会社所有者帰属持分比率は39.4%から41.4%へ上昇した。資本合計も4兆5,138億円に増加し、財務の厚みは増している。

リスク要因

営業利益は減益だった

営業利益は2,567億円で前期比5.7%減となった。販管費増加が売上総利益の増加を打ち消しており、本業面だけを見ると楽観はしにくい。

最終利益には評価益が含まれる

第一生命グループとの国内不動産事業統合に伴う評価益765億円や売却益が当期利益を押し上げた。本業の収益力とは異なる要因が含まれています。

エネルギー・化学品は大幅減益だった

エネルギー・化学品は630億円減益で、前期のカタールLNG事業に伴う為替換算調整勘定の実現益反動や、石油・ガス開発事業の評価損が響いた。

総合商社は景気循環の影響を受けやすい

商品価格や市況、投資先評価で利益が動きやすい。特に金属やエネルギーの比重があるため、当該業界は景気循環の影響を強く受けるため、業績は一定ではありません。

財務安全性

親会社所有者帰属持分比率は41.4%で、前期の39.4%から改善した。営業CFは5,354億円のプラスで資金創出力は維持されている一方、投資CFは1,180億円のマイナス、財務CFは4,662億円のマイナスで、株主還元と投資を並行している。現金同等物は5,511億円を確保しており、短期流動性には一定の余裕がある。

業界動向との関連

丸紅の業績は、商品市況と投資案件の評価益・減損の影響を大きく受ける。今回も金属や食料・アグリが伸びた一方、エネルギー・化学品が逆風となっており、商社業界らしい分散と変動の両面が表れた決算といえる。

株価への示唆

前提は、2027年3月期会社予想EPS354.67円、2026年5月8日時点の株価5,433円で、予想PERは約15.3倍である。来期増益が達成されれば極端な割高感はないが、評価益寄与が大きかった当期からの質の転換が重要になる。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。

シナリオ想定PER予想EPS理論株価
弱気13倍354.67円4,611円
中立15倍354.67円5,320円
強気17倍354.67円6,029円

上記は来期に本業利益が底堅く、評価益の反動が限定的であることを前提にした試算である。資源市況の悪化や大型案件の減損が出る場合は弱気シナリオに近づく可能性があり、逆に食料・金属・金融不動産の収益が続く場合は強気シナリオもあり得る。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。

今期の総括

2026年3月期は、増収増益で着地した一方、営業利益は減少しており、本業と一時要因を切り分ける必要がある決算だった。財務面は改善しているが、利益の質の精査が今後も必要である。

来期見通し

会社は2027年3月期に親会社帰属利益5,800億円、EPS354.67円、年間配当115円を計画している。利益は前期比6.6%増の見通しであり、本業の改善が伴うかが焦点になる。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。

総合判断

総合判断は中立である。EPSは増加し、自己資本比率も41.4%まで改善したが、営業利益は減益で、最終利益には評価益が含まれるためである。来期に本業の利益厚みが確認できるかが次の注目点となる。

出典

本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。

  • 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)、2026年5月1日開示
  • 補足市場データ: 株価、予想PERは市場データを参照して、算出されています(2026年5月8日時点)
本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。