決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 11兆5,619.35億円 | 10兆3,095.50億円 | +12.1% | - | - |
| 営業利益 | 5,452.35億円 | 4,971.74億円 | +9.7% | - | - |
| 純利益 | 3,991.87億円 | 3,882.46億円 | +2.8% | 4,000.00億円 | - |
| EPS | 350.95円 | 343.40円 | +2.2% | 426.58円 | - |
収益成長は強いが、利益成長率は相対的に小さい。投資拡大と利益率のバランスが論点となる。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +2.2% | 前年同期比 | 利益成長は堅調だが、増収率より小さい |
| ROIC | 開示なし | - | 決算短信ではROICの開示がなく、ここでは推計を置かない |
| PER推移 | 約15.9倍 | 2026年5月8日時点の株価6,792円、会社予想EPS426.58円 | 商社株としてはやや高めで、成長投資期待を織り込む水準に見える |
資本効率は高いものの、親会社所有者帰属持分利益率は14.2%から12.8%へ低下しており、規模拡大がそのまま効率向上にはつながっていない。
ポジティブ要因
収益規模が大きく伸びた
収益は前期比12.1%増の11兆5,619億円となった。営業活動に係る利益も9.7%増で、基礎収益力は拡大している。
成長投資のテーマが明確である
グリーンスチール原料の電解鉄、再資源化事業、車載アルミ部品、再エネ、グリーンデータセンターなど、脱炭素と産業高度化に沿った投資を進めている。
財務余力は厚い
現金及び現金同等物は1兆4,037億円と大きく、親会社所有者帰属持分比率も37.0%を維持している。大型投資をこなしやすい財務基盤である。
配当は引き上げ継続
2026年3月期配当は120円、2027年3月期予想は125円である。還元姿勢は継続している。
リスク要因
利益率の改善は限定的である
収益は12.1%増でも、親会社帰属利益の伸びは2.2%にとどまる。規模拡大に対して利益の伸びがやや鈍い。
世界景気と通商政策の影響を受けやすい
短信でも米国関税措置や中東・ウクライナ情勢を不確実性要因として挙げている。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
投資回収リスクがある
Radius Recycling買収や再エネ・データセンターなど、先行投資案件が多い。成長投資が予定どおり収益化しない場合は効率低下につながる。
個別利益には株式売却益が含まれる
個別業績では豊田自動織機株売却に伴う投資有価証券及び出資金売却益の増加が示されている。連結評価では本業の収益力とは異なる要因が含まれています。
財務安全性
資産合計は8兆5,236億円、親会社所有者帰属持分は3兆1,575億円、持分比率は37.0%である。営業CFは4,611.68億円の黒字、投資CFは281.08億円の赤字、財務CFは332.62億円の赤字で、資金余力を維持しながら投資と還元を進めている。
業界動向との関連
総合商社は資源・物流・自動車・電力・食料など広範な景気の影響を受ける一方、新規投資の成果で収益構造が変わりやすい。豊田通商は脱炭素、循環経済、再エネの比重を高めており、伝統的商社より成長投資色が強い。
株価への示唆
前提は、2027年3月期会社予想EPS426.58円、2026年5月8日時点の株価6,792円で、予想PERは約15.9倍である。商社株としてはやや高いが、再エネ・循環経済への成長期待を市場が織り込んでいる可能性がある。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 13倍 | 426.58円 | 5,546円 |
| 中立 | 16倍 | 426.58円 | 6,825円 |
| 強気 | 18倍 | 426.58円 | 7,678円 |
成長投資の回収が順調で、増益が続く場合は強気シナリオに寄りやすい。一方、世界景気や通商環境の悪化で投資回収が遅れる場合は弱気シナリオに近づく可能性がある。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
今期の総括
2026年3月期は、成長投資を進めながら増収増益と増配を実現した。規模の拡大は評価できるが、今後は資本効率と回収スピードがより重要になる。
来期見通し
会社は2027年3月期に親会社帰属利益4,000億円、EPS426.58円、年間配当125円を見込んでいる。増益継続計画だが、外部環境と投資回収の進捗が前提となる。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。成長投資テーマと還元姿勢は評価できるが、効率指標はやや低下しており、商社株としては株価評価もやや高めなためだ。次回決算では、投資先の利益貢献度合いが焦点になる。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)、2026年4月30日開示
- 補足市場データ: 株価は市場データを参照しています。株価への示唆は会社予想EPSを用いて算出しています(2026年5月8日時点)