決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 18兆9,159.95億円 | 18兆6,176.01億円 | +1.6% | 開示なし | - |
| 営業利益 | 開示なし | 開示なし | - | 開示なし | - |
| 純利益 | 8,004.60億円 | 9,507.09億円 | -15.8% | 1兆1,000.00億円 | 72.8% |
| EPS | 210.92円 | 236.97円 | -11.0% | 300.42円 | - |
収益は微増だったが、前期に計上した再評価益や売却益の反動で利益は減少した。来期は大幅増益計画を示すものの、反動要素の剥落も含めて見る必要がある。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | -11.0% | 前年同期比 | 利益は減少したが、来期会社予想EPS300.42円への回復計画が市場評価の前提になっている |
| ROIC | 開示なし | - | 短信冒頭ではROICの開示がなく、ここでは会社開示外の単純推計を置かない |
| PER推移 | 現在約17.3倍 | 2026年5月8日時点の株価5,192円、会社予想EPS300.42円 | 来期回復を織り込む水準で、利益の質が問われやすい |
数字から見ると、足元は減益決算だが、株価は来期回復シナリオをある程度前提にしていると考えられる。
ポジティブ要因
収益規模は維持拡大した
収益は18兆9,160億円で前期比1.6%増となった。ローソンの持分法適用会社化に伴う減少要因がありながら、市況上昇が全体収益を押し上げた。
持分法投資損益は増加した
持分法投資損益は4,679億円で前期の3,375億円から増加した。銅事業での減損損失一部戻入れや、洋上風力発電事業の前期減損反動などが寄与している。
電力ソリューションは改善した
電力ソリューションの当期利益は434億円で、前期の156億円赤字から改善した。前期の減損損失等の反動に加え、米州・欧州のトレーディング事業利益増加が寄与した。
来期は大幅増益計画を示した
2027年3月期の親会社帰属利益は1兆1,000億円、EPSは300.42円を計画している。減益の翌期に明確な回復シナリオを示した点は、市場の注目材料になりやすい。
リスク要因
前期の反動で利益が見えにくい
前期はローソン持分法適用会社化に伴う再評価益や豪州原料炭事業の売却益が含まれていた。当期の減益はその反動が大きく、本業の収益力とは異なる要因が含まれています。
資源と素材は減益だった
マテリアルソリューションは420億円減益、金属資源は233億円減益となった。市況下落や減損が重なり、資源市況への感応度の高さが改めて示された。
モビリティとS.L.C.も反動減が出た
モビリティは548億円減益、S.L.C.は940億円減益となった。前期の再編・再評価要因が剥落すると、見かけ上の利益水準が大きく変わる構造がある。
総合商社は景気循環の影響を受けやすい
資源価格、金利、為替、投資先企業の業況で利益が変動しやすい。当該業界は景気循環の影響を強く受けるため、業績は一定ではありません。
財務安全性
親会社所有者帰属持分比率は39.1%で、前期の43.6%から低下したが、資本合計は10兆2,505億円を維持している。営業CFは1兆4,900億円のプラスで高水準だが、投資CFは4,486億円のマイナス、財務CFは8,047億円のマイナスで、投資と株主還元を並行して進めている。現金同等物は1兆8,415億円まで増加しており、短期の流動性は厚い。
業界動向との関連
総合商社は、資源市況と投資先の評価益・減損、再編益の有無で利益が大きく動く。三菱商事の当期減益も、ローソンや豪州原料炭など前期特殊要因の反動色が強く、単年度の表面利益だけで評価しにくい業界特性が表れている。
株価への示唆
前提は、2027年3月期会社予想EPS300.42円、2026年5月8日時点の株価5,192円で、予想PERは約17.3倍である。来期回復計画を前提にすれば高すぎる水準とは言い切れないが、前期反動減からの戻りをどこまで信頼できるかが焦点となる。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 14倍 | 300.42円 | 4,206円 |
| 中立 | 17倍 | 300.42円 | 5,107円 |
| 強気 | 19倍 | 300.42円 | 5,708円 |
上記は資源価格が大きく崩れず、来期利益計画が概ね達成されることを前提にした試算である。市況悪化や投資先減損が発生する場合は弱気シナリオに近づく可能性があり、逆に持分法利益の上振れや非資源分野の改善が進む場合は強気シナリオもあり得る。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
今期の総括
2026年3月期は、収益規模を維持しながらも、前期の特殊利益の反動で最終利益が減少した。表面上の減益だけでなく、どの利益が恒常的で、どの利益が一時的かを分けて見る必要がある決算である。
来期見通し
会社は2027年3月期の親会社帰属利益を1兆1,000億円、EPSを300.42円と計画している。前期比37.4%増と高い伸び率だが、当期にあった反動減の剥落も含むため、単純な成長加速とは言い切れない。資源市況、投資先収益、減損の有無が達成の前提になる。
総合判断
総合判断は中立である。減益着地ではあるが、来期は大幅増益計画を示しており、株価もその回復をある程度織り込んでいる。ただし、利益の変動要因に一時要因が多く、資源・投資先の市況感応度も高いため、回復の質を見極める必要がある。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔IFRS〕(連結)、2026年5月1日開示
- 補足市場データ: 株価、予想PERは市場データを参照して、算出されています(2026年5月8日時点)