決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前期実績 | 増減率 | 来期計画 | 見方 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆4236.89億円 | 2兆5887.00億円 | 6.4%減 | 2兆6050.00億円 | 来期は増収計画 |
| 営業利益 | 1386.01億円 | 2108.20億円 | 34.3%減 | 1450.00億円 | 小幅回復を計画 |
| 経常利益 | 2111.35億円 | 4908.66億円 | 57.0%減 | 1850.00億円 | 持分法利益の反動が重い |
| 純利益 | 2117.50億円 | 4777.07億円 | 55.7%減 | 1950.00億円 | 来期も減益計画 |
| EPS | 504.85円 | 1070.32円 | 52.8%減 | 464.91円 | 利益水準は低下 |
海運市況の反動で大幅減益となった。売上・営業利益は来期回復を見込むが、経常利益と純利益はさらに減少する計画である。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | 52.8%減 | 前期比 | 定期船市況の反動で低下 |
| ROIC | 開示なし | 決算短信に記載なし | ROE7.1%で補完 |
| PER推移 | 市場データ未使用 | 株価データ未取得 | 会社予想EPSでシナリオ補完 |
数字からは、営業利益率は8.1%から5.7%に低下し、ROEも17.1%から7.1%へ下がった。利益水準はなお大きいが、ピークアウト感が強い。
ポジティブ要因
エネルギー事業は増益
エネルギー事業は売上高2369億円、経常利益544億円となり増収増益だった。VLCC、VLGC、石油製品タンカー、LNG船が支えた。
営業CFは高水準
営業活動によるキャッシュフローは4733.58億円のプラスである。前期比では減少したが、船舶投資と株主還元を支える資金創出力は残る。
財務基盤は厚い
自己資本比率は59.1%、D/Eレシオは0.39である。自己資本比率は前期より低下したが、海運業としては厚い財務基盤を維持している。
配当下限を維持
年間配当は230円で、来期は200円を予定する。配当は減少するが、会社方針の年間下限200円を維持する計画である。
リスク要因
定期船市況の反動
定期船事業の経常利益は前期2743億円から497億円へ大きく減少した。コンテナ船運賃の下落が利益水準を押し下げた。
持分法利益への依存
営業外収益の持分法投資利益は850億円で、ONE社分は190億円だった。市況変動が持分法利益を通じて経常利益を大きく動かす。
航空運送事業の連結除外
日本貨物航空の株式交換により、第2四半期以降の業績に同社を含まない。航空運送事業は売上高が大幅に減少した。
市況・為替・燃料価格の変動
来期予想は通期為替155円、燃料価格741.08米ドルを前提とする。中東情勢や燃料価格が変動する場合、実績が下振れる可能性がある。
財務安全性
総資産は5兆2016.70億円、純資産は3兆1434.37億円、自己資本比率は59.1%である。前期67.6%から低下したが、50%以上の高い水準である。有利子負債は1兆2014億円、D/Eレシオは0.39にとどまる。営業CFは4733.58億円のプラスで、投資CFは船舶取得などにより3712.38億円の支出となった。
業界動向との関連
海運業はコンテナ船、バルカー、タンカー、自動車船などの市況循環、為替、燃料価格、中東情勢、通商政策の影響を強く受ける。当該業界は景気循環の影響を強く受けるため、業績は一定ではありません。
株価への示唆
株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。市場株価データは使用せず、会社予想EPS464.91円に海運株としてのシナリオPERを掛けた条件付き試算とする。定期船市況の悪化が止まり、エネルギー事業の増益が続く場合は上位シナリオが意識される可能性がある一方、市況反落や燃料高が続く場合は下振れリスクがある。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 5.0倍 | 464.91円 | 2325円 |
| 中立 | 7.0倍 | 464.91円 | 3254円 |
| 強気 | 9.0倍 | 464.91円 | 4184円 |
今期の総括
2026年3月期は定期船市況の反動で大幅減益となった。エネルギー事業や営業CFは支えになったが、経常利益と純利益は前期の高水準から大きく低下した。
来期見通し
2027年3月期は売上高2兆6050.00億円、営業利益1450.00億円、経常利益1850.00億円、純利益1950.00億円を計画する。増収営業増益だが、定期船や物流の一部で利益低下を見込む。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。自己資本比率59.1%と営業CFの大きさは評価できるが、EPSは大きく低下し、来期も純利益減の計画である。次回は定期船市況、ONE社利益、燃料価格前提を確認したい。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信を基に作成しています。
- 「2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)」、日本郵船株式会社、2026年5月11日開示