決算サマリー

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上高2兆5,392.33億円2兆2,618.56億円+12.3%2兆7,700.00億円-
営業利益2,174.37億円1,966.39億円+10.6%1,500.00億円-
純利益1,690.75億円1,530.27億円+10.5%960.00億円-
EPS358.37円325.58円+10.1%209.28円-

航空事業を中心に旅客需要を取り込み、通期は増収増益で着地したが、来期は中東情勢など外部要因を踏まえ減益計画となっている。

定量評価

指標直近実績比較対象見方
EPS成長率+10.1%前年同期比利益成長は続いているが、来期会社予想EPSは209.28円まで低下する前提で持続性には注意がいる
ROIC開示なし-短信冒頭ではROICの開示がなく、ここでは単純推計を置かない
PER推移現在約13.6倍2026年5月8日時点の株価2,844円、会社予想EPS209.28円増収継続を見込む一方、減益計画も織り込む水準とみられる

数字から見ると、足元の営業実績は堅調だが、株価は来期減益をどこまで吸収できるかを見極める局面にある。

ポジティブ要因

国際線と国内線の旅客需要が伸びた

会社開示では、訪日需要と日本発レジャー需要の取り込みで国際線旅客数は902万人と前期比11.8%増となった。国内線もセール施策や需給適合で旅客数と収入が前期を上回った。

航空事業の利益成長が続いた

航空事業の売上高は2兆3,132億円で前期比12.4%増、営業利益は2,219億円で同11.5%増となった。燃油費や人件費の増加があっても、需要拡大が利益を押し上げた。

貨物分野の拡大余地が広がった

日本貨物航空の全株式取得により、旅客便と貨物便のネットワークを組み合わせた収益拡大を目指す体制を整えた。短期寄与だけでなく、中長期の収益基盤強化として注目される。

自己資本比率が改善した

純資産は1兆5,026億円、自己資本比率は31.2%から37.7%へ改善した。財務面ではコロナ後の回復局面から、平常化に向けた体力回復が進んでいる。

リスク要因

来期は大幅減益計画である

2027年3月期の会社計画は売上高2兆7,700億円と増収見通しだが、営業利益は1,500億円で前期比31.0%減、純利益は960億円で同43.2%減を見込む。増収でも利益率の低下が前提になっている。

地政学と燃油価格の不確実性が高い

短信では中東情勢や米国の通商政策の影響に留意が必要とされている。航空業界は外部環境の変化を受けやすく、燃油費や国際線需要の変動で利益が大きく振れやすい。

キャッシュは減少している

営業CFは4,434億円のプラスを維持したが、投資CFは4,152億円のマイナスで、期末現金は7,363億円と前期末から減少した。成長投資の継続が資金繰りに与える影響は確認が必要だ。

航空業界は景気循環の影響を受けやすい

訪日需要とレジャー需要が堅調でも、景気減速や国際情勢悪化で搭乗率や単価が変動しやすい。当該業界は景気循環の影響を強く受けるため、業績は一定ではありません。

財務安全性

自己資本比率は37.7%で前期の31.2%から改善し、財務健全性は中位水準まで回復した。営業CFは4,434億円の黒字で資金創出力はある一方、投資CFは4,152億円のマイナスでフリーCFは小幅赤字となる。有利子負債の詳細や流動比率は冒頭要約だけでは限定的だが、現金同等物7,363億円を維持しており、直ちに資金繰り懸念が高い状態ではない。

業界動向との関連

短信でも、航空業界では旅客需要の増加が続く一方、中東情勢やウクライナ情勢など地政学リスクが懸念材料とされている。ANAの通期増収増益は業界回復の恩恵を受けた形だが、来期減益計画からは需要回復だけでは利益を説明し切れない局面も示唆される。

株価への示唆

前提は、2027年3月期会社予想EPS209.28円、2026年5月8日時点の株価2,844円で、予想PERは約13.6倍である。需要回復継続を前提に評価できる一方、会社計画は減益であり、強気シナリオには燃油・地政学リスクの落ち着きが必要となる。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。

シナリオ想定PER予想EPS理論株価
弱気11倍209.28円2,302円
中立13.5倍209.28円2,825円
強気16倍209.28円3,348円

上記は国際線需要の底堅さとコスト環境の安定が続くことを前提にした試算である。中東情勢の悪化や燃油高が長引く場合は弱気シナリオに近づく可能性があり、逆に高単価路線の回復が進む場合は強気シナリオもあり得る。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。

今期の総括

2026年3月期は、航空需要の回復をしっかり取り込み、営業利益と純利益をともに伸ばした。日本貨物航空の取得も含め、事業基盤の広がりは確認できる一方、来期はコストと外部環境を織り込んだ保守的な利益計画に転じている。

来期見通し

会社計画は売上高2兆7,700億円、営業利益1,500億円、経常利益1,370億円、純利益960億円、EPS209.28円である。売上は前期比9.1%増を見込むが、利益は減少計画であり、国際線需要の拡大だけではなく、燃油費や人件費、地政学リスクの吸収が前提となる。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。

総合判断

総合判断は中立である。通期実績は増収増益で自己資本比率も改善したが、来期は営業利益が3割超減る計画で、現在株価はその不確実性も踏まえて見られる局面にある。国際線の単価維持とコストコントロールが次回決算までの焦点となる。

出典

本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。

  • 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2026年4月30日開示
  • 補足市場データ: 株価、予想PERは市場データを参照して、算出されています(2026年5月8日時点)
本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。