決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2,734.46億円 | 2,840.69億円 | -3.7% | 2,800.00億円 | - |
| 営業利益 | 159.28億円 | 203.10億円 | -21.6% | 175.00億円 | - |
| 純利益 | 547.73億円 | 318.64億円 | +71.9% | 230.00億円 | - |
| EPS | 155.84円 | 85.92円 | +81.4% | 67.91円 | - |
営業利益は減少したが、最終利益は大きく伸びた。中身は本業だけでなく持分法と有価証券売却益の影響が大きい。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +81.4% | 前年同期比 | 一時要因を含み、見た目ほど強い本業成長ではない |
| ROIC | 開示なし | - | 決算短信ではROICの開示がなく、ここでは推計を置かない |
| PER推移 | 約20.8倍 | 2026年5月8日時点の株価1,411円、会社予想EPS67.91円 | 来期減益計画を織り込むやや慎重な評価とみられる |
事業利益は増えているが、営業利益と純利益の動きが大きく異なるため、利益の質の見極めが必要である。
ポジティブ要因
事業利益は増加した
事業利益は185.75億円で前期比14.9%増となった。持分法投資損益の改善が寄与している。
物流事業の売上は底堅い
物流事業の営業収益は2,386.28億円で前期比0.4%増となった。港湾運送や倉庫事業が支えている。
財務安全性は高い
自己資本比率は59.3%で高く、純資産は3,845億円を維持している。物流・不動産複合型として財務は安定している。
来期は増収増益の営業利益計画
2027年3月期は営業収益2,800億円、営業利益175億円、事業利益204億円を計画している。本業回復を見込む内容である。
リスク要因
本業の営業利益は減益である
物流、不動産の両事業とも営業利益は減少した。人件費や施設賃借費などのコスト増、資産回転型ビジネス利益の減少が逆風である。
最終利益には一時要因が含まれる
特別損失でCavalier Logisticsグループののれん等減損損失を計上した一方、特別利益で投資有価証券売却益が増加した。本業の収益力とは異なる要因が含まれています。
来期純利益は大幅減益計画である
2027年3月期の親会社帰属利益は230億円で、今期比58.0%減を見込む。今期の高利益が持続しない前提である。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
物流業界のコスト増が続く
人手不足とインフレを背景としたコスト増加が継続している。適正料金収受が進まない場合は収益を圧迫しやすい。
財務安全性
総資産は6,397億円、自己資本比率は59.3%で高い。営業CFは65.31億円の黒字にとどまるが、投資CFは262.47億円の黒字で資産売却等も寄与し、財務CFは336.35億円の赤字となっている。財務安全性は高いが、キャッシュ創出は本業だけでなく資産回転の影響も受ける。
業界動向との関連
物流業界は人手不足、コスト上昇、通商問題の影響を受けやすい。一方、不動産業界は賃貸オフィス市況が比較的堅調である。三菱倉庫は物流と不動産を併せ持つため、事業環境の違いが利益構成に反映されやすい。
株価への示唆
前提は、2027年3月期会社予想EPS67.91円、2026年5月8日時点の株価1,411円で、予想PERは約20.8倍である。来期減益計画を踏まえると、今期の一時益を除いた収益力に対する評価が中心になる。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 17倍 | 67.91円 | 1,155円 |
| 中立 | 21倍 | 67.91円 | 1,426円 |
| 強気 | 24倍 | 67.91円 | 1,630円 |
物流の価格転嫁と不動産の堅調が続き、本業利益が改善する場合は強気シナリオに近づく。一方、一時益剥落後の利益低下が目立つ場合は弱気シナリオに寄る可能性がある。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
今期の総括
2026年3月期は、本業では減益だった一方、持分法損益改善と投資有価証券売却益で最終利益が大きく伸びた。見た目の増益よりも、利益の構成を分けて理解すべき決算である。
来期見通し
会社は2027年3月期に営業収益2,800億円、営業利益175億円、事業利益204億円、経常利益216億円、純利益230億円、EPS67.91円を見込んでいる。本業回復を見込む一方、一時要因の反動で最終利益は大きく減る計画である。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。財務の安定感と事業利益の改善は評価できるが、今期純利益には一時要因が大きく、来期は大幅減益計画であるためだ。次回決算では、物流の価格転嫁と不動産の収益安定化が焦点となる。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2026年4月30日開示
- 補足市場データ: 株価は市場データを参照しています。株価への示唆は会社予想EPSを用いて算出しています(2026年5月8日時点)