決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 6兆3,285.74億円 | 6兆8,103.91億円 | -7.1% | 未定 | - |
| 営業利益 | 3,376.89億円 | 2,344.52億円 | +44.0% | 未定 | - |
| 純利益 | -4,542.63億円 | 1,612.78億円 | - | 未定 | - |
| EPS | -283.51円 | 100.67円 | - | 未定 | - |
販売電力量の減少で減収となったが、燃料費等調整制度の期ずれ好転と収支改善で経常利益は伸びた。一方、特別損失が重く最終赤字へ転落した。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | 赤字転落 | 前年同期比 | 1株利益は100.67円からマイナス283.51円へ悪化し、株主価値の見通しは不安定である |
| ROIC | 開示なし | - | 短信冒頭ではROICの開示がなく、規制・制度要因も大きいため単純推計は置きにくい |
| PER推移 | 算定困難 | 実績赤字かつ会社予想未定 | 予想EPSがないためPERベースの評価は現時点で有効性が低い |
数字から見ると、本業損益は改善したが、株主利益ベースでは特別損失の重さが支配的で、評価軸を単純化しにくい。
ポジティブ要因
営業利益と経常利益は改善した
営業利益は3,376億円で前期比44.0%増、経常利益は4,173億円で同64.0%増となった。販売電力量の減少を、燃料費等調整制度の期ずれ好転と継続的な収支改善が補った。
営業CFは増加した
営業CFは5,603億円のプラスで、前期の3,612億円から増加した。災害損失引当金の増加など制度・会計要因を含むが、資金繰り面では一定の下支えとなっている。
投資CFの支出は縮小した
投資CFは6,636億円のマイナスで依然重いものの、前期の8,592億円マイナスからは縮小した。投融資回収増加が寄与しており、資金負担はやや軽くなっている。
経常利益率は改善した
売上高経常利益率は6.1%から6.6%へ改善した。売上規模が縮小する中でも利益率改善が進んだ点は、本業面の下支えとして確認できる。
リスク要因
最終赤字は特別損失が主因である
特別利益として関係会社株式売却益1,030億円や資金交付金818億円を計上した一方、災害特別損失9,138億円、原子力損害賠償費827億円を計上し、純損失4,542億円となった。本業の収益力とは異なる要因が含まれています。
来期見通しは未定である
会社は2027年3月期について、中東情勢などの影響で燃料価格の見通しが不透明として、売上高・営業損益・経常損益・最終損益のすべてを未定とした。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
自己資本比率は低下した
純資産は3兆4,183億円へ減少し、自己資本比率は25.1%から21.8%に低下した。利益の変動が資本を直接揺らしやすい財務構造である。
福島第一原発の廃炉と賠償負担が続く
短信では、廃炉、ALPS処理水、損害賠償対応などが重要リスクとして挙げられている。計画以上に長期化した場合、業績・財政状態・事業運営に影響を及ぼす可能性がある。
財務安全性
自己資本比率は21.8%で低めの水準にあり、前期から3.3ポイント低下した。営業CFは5,603億円のプラスだが、投資CFは6,636億円のマイナスでフリーCFはなお赤字である。期末現金は9,366億円と維持しているものの、負債は12兆1,572億円へ増加しており、財務安全性は制度支援と資金調達環境に依存しやすい。
業界動向との関連
電力業界は燃料価格や制度変更の影響を強く受けるうえ、東京電力HDでは福島対応という固有要因も大きい。短信でも燃料価格見通しの不透明さが来期未定の理由とされており、通常の販売電力量だけでは業績を読み切れない構造が続いている。
株価への示唆
現時点では、会社が2027年3月期の業績予想を未定としており、実績EPSもマイナス283.51円であるため、PERを用いた理論株価の試算は保留する。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。今後の評価は、燃料価格の落ち着き、賠償・廃炉関連費用の見通し、業績予想の開示可否が前提条件となる。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 算定困難 | 未定 | 算定不可 |
| 中立 | 算定困難 | 未定 | 算定不可 |
| 強気 | 算定困難 | 未定 | 算定不可 |
上記は会社予想が未定であるため、現時点では条件設定そのものが難しい。業績予想が示され、特別損失の扱いと本業収益の切り分けが進んだ場合に初めて、PERベースの評価が有効になりやすい。
今期の総括
2026年3月期は、電力販売の数量減少がありながらも営業利益と経常利益は改善した。一方で、特別損失が極めて大きく、最終赤字転落と自己資本比率低下が重くのしかかる決算となった。
来期見通し
2027年3月期について会社は売上高、営業損益、経常損益、最終損益のいずれも未定としている。理由は中東情勢などを受けた燃料価格等の不透明さであり、外部環境が見通し作成の前提を置きにくくしているためだ。見通しが開示されるまで、収益改善の持続性は判断しにくい。
総合判断
総合判断は弱気である。営業利益と経常利益は改善したが、最終赤字4,542億円と自己資本比率21.8%が重く、来期予想も未定で不確実性が高い。本業改善が続くかに加え、福島関連費用と制度要因の行方が次回の注目点となる。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2026年4月30日開示
- 株価への示唆は、会社予想未定および実績赤字のためPERベース試算を保留しています