決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 2兆2,472.14億円 | 2兆3,568.33億円 | -4.7% | 2兆3,000.00億円 | - |
| 営業利益 | 2,248.53億円 | 1,995.64億円 | +12.7% | 2,100.00億円 | - |
| 純利益 | 1,545.35億円 | 1,287.66億円 | +20.0% | 1,300.00億円 | - |
| EPS | 314.65円 | 260.14円 | +21.0% | 262.70円 | - |
減収でも燃料費低下と託送収益増で利益は伸びたが、来期はその反動もあって減益計画となっている。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +21.0% | 前年同期比 | 利益成長は大きいが、来期会社予想EPSは262.70円へ低下する前提で持続性は慎重にみたい |
| ROIC | 開示なし | - | 短信冒頭ではROICの開示がなく、ここでは推計を置かない |
| PER推移 | 現在約6.6倍 | 2026年5月8日時点の株価1,746.5円、会社予想EPS262.70円 | 非常に低いPERで、電力制度と減益計画を織り込む水準とみられる |
数字から見ると、足元利益は強いが、株価はそれを景気循環的・制度依存的な利益として低めに評価している可能性が高い。
ポジティブ要因
燃料費低下が利益を押し上げた
短信では、火力発電構成の差異に伴う発電単価低下と燃料価格下落による需給関係費用減少が増益要因とされている。発電・販売事業の経常利益は1,364億円で前期比19.2%増となった。
純利益は2割増となった
純利益は1,545億円で前期比20.0%増、EPSは314.65円まで上昇した。利益改善のスピードは同業内でも悪くない。
自己資本比率は改善した
自己資本比率は17.3%から19.9%へ改善し、純資産は1兆2,258億円まで積み上がった。依然低いが、方向性としては改善が続いている。
営業CFは安定して黒字である
営業CFは4,387億円のプラスで、前期の4,319億円から微増した。大規模投資を抱える電力会社としては安定した資金創出力といえる。
リスク要因
来期は減益計画である
2027年3月期の会社計画は営業利益2,100億円で前期比6.6%減、経常利益1,800億円で同13.1%減、純利益1,300億円で同15.9%減である。今期の追い風が薄れる前提が置かれている。
送配電事業は大幅減益だった
送配電事業の経常利益は82億円で前期比68.8%減となった。収益構成の中で安定事業の弱さが出ると、全体利益の下支え力が弱まる。
自己資本比率はなお低い
自己資本比率19.9%は改善したとはいえ、財務安全性としてはなお低い水準である。電力事業の投資負担を考えると、資本厚みの回復は道半ばである。
電力業界は制度と燃料価格の影響を強く受ける
小売販売電力量は9.3%減、卸売販売電力量は16.9%増と構成変化も大きい。制度や燃料前提の変化で利益が振れやすい業界構造は続く。
財務安全性
自己資本比率は19.9%で依然低いが、前期から2.6ポイント改善した。営業CFは4,387億円の黒字で、投資CFは3,837億円の赤字に収まり、フリーCFは小幅黒字圏に近い。有利子負債の詳細は冒頭要約だけでは限定的だが、財務面は改善途上と評価するのが妥当である。
業界動向との関連
九州電力の業績は、販売電力量よりも燃料費や託送収益の動きの影響を強く受けている。電力業界全体で、数量だけではなく調達コストと制度設計が利益を左右する局面が続いていることを示す決算である。
株価への示唆
前提は、2027年3月期会社予想EPS262.70円、2026年5月8日時点の株価1,746.5円で、予想PERは約6.6倍である。非常に低いPERは割安感もあるが、減益計画と財務安全性の弱さを同時に反映している可能性がある。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 5.5倍 | 262.70円 | 1,445円 |
| 中立 | 6.5倍 | 262.70円 | 1,708円 |
| 強気 | 8倍 | 262.70円 | 2,102円 |
上記は燃料費が大きく跳ねず、発電・販売事業の採算が維持されることを前提にした試算である。需給構成や制度変更で利益が下振れる場合は弱気シナリオに近づく可能性があり、資本改善が進む場合は強気シナリオもあり得る。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
今期の総括
2026年3月期は、減収でも採算改善で増益を確保し、財務指標も持ち直した。一方で、来期は減益計画であり、足元の好採算がそのまま続く前提にはなっていない。
来期見通し
会社は2027年3月期に売上高2兆3,000億円、営業利益2,100億円、経常利益1,800億円、純利益1,300億円、EPS262.70円を計画している。売上は前期比2.3%増だが、利益は減少を見込んでおり、燃料価格や制度前提の変化を織り込んだ保守的な計画とみられる。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。利益成長と低PERは魅力だが、自己資本比率19.9%と来期減益計画を踏まえると、強気に傾けるには不確実性が残るためだ。資本改善の継続と採算維持の両立が次回決算までの焦点になる。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2026年4月30日開示
- 補足市場データ: 株価、予想PERは市場データを参照して、算出されています(2026年5月8日時点)