決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 1,622.54億円 | 1,549.20億円 | +4.7% | 1,730.00億円 | - |
| 営業利益 | 109.26億円 | 102.79億円 | +6.3% | 115.00億円 | - |
| 純利益 | 76.52億円 | 66.57億円 | +14.9% | 69.10億円 | - |
| EPS | 323.49円 | 280.28円 | +15.4% | 291.84円 | - |
多角化企業らしく、事業ポートフォリオ全体で増収増益を実現している。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +15.4% | 前年同期比 | 利益成長は堅調 |
| ROIC | 開示なし | - | 決算短信ではROICの開示がなく、ここでは推計を置かない |
| PER推移 | 約7.3倍 | 2026年5月7日時点の観測株価2,120円、会社予想EPS291.84円 | 多角化企業としては低めの評価にとどまる |
PER は低めだが、事業のばらつきと来期減益計画が背景にあると考えられる。
ポジティブ要因
自動車リース関連事業が安定成長している
売上高は641.35億円で前期比4.5%増、セグメント利益は67.69億円で同3.4%増となった。主力事業として収益基盤の安定感がある。
機械工具販売事業が黒字転換した
前期のセグメント損失1.41億円から、当期は2.51億円の黒字に改善した。採算是正の進展は前向きである。
農業関連・パーキング・ケミカルも伸びた
農業関連事業は売上高11.7%増、パーキング事業は利益13.5%増、ケミカル事業は利益25.2%増で、分散された収益源が機能している。
来期も営業増益計画である
2027年3月期は売上高1,730億円、営業利益115億円を計画している。純利益は減益見込みだが、本業利益は伸ばす計画である。
リスク要因
合成樹脂事業は赤字である
合成樹脂事業はセグメント利益が1.70億円の赤字となった。ポートフォリオ内に弱い事業が残っている。
来期は純利益減益計画である
親会社株主に帰属する当期純利益は69.10億円で、今期比9.7%減を見込む。営業増益でも最終利益は減る見通しである。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
外部環境の不透明感は残る
中東情勢、金融資本市場、米国通商政策が不透明要因として挙げられている。景気敏感な事業も含むため影響は無視できない。
自己資本比率は極端に高くはない
自己資本比率は33.8%で改善したが、多角化企業としては財務余力の継続確認が必要である。
財務安全性
総資産は2,116億円、自己資本比率は33.8%である。営業CFは94.51億円の黒字で、前期から大きく改善した。投資CFと財務CFを差し引いても現金同等物は106.35億円まで増加している。
業界動向との関連
自動車リース、機械工具、パーキング、農業関連は、それぞれ景況感や設備投資、物価、人手不足の影響を受ける。イチネンHDは分散効果がある一方、低収益事業の整理や改善が評価のポイントになる。
株価への示唆
前提は、2027年3月期会社予想EPS291.84円、2026年5月7日時点の観測株価2,120円で、予想PERは約7.3倍である。黒字転換事業や分散収益源を踏まえると評価余地はあるが、来期純利益減益計画が上値を抑えやすい。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 6倍 | 291.84円 | 1,751円 |
| 中立 | 7倍 | 291.84円 | 2,043円 |
| 強気 | 8倍 | 291.84円 | 2,334円 |
黒字転換した事業の定着と主力事業の拡大が続く場合は強気シナリオに近づく。一方、合成樹脂の赤字や景気鈍化が重い場合は弱気シナリオに寄る可能性がある。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
今期の総括
2026年3月期は、多角化ポートフォリオが機能した増収増益決算だった。主力の安定感に加え、機械工具販売の黒字化が目立つ。
来期見通し
会社は2027年3月期に売上高1,730億円、営業利益115億円、経常利益107.80億円、純利益69.10億円、EPS291.84円を見込んでいる。本業は伸ばす一方、最終利益は減益計画である。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。分散収益源と黒字転換は評価できるが、赤字事業が残り、来期純利益も減益計画であるため、再評価には持続的な改善確認が必要だからである。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2026年5月1日開示
- 補足市場データ: 株価は市場データを参照しています。株価への示唆は会社予想EPSを用いて算出しています(2026年5月7日時点)