決算サマリー(前年比)

項目当期実績前年同期増減率会社計画進捗率
売上高417億58百万円404億43百万円+3.3%--
営業利益154億14百万円139億26百万円+10.7%--
経常利益154億48百万円139億12百万円+11.0%--
親会社株主帰属利益104億61百万円97億6百万円+7.8%--
EPS392.22円359.94円+9.0%--

公営競技事業の増益効果が大きく、全社営業利益率も34.4%から36.9%へ改善した。

ポジティブ要因

公営競技事業が全体成長をけん引

公営競技事業の売上高は296億94百万円で前年比3.6%増、セグメント利益は121億80百万円で同9.4%増となった。SPAT4を中心に地方競馬の発売が伸び、大井競馬の年間売上レコード更新も追い風になった。

倉庫賃貸事業の収益性が高い

倉庫賃貸事業の売上高は60億94百万円で前年比4.7%増、セグメント利益は39億98百万円で同15.0%増となった。新規テナント誘致と賃料増額交渉が進み、高採算事業として全社利益を下支えした。

サービス事業は利益成長が大きい

サービス事業の売上高は23億72百万円で前年比3.9%増、セグメント利益は3億43百万円で同57.9%増となった。ウィラ大井2号館とシアターHの稼働が収益基盤の強化に寄与している。

来期も増収増益計画を維持

2026年12月期の会社計画は、売上高425億97百万円、営業利益158億27百万円、経常利益158億60百万円、親会社株主に帰属する当期純利益107億92百万円で、いずれも前期比で増加を見込む。中期経営計画の初年度として成長投資と収益拡大を両立させる方針が示された。

リスク要因

遊園地事業は減収減益

遊園地事業の売上高は37億83百万円で前年比1.1%減、セグメント利益は4億75百万円で同11.1%減となった。東京サマーランドなどの入場人員は前期比4.5%減の92万人で、酷暑を含む外部環境変化が来園行動に影響したと会社はみている。

業績の柱が公営競技に偏る

公営競技事業の売上高は全社売上高の約7割を占め、セグメント利益は121億80百万円と全社営業利益の大半を稼いでいる。SPAT4や大井競馬の販売動向に変化が生じた場合、全社業績への影響は大きい。

先行投資の拡大局面に入る

会社は新トレーニングセンター整備、競馬場再整備、アリーナ整備検討、次期システム構築などを今後の重点施策に掲げている。中長期の成長余地はある一方、投資負担が先行する局面では資本効率やキャッシュ配分が注目点になる。

現金残高は減少した

営業CFは199億1百万円の黒字だったが、投資CFは128億21百万円の赤字、財務CFは87億3百万円の赤字となり、期末の現金及び現金同等物は142億43百万円と前期末の158億67百万円から減少した。自己株式取得や配当、設備投資を継続する中で、今後も資金管理の巧拙が重要になる。

財務安全性

自己資本比率は75.3%で前期末の74.4%から0.9ポイント改善し、財務健全性は高い水準にある。流動資産合計は271億62百万円、流動負債合計は209億15百万円で、流動比率は約129.9%と概ね安定圏にある。有利子負債は社債100億円、1年内返済予定の長期借入金17億円、長期借入金57億50百万円など合計約174億66百万円で、総資産比では約13.9%にとどまる。営業CFは199億1百万円の黒字、フリーCFも70億80百万円の黒字で、投資余力はなお確保されている。

業界動向との関連

会社によれば、全国の地方競馬では入場者数が前年を上回り、インターネット投票の普及により勝馬投票券売上も増加基調にある。東京都競馬はこの追い風をSPAT4や大井競馬の売上増として取り込み、公営競技のデジタル化とリアルイベントの両面で優位性を高めている。一方で遊園地事業では天候や消費行動の影響を受けやすく、事業ごとの環境差も大きい。

株価への示唆(条件付き)

今期実績EPSは392.22円、来期会社予想EPSは415.34円である。ただし、この資料には株価水準や同業PERの記載がなく、PER前提を置いた理論株価は算定しない。

シナリオ想定PER予想EPS理論株価
弱気資料記載なし415.34円算定不可
中立資料記載なし415.34円算定不可
強気資料記載なし415.34円算定不可

SPAT4を中心とした公営競技事業の成長が続き、2026年12月期会社計画どおりに増収増益を達成する場合は、安定収益企業として評価される余地がある。一方で、競馬場再整備や周辺開発に伴う投資負担が想定以上に膨らく場合や、主力事業の売上成長が鈍化した場合は、評価の上振れ余地が限られる可能性がある。上記は資料記載の実績と会社計画に基づく整理であり、投資判断は各自の責任で行う必要がある。

今期の総括

2025年12月期は、公営競技事業の伸びと周辺事業の収益改善を背景に、売上高と各利益段階で増加を確保した。遊園地事業の弱さは残ったものの、全社としては高い利益率と強いキャッシュ創出力を維持した決算だった。

来期見通し

2026年12月期の会社計画は、売上高425億97百万円で前期比2.0%増、営業利益158億27百万円で同2.7%増、経常利益158億60百万円で同2.7%増、親会社株主に帰属する当期純利益107億92百万円で同3.2%増である。会社は第4次中期経営計画のもとで、大井エリアのまちづくり、公営競技のモデルケース化、SPAT4の機能強化、資産価値最大化に取り組む方針を示した。主力事業の需要が大きく崩れなければ達成可能な水準に見えるが、投資負担と集客事業の外部環境には注意が必要だ。

中立的まとめ

東京都競馬の2025年12月期決算は、公営競技事業の強さを軸に増収増益を達成した内容だった。倉庫賃貸やサービス事業も安定している一方、遊園地事業は天候や消費環境の影響を受けやすい。今後は主力事業の成長持続と、大井エリア再整備を含む投資の成果が中長期評価の分岐点になる。


本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。