決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 162.59億円 | 152.73億円 | +6.5% | - | - |
| 営業利益 | 14.37億円 | 12.75億円 | +12.7% | - | - |
| 純利益 | 9.89億円 | 8.89億円 | +11.2% | - | - |
| EPS | 299.93円 | 268.30円 | +11.8% | - | - |
全部門が増収となり、原価と経費の管理を継続したことで利益も2桁近い伸びを確保しました。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +11.8% | 前期比 | 宴会と婚礼の単価改善が株主利益までつながっています |
| ROIC | 開示なし | - | 短信に開示がなく、厳密な資本効率比較はできません |
| PER推移 | 14.3倍 | 同業2社中心の現在PER 13.5-17.7倍、2026年5月7日時点 | 現在評価は同業レンジの中位です |
数字からみると、売上回復だけでなく利益率改善も進みつつありますが、財務体質は高資本企業と比べるとまだ中位です。
ポジティブ要因
宴会部門が成長を牽引
宴会部門売上高は115.61億円で前期比7.2%増でした。大型宴会の受注拡大に加え、一般宴会の件数と施行単価、婚礼の件数と単価がそろって上昇しています。
食堂部門の回復継続
食堂部門売上高は35.48億円で前期比5.6%増となりました。本舘での平日法人利用と週末慶事利用が堅調で、営業所店舗でも来客数と客単価が増加しています。
売店・付帯需要も底堅い
売店・その他部門売上高は11.50億円で前期比1.9%増でした。季節商品や新商品が好調だったほか、宴会・婚礼件数の増加が引菓子などの付帯需要を押し上げました。
営業キャッシュ・フローの改善
営業キャッシュ・フローは24.43億円で前期の15.73億円から増加しました。税引前利益の拡大と減価償却費の積み上がりが資金創出を支えています。
リスク要因
コスト増加圧力
会社は継続的な物価上昇、物流コスト、人件費増加をリスクとして挙げています。人的資本投資を進める方針であり、売上単価が追いつかない場合は利益率の伸びが鈍る可能性があります。
宴会需要への依存
主力の宴会部門が全売上の大半を占めています。法人需要や婚礼需要が想定より弱含んだ場合、売上と利益の変動幅が大きくなる可能性があります。
負債水準はなお中位
自己資本比率は43.5%まで改善したものの、流動・固定を合わせた有利子負債とリース債務は一定水準あります。ホテル・宴会業態としては改善傾向でも、景気悪化局面では固定費負担が重くなります。
外部環境の不透明さ
米国対外政策、中東情勢、エネルギー価格上昇は消費活動や法人イベント需要の下押し要因となり得ます。宴会需要が景気感応的である点には注意が必要です。
財務安全性
自己資本比率は43.5%で前期末の39.8%から改善し、財務体質は中位から改善方向にあります。流動資産93.67億円に対し流動負債は32.04億円で、流動比率は約292%と安全圏です。営業キャッシュ・フローは24.43億円の黒字、投資キャッシュ・フローも有価証券償還の影響で3.54億円の黒字でした。長期借入金は残るものの、短期資金繰りの懸念は限定的です。
業界動向との関連
宴会・外食業界はインバウンド需要や法人会合の正常化が追い風である一方、人件費や物流費の上昇が収益を圧迫しやすい局面です。東京會舘は高付加価値サービスで単価を引き上げていますが、需要回復だけでなく価格維持が収益の前提となります。
株価への示唆
前提は、2027年3月期会社予想EPS306.10円、2026年5月7日時点の株価4,275円で、予想PERは約14.0倍です。同業比較では藤田観光やリゾートトラストの現在PERは13倍台後半から17倍台で推移し、帝国ホテルは資産構成の違いから大きく上振れています。東京會舘は資産価値より収益持続性で評価されやすく、株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 13倍 | 306.10円 | 3,979円 |
| 中立 | 14倍 | 306.10円 | 4,285円 |
| 強気 | 16倍 | 306.10円 | 4,898円 |
上記は宴会需要と婚礼単価の堅調さが続くことを前提とした試算です。景気減速やコスト増が強まる場合は弱気ケースに近づく可能性があります。一方、高付加価値戦略による価格体系見直しが進む場合は強気ケースも視野に入ります。現在株価は中立ケース近辺です。
今期の総括
2026年3月期は、宴会・食堂・売店すべての部門で増収となり、営業利益と純利益も拡大しました。中期経営計画の最終年度として収益力最大化と基盤強化を進めた成果が数字に表れています。
来期見通し
2027年3月期の会社計画は、売上高163.30億円、営業利益14.40億円、経常利益15.00億円、当期純利益10.10億円、EPS306.10円です。中期経営計画では人的資本と設備への投資、AI活用による生産性向上、高付加価値戦略に基づく価格体系の確立を掲げています。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。営業利益とEPSは伸びており、営業キャッシュ・フローも改善していますが、コスト上昇や宴会需要の景気感応度を踏まえると、株価の大幅な上振れには継続的な単価向上が必要です。来期は小幅増益計画の達成度合いが焦点になります。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(個別)、2026年5月7日開示
- 補足市場データ: 時価総額、PER、競合他社比較は、東京証券取引所、またはYahoo!ファイナンス掲載の情報を参照しています(2026年5月7日時点)。