決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4,413.83億円 | 4,019.87億円 | +9.8% | 4,915.00億円 | - |
| 営業利益 | 476.13億円 | 464.80億円 | +2.4% | 550.00億円 | - |
| 純利益 | 404.57億円 | 365.49億円 | +10.7% | 374.00億円 | - |
| EPS | 149.30円 | 131.95円 | +13.1% | 141.17円 | - |
トップラインは伸びたが、営業利益の伸びは小さい。先行投資とM&A負担をどう吸収するかが重要である。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | +13.1% | 前年同期比 | 最終利益は伸びたが、営業段階の伸びは限定的 |
| ROIC | 開示なし | - | 決算短信ではROICの開示がなく、ここでは推計を置かない |
| PER推移 | 約24.7倍 | 2026年5月8日時点の株価3,486円、会社予想EPS141.17円 | 成長期待を織り込むが、安くはない水準である |
営業利益率は11.6%から10.8%へ低下しており、収益性の維持が課題である。
ポジティブ要因
売上成長は維持した
売上高は9.8%増となり、通信・半導体関連需要が中国・アジアで堅調だった。グローバル需要の取り込みは続いている。
VONA事業の利益伸びが大きい
VONA事業は売上高1,925.16億円で前期比7.1%増、営業利益は186.35億円で同28.8%増となった。流通事業の強さが際立っている。
財務安全性は高い
自己資本比率は81.7%で非常に高く、流動比率も4.5倍と高い安定性を維持している。M&A後でもバランスシートは強い。
来期は営業増益計画である
2027年3月期は営業利益550億円を計画しており、Fictiv連結後の収益改善を見込んでいる。
リスク要因
FAと金型部品の利益は減少した
FA事業は営業利益が9.9%減、金型部品事業は8.5%減となった。主力製造業向けの一部で収益性が悪化している。
Fictiv連結が利益を圧迫している
営業利益は、Fictiv Inc.連結の影響や成長施策関連支出を吸収し切れず、増益幅が小さかった。M&A効果の定着が必要である。
来期は純利益減益計画である
2027年3月期は純利益374億円で、今期比7.6%減を見込んでいる。営業増益でも最終利益は減る計画である。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
自動車関連需要の停滞が続いている
短信では主要顧客産業である自動車関連の稼働が膠着状態と説明している。世界景気次第でFA需要は振れやすい。
財務安全性
総資産は4,649.69億円、自己資本比率は81.7%で高い。営業CFは521.90億円の黒字だが、投資CFは432.03億円の赤字、財務CFは418.01億円の赤字で、M&Aや還元に資金を使っている。財務安全性は非常に高い。
業界動向との関連
FA・金型部品・製造業向け流通は、自動車、半導体、設備投資サイクルの影響を受ける。ミスミは中国・アジアの成長需要とグローバル供給網で強みを持つが、M&Aを含む成長投資の収益化が今後の評価を左右する。
株価への示唆
前提は、2027年3月期会社予想EPS141.17円、2026年5月8日時点の株価3,486円で、予想PERは約24.7倍である。高自己資本と成長期待を評価する水準だが、営業利益率低下と純利益減益計画を踏まえると上振れ余地は限定的にも見える。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 21倍 | 141.17円 | 2,965円 |
| 中立 | 25倍 | 141.17円 | 3,529円 |
| 強気 | 28倍 | 141.17円 | 3,953円 |
Fictiv統合が順調に進み、FA利益率も回復する場合は強気シナリオに近づく。一方、自動車関連停滞が長引く場合は弱気シナリオに寄る可能性がある。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
今期の総括
2026年3月期は増収増益ではあるが、営業段階では伸びが限定的で、収益性低下もみられた。成長投資の回収力を問われる決算である。
来期見通し
会社は2027年3月期に売上高4,915億円、営業利益550億円、経常利益559億円、純利益374億円、EPS141.17円を見込んでいる。営業増益だが純利益は減益計画であり、利益構造の変化を見極める必要がある。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。高い財務安全性と売上成長は評価できるが、営業利益率低下とM&A後の不確実性、来期純利益減益計画を踏まえる必要があるためだ。次回決算では、Fictiv統合効果とFA事業の利益回復が焦点となる。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2026年4月30日開示
- 補足市場データ: 株価は市場データを参照しています。株価への示唆は会社予想EPSを用いて算出しています(2026年5月8日時点)