3行要約

上期累計の営業利益は4,381億円と前年同期比▲41.0%で、Q1に引き続き大幅な落ち込みが続いた。弱気。 通期売上予想をさらに20兆7,000億円(▲4.6%)に引き下げ、営業利益予想は5,500億円(▲54.7%)に修正した。 アジア四輪の失速が深刻で、上期の北米金融サービス収縮も重なり、収益の底が見えない状況が続いている。

概要

FY2026上期(4〜9月)の数値:

売上:10兆6,327億円 営業利益:4,381億円 最終利益(親会社帰属):3,118億円 EPS(累計):76.30円(前年同期103.25円) YoY:売上▲1.5%、営業利益▲41.0%

決算ハイライト(簡易表)

指標内容
売上収益(上期累計)10兆6,327億円、前年同期比▲1.5%
営業利益(上期累計)4,381億円、同▲41.0%
税引前利益5,274億円、同▲28.9%
最終利益(親会社帰属)3,118億円、同▲37.0%
EPS(上期累計)76.30円(前年同期103.25円)
通期修正後営業利益予想5,500億円(前期比▲54.7%)
要因①アジア四輪の競争力低下と数量縮小(上期▲14.2%)
要因②北米金融サービスの収益悪化(上期▲10.1%)

セグメント別売上(上期累計)

セグメント売上収益前年同期比
二輪車1兆9,207億円+6.1%
四輪車(自動車)6兆8,594億円▲1.8%
金融サービス1兆6,770億円▲7.4%
パワープロダクツ他1,756億円▲6.3%

二輪車が唯一プラスを維持(+6.1%)し、日本+21.0%、その他地域+17.9%と好調だった。一方で四輪・金融・パワープロダクツは全セグメントが前年割れで、二輪の貢献が全体の損益を下支えする構図が鮮明になった。

何が起きたか(最重要)

数量

アジア四輪車売上は上期▲14.2%(9,253億円→7,932億円)まで落ち込み、Q1の▲20.5%から縮小したものの依然として急落水準が続いた。中国・アジア市場での地場EV勢との競争激化に加え、ホンダ製品の競争優位が価格・スペック双方で追いつかれている構造が背景にある。

価格・コスト

北米では四輪車売上が上期+0.6%と辛うじてプラスを維持した。価格維持と一定の販売数量が北米での底堅さを作ったが、関税コストの上昇が採算を圧迫した。コスト面では価格・コスト改善による部分的な下支えが一部見られたと会社は説明しているが、それを EV投資費用と為替が上回った。

金融サービス

上期の金融サービス売上は1兆6,770億円と前年同期比▲7.4%。北米収益は▲10.1%(1兆5,322億円→1兆3,767億円)と縮小が続いた。自動車ローン・リース事業に対する金利環境の影響が収益を圧迫しているとみられ、Q1からの傾向が継続した。

二輪車の健闘

二輪車は売上+6.1%で、上期累計では全セグメント中唯一の増収となった。アジアでも+4.1%と伸びており、インド・東南アジアなどの新興国市場での需要が四輪の失速を一部補う役割を担っている。二輪事業の利益は全社の稼ぐ力の基盤として重要性が増している。

通期予想の再修正

Q2時点で通期の売上予想を21兆1,000億円から20兆7,000億円に引き下げた。アジアの需要環境がQ1の想定以上に悪化したことを反映した修正である。また営業利益予想は7,000億円から5,500億円へと大幅に切り下げた。Q1→Q2での2段階の修正は、環境悪化の深刻さを示している。

構造要因と一時要因の分離

上期の営業利益▲41.0%は、EV関連の大規模損失(3月開示)が入る前の数値である。したがって、自動車事業の基礎的な競争力低下と、コスト・為替圧力が純粋に重なった結果として読む必要がある。一時的なEV減損とは別に、基礎収益自体が大きく劣化している点が重要である。

直近材料(3ヶ月)

2025年11月7日:第2四半期(上期)決算発表

上期累計決算と同時に通期予想をQ1に続いて再修正した。売上20兆7,000億円、営業利益5,500億円、EPS75.05円という修正後予想は、前期実績(営業利益1兆2,135億円、EPS178.93円)と比べると約55%減の水準である。

中間配当は予定通り35円を実施。次期末配当35円と合わせて年70円の配当予想を維持した。

ビジネス構造(上期時点)

上期を通じて事業構造の明暗が確認された。二輪車は新興国市場を核に数量・収益ともに成長を維持しており、全社利益の安定源として機能している。四輪車はアジアの急失速と北米関税という二重の逆風で、上期の主要な利益圧迫要因になった。金融サービスは北米での収縮が続いており、利益の下押し要因が重なっている。

パワープロダクツ事業も▲6.3%と小幅ながら減収で、全事業で二輪を除く全セグメントが前年割れという厳しい構図が続いた。

定量評価

指標直近(上期累計)比較解釈
EPS(累計)76.30円前年同期103.25円(▲26%)利益水準の大幅な低下を示す
通期EPS予想75.05円前期178.93円通期でも6割近い減益見通し
二輪売上成長+6.1%Q1+1.5%から加速唯一の増収セグメント
四輪アジア売上▲14.2%Q1▲20.5%から縮小深刻だが最悪期は過ぎた可能性
配当中間35円実施前期中間34円増配基調の維持

株価への意味

通期予想をQ1・Q2と2回連続で下方修正した事実は、業績の底が見えにくい状況として評価されやすい。一方で、二輪の健闘と配当の維持・増配は最低限のサポートになった。

Q2時点での評価余地は、アジア四輪の下落幅がQ1の▲20.5%からQ2の▲14.2%に縮小した点で、最悪期を過ぎたとみる解釈も可能である。ただし、通期でなお大幅な減益が不可避な状況で積極的な評価が入りにくい局面だった。

シナリオ分析

強気:15% アジア四輪の改善傾向が続き、北米金融サービスも下げ止まり、二輪の好調が通年で続く場合、Q3以降で収益の回復軌道が見え始める可能性がある。

中立:45% 二輪の健闘が続くものの、四輪アジアと金融サービスの重荷が残り、通期予想の5,500億円前後に着地するシナリオ。配当は維持される。

弱気:40% アジア四輪の競争環境がさらに悪化し、関税コストの上昇も重なってQ3以降も減益基調が続く。通期予想の達成も難しくなるシナリオ。

リスク(簡易表)

リスク内容
アジア競争アジア地場EV勢の台頭によるシェア喪失が継続する可能性
関税米国の関税強化が北米事業の採算に追加的なマイナス
金融サービス悪化北米の金利・ローン環境の悪化が収益圧迫を継続
通期未達リスク下方修正後の5,500億円予想もさらに下振れる可能性
為替円高が収益に与えるマイナス効果が継続

まとめ

FY2026上期は、アジア四輪の急失速と北米金融サービスの収縮が重なり、基礎的な収益が前年比で4割以上落ち込んだ。二輪車の6%増収が唯一の明るい材料だったが、全社損益に対するインパクトは限定的だった。

Q1→Q2と2回連続で通期予想を引き下げた点は、業績の底を見極めにくくしている。次のポイントはQ3(2026年2月発表)で、アジア四輪の改善が続いているかどうかと、関税・EV投資負荷がどこまで利益を削っているかの確認になる。


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