選定方針
今回の選定では、単純な純利益の大きさではなく、営業利益の伸びと本業の収益力を重視しました。
特に確認したのは以下です。
- 売上高または売上収益が伸びているか
- 営業利益が増えているか
- 営業利益率が高い、または改善しているか
- 自己資本比率や営業キャッシュ・フローに無理がないか
- 事業テーマが翌日以降の市場で注目されやすいか
一方で、金融株のように通常の営業利益比較が難しい業種、特別損益だけで最終利益が大きく動いた銘柄、会社計画の単位確認が必要な銘柄は慎重に扱っています。
注目10銘柄
| 企業名|コード | 決算期 | 注目理由 | 注意点 | 詳細 |
|---|---|---|---|---|
| 精工技研|6834 | 2026年3月期通期 | 売上高50.6%増、営業利益174.5%増。営業利益率25.7%、自己資本比率81.2%で、成長と財務の両面が強い。 | 次期予想は個別確認が必要。光通信・精密部品の投資サイクル、海外販売、為替を見たい。 | 詳細 |
| FUJI|6134 | 2026年3月期通期 | 売上高41.8%増、営業利益112.5%増。営業利益率16.2%、自己資本比率83.5%で、電子部品実装機の回復が目立つ。 | 設備投資循環の影響を受ける。半導体・電子部品メーカーの投資継続性を確認したい。 | 詳細 |
| ラクス|3923 | 2026年3月期通期 | 売上高23.3%増、営業利益70.2%増。営業利益率28.8%、営業CF133.91億円で、SaaSの利益回収局面が見える。 | 来期は投資と利益成長のバランスが焦点。広告宣伝費、人件費、解約率を確認したい。 | 詳細 |
| フジクラ|5803 | 2026年3月期通期 | 売上高20.7%増、営業利益39.2%増。AIデータセンター、電力・光通信インフラ関連としてテーマ性が強い。 | 期待先行になりやすい。データセンター向けの伸び、光関連製品の採算、投資負担を確認。 | 詳細 |
| BuySell Technologies|7685 | 2026年12月期1Q | 売上高37.0%増、営業利益97.3%増。リユース市場の拡大を取り込み、1Qから高い利益成長。 | 仕入れ品質、広告費、査定人員、在庫回転が利益を左右する。四半期ごとの変動も見たい。 | 詳細 |
| トライアルホールディングス|141A | 2026年6月期3Q | 売上高67.3%増、営業利益122.8%増。通期営業利益計画に対する進捗は77.2%で、小売成長株として存在感が大きい。 | 低価格小売は出店費用、物流費、人件費、粗利率が焦点。自己資本比率は高くないため資金効率も確認。 | 詳細 |
| テクノ菱和|1965 | 2026年3月期通期 | 売上高17.2%増、営業利益63.7%増。営業利益率16.0%、営業CF121.47億円で、設備工事の採算改善が明確。 | 空調・設備工事は人手不足、資材価格、工期管理で利益が振れやすい。受注採算の維持が焦点。 | 詳細 |
| 日本電子材料|6855 | 2026年3月期通期 | 売上高23.2%増、営業利益58.1%増。営業利益率24.7%、自己資本比率76.7%で、半導体検査関連の強さが出た。 | 半導体市況の波、メモリ・ロジック投資、顧客の在庫調整で受注が変動しやすい。 | 詳細 |
| ネクソン|3659 | 2026年12月期1Q | 売上高33.6%増、営業利益39.8%増、純利益114.2%増。大型タイトルと既存IPの収益力が目立つ。 | ゲームはタイトル投入、地域別課金、為替、開発費で四半期ごとに変動する。継続率を確認したい。 | 詳細 |
| PKSHA Technology|3993 | 2026年9月期2Q | 売上高85.8%増、営業利益50.8%増。AIソリューション需要を取り込み、通期営業利益計画に対する進捗も63.5%。 | 純利益は前年同期比で減少。M&A、投資、評価損益、AI需要の継続性を分けて確認したい。 | 詳細 |
業績サマリー
今回の10社は、AI・半導体インフラ型、ソフトウェア型、実需成長型、設備工事型に分けて見ると整理しやすくなります。
| 企業名|コード | 売上高 | 営業利益 | 収益性・財務 | 見方 |
|---|---|---|---|---|
| 精工技研|6834 | 300.87億円、50.6%増 | 77.33億円、174.5%増 | 営業利益率25.7%、自己資本比率81.2% | 光通信・精密部品の高採算成長が目立つ。 |
| FUJI|6134 | 1,806.42億円、41.8%増 | 292.82億円、112.5%増 | 営業利益率16.2%、自己資本比率83.5% | 電子部品実装機の投資回復を反映。 |
| ラクス|3923 | 602.86億円、23.3%増 | 173.45億円、70.2%増 | 営業利益率28.8%、営業CF133.91億円 | SaaSの高成長と利益回収が両立。 |
| フジクラ|5803 | 1兆1,823.58億円、20.7%増 | 1,887.07億円、39.2%増 | 営業利益率16.0%、営業CF1,329.05億円 | AIデータセンター・光通信関連の代表格。 |
| BuySell|7685 | 320.57億円、37.0%増 | 54.72億円、97.3%増 | 自己資本比率39.1% | リユース市場拡大とオペレーション効率が焦点。 |
| トライアルHD|141A | 1兆36.63億円、67.3%増 | 521.92億円、122.8%増 | 通期営業利益進捗77.2% | 出店・DX・低価格小売の成長力を見る局面。 |
| テクノ菱和|1965 | 986.81億円、17.2%増 | 157.60億円、63.7%増 | 営業利益率16.0%、自己資本比率65.7% | 設備工事の採算改善が強い。 |
| 日本電子材料|6855 | 293.66億円、23.2%増 | 72.49億円、58.1%増 | 営業利益率24.7%、自己資本比率76.7% | 半導体検査関連の高収益性が光る。 |
| ネクソン|3659 | 1,522.34億円、33.6%増 | 581.63億円、39.8%増 | 営業利益率38.2%相当 | ゲームIPの収益力が強い。 |
| PKSHA|3993 | 187.12億円、85.8%増 | 42.53億円、50.8%増 | 通期営業利益進捗63.5% | AI実装需要を取り込む成長株。 |
業績評価
1. AI・半導体インフラは引き続き強い
フジクラ、精工技研、FUJI、日本電子材料は、いずれもAIインフラや半導体投資に近い領域で強い数字を出しました。
特にフジクラは売上規模が大きい中で営業利益39.2%増、営業キャッシュ・フロー1,329.05億円と、利益だけでなく資金面も強い内容です。
精工技研と日本電子材料は営業利益率が20%台で、成長率だけでなく採算の高さが目立ちます。
FUJIは電子部品実装機の回復が大きく、売上高41.8%増、営業利益112.5%増とレバレッジが効いた決算でした。
2. SaaS・AIソフトウェアは利益回収局面
ラクスは売上高23.3%増、営業利益70.2%増で、SaaS企業として非常に見やすい決算です。
広告費や人件費を使いながらも、営業利益率28.8%まで高まっており、成長投資後の利益回収フェーズに入っている印象です。
PKSHAは売上高85.8%増、営業利益50.8%増とAIテーマとしての強さがあります。
ただし、純利益は前年同期比で減少しているため、営業利益の改善と最終利益のズレを分けて見る必要があります。
3. 実需系ではトライアルとBuySellが目立つ
トライアルホールディングスは、売上高67.3%増、営業利益122.8%増と、規模拡大と利益成長が同時に出ています。
低価格小売はディフェンシブに見られやすい一方、出店投資、物流、人件費の負担も大きいため、今後は売上成長だけでなく利益率の維持が焦点です。
BuySellはリユース市場の成長を取り込み、1Qから営業利益97.3%増となりました。
買取・販売の回転率、広告費、査定人員の生産性が継続的に改善するかが次の確認点です。
4. 設備工事ではテクノ菱和が強い
テクノ菱和は、売上高17.2%増、営業利益63.7%増、営業利益率16.0%という内容でした。
設備工事関連は、データセンター、空調、工場投資、都市インフラ更新の追い風を受けやすい一方で、工期遅延や資材費、人手不足が利益を左右します。
同社は営業キャッシュ・フローも121.47億円のプラスで、利益の質も比較的確認しやすい決算でした。
見送り・次点候補
今回の10銘柄には入れませんでしたが、次点として確認したい銘柄もあります。
| 企業名|コード | 見方 |
|---|---|
| エフアンドエム|4771 | 売上高21.9%増、営業利益42.0%増。中小企業向け支援サービスとして安定成長が見える。 |
| ナカニシ|7716 | 売上高21.3%増、営業利益23.6%増。歯科・医療関連の収益力は強いが、会社計画の単位確認が必要。 |
| NJS|2325 | 1Qで売上高20.1%増、営業利益25.3%増。水インフラ関連として安定感がある。 |
| RIZAPグループ|2928 | 営業利益は大幅増だが、構造改革の持続性と財務面を追加確認したい。 |
| ENEOS|5020 | 営業利益は大きく改善。ただし資源・在庫影響を分けて見る必要がある。 |
明日以降の確認ポイント
まず見るべきは、株価反応が決算の強さに対して過熱していないかです。
強い決算でも、すでに市場が織り込んでいる場合、翌日以降の反応は限定的になることがあります。
次に、会社計画の前提です。
今回の決算では、通期予想の数値が個別確認を要する銘柄もあります。特に半導体・設備投資関連は、受注残、顧客投資、為替、製品ミックスで見方が変わります。
最後に、営業利益とキャッシュ・フローの整合性です。
営業利益が伸びていても、売上債権や在庫が増えすぎている場合、資金面では負担が出ます。フジクラ、ラクス、テクノ菱和のように営業CFも確認できる銘柄は、利益の質を見やすい決算です。
まとめ
2026年5月14日の決算では、AI・データセンター・半導体関連、SaaS・AIソフトウェア、低価格小売、リユース、設備工事に強い数字が見られました。
特に目立ったのは、フジクラ、精工技研、FUJI、日本電子材料のインフラ・半導体関連と、ラクス、PKSHAのソフトウェア成長です。
一方で、強い数字ほど市場期待も高くなりやすいため、翌日以降は決算内容だけでなく、株価の織り込み度、来期計画、受注・販売動向、営業キャッシュ・フローを合わせて見ることが重要です。
出典
本記事は、2026年5月14日に開示された各社の決算短信を基に、業績、会社予想、財務安全性、営業キャッシュ・フローを横断比較して作成しています。