選定方針

選定では、各社の決算短信・決算説明資料などから、売上高、営業利益、利益率、会社予想、財務安全性、営業キャッシュ・フローを確認しました。

特に重視したのは、純利益だけではなく営業利益でも改善が確認できるかです。純利益や経常利益だけが大きく伸びている場合は、本業の収益力とは異なる要因が含まれています。

PERやROICは個別記事で未記載の銘柄も多いため、今回の記事では、同日開示の決算数値、会社予想、自己資本比率、キャッシュ・フローを中心に比較しています。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。

注目10銘柄

企業名|コード決算期注目理由注意点詳細
アシックス|79362026年12月期1Q売上高29.7%増、営業利益36.5%増。為替影響を除いても売上高21.2%増、営業利益28.2%増で、グローバルブランドの強さが目立つ。1Q進捗は高いが、為替、広告投資、在庫、地域別成長率で利益が振れやすい。詳細
ダイダン|19802026年3月期通期売上は2.5%減ながら営業利益49.7%増。営業利益率は13.5%へ上昇し、営業キャッシュ・フローも584.37億円のプラス。設備工事は受注採算、人件費、資材価格、工期の影響を受ける。詳細
日比谷総合設備|19822026年3月期通期売上4.8%増、営業利益43.1%増。営業利益率11.3%、営業キャッシュ・フロー116.45億円で、採算改善と資金面がそろう。来期は増収増益計画だが、利益成長率は鈍化する見方。施工人員と資材費に注意。詳細
日本ファルコム|37232026年9月期中間売上高153.9%増、営業利益は前年同期73百万円から969百万円へ大幅改善。通期予想も上方修正し、自己資本比率93.3%。コンテンツ事業は作品投入やライセンス収入のタイミングで四半期業績が変動しやすい。詳細
ツガミ|61012026年3月期通期売上収益20.2%増、営業利益54.9%増。営業利益率28.0%と高く、工作機械で収益性の高さが際立つ。来期の営業利益計画は1.1%増にとどまる。受注環境と高利益率の反動に注意。詳細
三井海洋開発|62692026年12月期1Q米ドルベースで売上収益23.4%増、営業利益63.2%増。円換算でも営業利益74.5%増で、FPSO関連プロジェクトが寄与。大型案件は工程遅延やコスト増の影響が大きい。原油価格、ドル円、案件採算を分けて見る必要がある。詳細
第一工業製薬|44612026年3月期通期売上13.1%増、営業利益88.9%増。営業利益率12.2%へ改善し、来期も営業利益8.8%増を計画。化学品・機能材料は原材料価格、需要サイクル、製品ミックスで収益性が変わる。詳細
JBCCホールディングス|98892026年3月期通期売上8.8%増、営業利益18.7%増。クラウド、セキュリティ、超高速開発が伸び、営業キャッシュ・フロー60.34億円。来期も営業利益19.7%増を計画。人的投資、案件採算、クラウド・セキュリティ需要の継続性を確認したい。詳細
サンネクスタグループ|89452026年6月期3Q売上4.0%増に対し営業利益65.9%増。通期予想を上方修正し、自己資本比率74.0%で財務面も堅い。利益率改善が一過性ではないか、契約数、解約率、人件費、システム投資を確認したい。詳細
ゴールドウイン|81112026年3月期通期売上3.9%増、営業利益18.0%増で過去最高。営業利益率18.8%、自己資本比率76.9%、営業CF262.57億円と質が高い。純利益は1.4%減。主力定番品の数量鈍化、暖冬、インバウンド消費の変化に注意。詳細

上位候補の見方

アシックスは、売上と営業利益の伸びが同日開示のなかでも強く、為替影響を除いた実質ベースでも高成長でした。通期予想は据え置きですが、1Q進捗が高いため、今後は地域別成長率と在庫の質が焦点になります。

ダイダンと日比谷総合設備は、どちらも設備工事の採算改善が明確です。売上成長以上に営業利益が伸び、営業キャッシュ・フローも改善しているため、利益の質が比較的読みやすい決算でした。

日本ファルコムは、コンテンツ投入やライセンス収入のタイミングで収益が大きく動く会社です。今回の中間期は固定費レバレッジが強く出ましたが、下期も同じペースで見るのではなく、案件進捗を分けて確認する必要があります。

ツガミと三井海洋開発は、利益成長の大きさが目立つ一方、景気循環や大型案件の影響を強く受けます。当該業界は景気循環の影響を強く受けるため、業績は一定ではありません。

セクター別の特徴

本日の上位候補は、スポーツ用品、設備工事、ゲーム・コンテンツ、工作機械、海洋開発、化学、ITサービス、アウトソーシング、アパレルに分散しました。

設備工事関連では、ダイダンと日比谷総合設備の採算改善が目立ちました。データセンター、通信、空調、都市インフラ投資は追い風になりやすい一方、人手不足と資材価格は共通リスクです。

製造業・設備投資関連では、ツガミ、三井海洋開発、第一工業製薬が候補に入りました。営業利益の伸びは大きいものの、顧客投資、原油価格、原材料価格、海外需要の影響を受けやすい点は割り引いて見る必要があります。

消費・ブランド関連では、アシックスとゴールドウインが強い決算でした。どちらもブランド価値が収益性を支えていますが、価格許容度、在庫、季節要因、インバウンド動向が利益率に影響します。

見送り・注意したい決算

大林組は営業利益36.6%増、営業キャッシュ・フロー2,529億円のプラスと強い内容でした。ただし、2027年3月期は増収ながら営業減益計画であり、今回は設備工事の採算改善がより鮮明だったダイダンと日比谷総合設備を優先しました。

レイズネクストは売上10.9%増、営業利益35.5%増、営業キャッシュ・フローもプラスで、次点候補です。プラントメンテナンス需要は底堅い一方、工事採算と配当性向の持続性を追加確認したい内容でした。

クロップスは営業利益50.6%増で目立ちましたが、親会社株主帰属利益は減益でした。本業の収益力とは異なる要因が含まれています。来期は最終利益の回復計画があるため、税負担や海外事業の影響が落ち着くかを見たいところです。

住友大阪セメントは営業利益45.9%増、営業キャッシュ・フローも強く、採算改善が見える決算でした。ただし、セメントは建設需要、燃料費、物流費の影響を受けやすく、今回はセクター分散の観点で上位10社から外しました。

明日以降の確認ポイント

まず確認したいのは、決算発表翌日以降の株価反応が業績成長に対して過熱していないかです。強い決算でも、市場がすでに高い成長を織り込んでいる場合、株価反応は限定的になる可能性があります。

次に、会社予想の前提です。増収増益計画でも、為替、労務費、資材価格、顧客の設備投資、広告費、在庫、案件進捗が変わると、計画の見え方は変わります。

最後に、営業利益とキャッシュ・フローの整合性です。営業利益が伸びていても、売上債権、在庫、先行投資で営業キャッシュ・フローが弱い場合は、成長の質を追加確認する必要があります。

まとめ

2026年5月13日の決算では、アシックスのグローバル成長、ダイダンと日比谷総合設備の工事採算改善、日本ファルコムのコンテンツ収益、ツガミや三井海洋開発の高い利益成長が目立ちました。

今回の10社は、同日の開示内容を比較した「確認候補」です。強い数字を出した企業でも、来期計画、キャッシュ・フロー、一時要因、業界サイクルを合わせて見ることで、決算の読み違いを減らしやすくなります。

出典

本記事は、2026年5月13日に開示された各社の決算短信・決算説明資料などの計算書類を基に、業績、会社予想、財務安全性、株価指標を横断比較して作成しています。

株価・PERなどの補助市場データを使用した場合は、各個別記事に記載された参照元を確認しています。

本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。