決算サマリー
| 項目 | 当期実績 | 前年同期 | 増減率 | 会社計画 | 進捗率 |
|---|---|---|---|---|---|
| 売上高 | 4兆566.38億円 | 4兆3,371.11億円 | -6.5% | 4兆5,000.00億円 | - |
| 営業利益 | 4,375.56億円 | 4,688.77億円 | -6.7% | 2,500.00億円 | - |
| 純利益 | 3,800.51億円 | 4,203.64億円 | -9.6% | 3,100.00億円 | - |
| EPS | 341.14円 | 436.09円 | -21.8% | 278.26円 | - |
販売電力量の減少で減収減益となったが、火力燃料費や他社購入電力料の低下で高い利益水準は維持した。来期は売上増でも利益減を見込んでいる。
定量評価
| 指標 | 直近実績 | 比較対象 | 見方 |
|---|---|---|---|
| EPS成長率 | -21.8% | 前年同期比 | 1株利益は高水準ながら低下しており、ピーク利益の反動局面とみられる |
| ROIC | 開示なし | - | 短信冒頭ではROICの開示がなく、ここでは推計を置かない |
| PER推移 | 現在約8.8倍 | 2026年5月8日時点の株価2,448.5円、会社予想EPS278.26円 | 低PERで、来期減益と電力株特有の制度リスクを織り込む水準とみられる |
数字から見ると、足元利益は厚いが、株価はそれを永続利益とはみなしておらず、来期減益を強く意識している。
ポジティブ要因
高い利益率を維持した
営業利益率は10.8%で前期と同水準を維持した。減収でも費用減で採算を保っており、収益体質は急には崩れていない。
持分法利益は増加した
持分法投資損益は336億円で前期の254億円から増加した。電力本体以外の利益寄与が下支えとなっている。
自己資本比率が改善した
自己資本比率は31.8%から35.1%へ上昇し、純資産は3兆5,027億円まで積み上がった。財務面では回復余地より、既に一定の安定感が出ている。
配当は増配した
2026年3月期の年間配当は75円で前期の60円から増配となり、2027年3月期予想も80円を示した。利益水準の高さを株主還元へ反映している。
リスク要因
来期は大幅減益計画である
2027年3月期会社計画は売上高4兆5,000億円と増収だが、営業利益は2,500億円で42.9%減、経常利益は2,900億円で44.1%減を見込む。数量回復だけでは利益を維持できない前提である。
総販売電力量は減少した
総販売電力量は1,521.91億kWhで前年度比2.5%減となった。他社販売電力量の減少が大きく、需要動向の弱さが売上を押し下げた。
手元資金は減少している
営業CFは6,523億円のプラスだが、投資CFは5,719億円のマイナス、財務CFは2,902億円のマイナスで、期末現金は7,412億円へ減少した。成長投資と還元の両立で資金負担はある。
電力業界は制度と燃料価格の影響を強く受ける
燃料費や購入電力料、販売電力量の変化が利益を大きく動かす。外部環境や制度前提が変われば、見通しは振れやすい。
財務安全性
自己資本比率は35.1%で中位水準にあり、前期より3.3ポイント改善した。営業CFは6,523億円の黒字で資金創出力は高いが、投資CFと財務CFの支出で期末現金は減少している。有利子負債の詳細は冒頭要約だけでは限定的だが、純資産が厚く、短期の資金繰り懸念は相対的に小さい。
業界動向との関連
電力会社は販売電力量、燃料価格、調達構成の違いで利益が大きく動く。関西電力も販売数量は減った一方、費用減で高収益を維持しており、数量より調達・運用の巧拙が業績に効く業界特性が表れている。
株価への示唆
前提は、2027年3月期会社予想EPS278.26円、2026年5月8日時点の株価2,448.5円で、予想PERは約8.8倍である。低PERは魅力にも見えるが、来期減益計画と電力制度リスクを踏まえた水準と考えられる。株価は業績だけでなく市場期待や需給によって変動します。
| シナリオ | 想定PER | 予想EPS | 理論株価 |
|---|---|---|---|
| 弱気 | 7倍 | 278.26円 | 1,948円 |
| 中立 | 9倍 | 278.26円 | 2,504円 |
| 強気 | 10.5倍 | 278.26円 | 2,922円 |
上記は燃料費の落ち着きと電力需給の安定を前提にした試算である。燃料価格上昇や制度変更があれば弱気シナリオに近づく可能性があり、逆に原子力・他社受電を含む調達最適化が続けば強気シナリオもあり得る。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
今期の総括
2026年3月期は、減収減益ながら高収益を維持し、財務体質も改善した。一方で、来期は大幅減益を見込んでおり、足元利益をそのまま延長しにくいことも明確に示した。
来期見通し
会社は2027年3月期に売上高4兆5,000億円、営業利益2,500億円、経常利益2,900億円、純利益3,100億円、EPS278.26円を計画している。売上は前期比10.9%増を見込むが、利益は大きく減る計画であり、電力販売単価・燃料費・需給構成の前提に左右されやすい。会社予想は外部環境により変動する可能性があります。
総合判断
総合判断は中立である。現在の利益水準と財務改善は評価できるが、来期減益幅が大きく、PERの低さもその不確実性を反映しているためだ。次回決算では、数量と採算のどちらが実際に利益を支えるかが焦点となる。
出典
本記事は、対象企業が開示した決算短信・開示資料を基に作成しています。
- 2026年3月期 決算短信〔日本基準〕(連結)、2026年4月30日開示
- 補足市場データ: 株価、予想PERは市場データを参照して、算出されています(2026年5月8日時点)