何が面白い会社なのか
LASSICの面白さは、鳥取発という地域性と、リモートワーク特化型のIT人材プラットフォームという事業テーマがきれいにつながっている点にある。
都市圏ではITエンジニア不足が続いている。一方で、地方には「都市部の仕事に関わりたいが、生活拠点は変えたくない」人材がいる。
この二つをリモートワークでつなぐのが、LASSICの事業ストーリーである。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 会社名 | 株式会社LASSIC |
| 証券コード | 574A |
| 市場区分 | TOKYO PRO Market |
| 上場予定日 | 2026年5月27日 |
| 業種 | 情報・通信業 |
| 本社 | 鳥取県鳥取市 |
| 主な領域 | IT人材ソリューション、リモートワーク人材、DX支援 |
| 主要サービス | Remogu、リラシク、ITソリューション |
単なるSI企業として見ると少し薄い。むしろ、HRテック、地方創生、リモートワーク、DX人材不足という複数テーマの交差点にいる企業である。
上場の意味
今回のTOKYO PRO Market上場は、LASSICにとってゴールではなく、信用力を高めるための通過点に近い。
特に効きそうなのは、法人営業と採用である。
大企業や自治体との取引では、会社の信用力がかなり重要になる。上場企業という看板は、プライム案件や長期契約の獲得でプラスに働きやすい。
もう一つは、エンジニア採用・登録者獲得である。
リモートワーク人材のマッチングでは、企業側だけでなく、働き手側からの信頼も必要になる。鳥取発の未上場企業から、TOKYO PRO Market上場企業へ変わることで、Remoguの認知と安心感は高まりやすい。
ただし、ここは冷静に見たい。
TOKYO PRO Marketはプロ投資家向け市場であり、東証グロースやスタンダードとは投資家層も流動性も違う。上場したからすぐに株式市場で高い流動性が出る、という話ではない。
成長ロードマップ
LASSICの成長シナリオは、3段階で見ると分かりやすい。
フェーズ1:Remoguの拡大
↓
リモートワークIT人材の登録者・法人顧客を増やす
マッチング精度、案件単価、継続率を高める
フェーズ2:地方共創モデルの横展開
↓
鳥取発の運営モデルを他地域へ広げる
自治体DX、地方企業DX、人材還流の案件を増やす
フェーズ3:地方創生エコシステム化
↓
IT人材、企業、自治体、地方拠点をつなぐ基盤へ
一般市場へのステップアップも視野に入る
いちばん重要なのは、Remoguが単発の人材紹介で終わらず、継続的な案件供給と人材登録のネットワーク効果を持てるかである。
登録エンジニアが増え、企業側の案件も増えれば、マッチング精度と成約スピードは上がりやすい。逆に、登録者だけ増えて案件が薄い、あるいは案件だけ増えて人材が足りない場合、プラットフォームとしての強さは出にくい。
投資家向けの見方
投資家が見るべきポイントは、テーマ性よりも収益化の質である。
2025年4月期は、売上高47.88億円、経常利益2.07億円だった。経常利益率は約4.3%で、赤字先行のスタートアップというより、一定の収益を出しながら上場するIT人材サービス企業である。
| 見るポイント | 確認したいこと |
|---|---|
| 売上成長 | RemoguとITソリューションの成長率 |
| 利益率 | 人材獲得コスト、外注費、営業費用の管理 |
| 継続性 | 法人顧客のリピート、案件継続率 |
| 人材基盤 | 登録エンジニア数、稼働者数、地方人材の獲得力 |
| 市場評価 | TOKYO PRO Marketでの流動性、将来の一般市場移行可能性 |
投資家が期待するのは、地方創生の美しいストーリーだけではない。
実際には、IT人材不足という構造テーマを、どれだけ売上と利益に変えられるかがすべてである。
求職者向けの見方
求職者にとってのLASSICは、「地方にいながらITの仕事を広げられる会社」として見えやすい。
地方に住みながら都市部の案件に関わる。フルリモートでキャリアを伸ばす。あるいは、地方企業や自治体のDXに関わる。
この文脈はかなり強い。
特に、都市部に出なければ良いITキャリアを作れない、という前提を崩せる点に魅力がある。採用ページや企業紹介では、ここを前面に出した方が刺さりやすい。
市場への影響
LASSICの上場は、地方IT企業やリモートワーク関連企業にとって、一つの参考事例になる。
TOKYO PRO Marketは、一般市場への前段階として使われることがある。LASSICも、今回の上場でガバナンス、開示、信用力を整え、将来的に一般市場へのステップアップを目指す可能性がある。
ただし、そこはまだ予測の域を出ない。
現時点で確実に言えるのは、上場によって認知度と信用力が上がり、法人営業・採用・パートナー連携には追い風になるということだ。
リスク
LASSICを見るうえでのリスクは、主に4つある。
| リスク | 内容 |
|---|---|
| 流動性リスク | TOKYO PRO Market銘柄のため、売買が薄くなる可能性がある |
| 競争リスク | IT人材紹介、フリーランス案件、SI支援は競合が多い |
| コストリスク | エンジニア獲得、営業、人材管理のコストが上がる可能性 |
| 成長鈍化リスク | リモートワーク需要が一巡した場合、成長率が鈍る可能性 |
テーマは良い。ただ、テーマが良い会社ほど、投資家は「どこまで数字になるか」を厳しく見る。
LASSICの場合も、売上成長だけでなく、利益率とキャッシュ創出を確認したい。
まとめ
LASSIC(574A)は、鳥取発のIT人材サービス企業として、リモートワーク、地方創生、DX人材不足という強いテーマを持つ。
2026年5月27日のTOKYO PRO Market上場は、同社にとって信用力と認知度を高める重要イベントである。Remoguを中心に、都市部のIT人材不足と地方人材の働き方をつなぐプラットフォームへ成長できるかが焦点になる。
投資家目線では、ストーリーはかなり分かりやすい。一方で、TOKYO PRO Market銘柄としての流動性、競争環境、利益率の持続性は慎重に見る必要がある。
個人的には、LASSICは「地方発IT企業の上場ストーリー」としてかなり面白い。ただし、買う・評価するなら、上場後の売買状況と次回以降の開示で、Remoguの成長が本当に数字へ落ちているかを確認したい。
参考情報
- 日本取引所グループ「新規上場会社情報(TOKYO PRO Market)」 https://www.jpx.co.jp/equities/products/tpm/issues/index.html
- 日本M&Aセンター TOKYO PRO Market上場支援サービス「株式会社LASSICが、TOKYO PRO Market上場へ」 https://www.nihon-ma.co.jp/tokyopromarket/news
- LASSIC公式サイト https://www.lassic.co.jp/