何に引かれているかを比べる
含み損の株を売らない理由が一つとは限りません。損失回避は失うことを強く負担に感じる傾向、アンカリングは特定の数字へ判断が引かれる傾向です。サンクコスト効果は、回収できない過去の支出や労力が今後の判断に影響する問題です。
| 気になっている理由 | 点検する問い |
|---|---|
| 損失を確定したくない | 今後さらに下がる負担も比較したか |
| 買値まで戻ってほしい | 現在の事業や価格から説明できるか |
| 調査に時間を使った | その時間を除いても保有を選ぶか |
| 現在も成長を見込む | どの資料と前提で見通しを更新したか |
最後の理由が資料で説明できれば、保有継続の合理的な根拠になる場合があります。含み損を持つ行動だけで、偏りを断定することはできません。
同じ現在値で違う買値の仮例
Aさんは1,500円、Bさんは900円で同じ株を100株買い、現在値は1,000円とします。Aさんの含み損は5万円、Bさんの含み益は1万円ですが、二人が今持つ株は同じ時価10万円です。会社の将来は、二人の買値で変わりません。
ただし家計、保有額、税・費用は違うため、結論まで同じにする必要はありません。「保有を続ける案」と「今から新たに買う案」も条件が完全には一致しません。
心理と価格の基準を分ける
事前に価格の点検水準を置く方法も、事業の変化を条件にする方法もあります。どちらも売るべき価格を保証する仕組みではありません。商品や期間、必要資金に合う条件かを見ます。
比較では今日の時点を固定し、今後のリスクと資金の使い道を書きます。過去の買値を回復する希望を、現在の企業価値の見積もりへ混ぜていないかを確かめます。
出典
- Odean(1998)“Are Investors Reluctant to Realize Their Losses?”(著者所属大学公開の掲載版)
- Tversky and Kahneman “Loss Aversion in Riskless Choice: A Reference-Dependent Model”(著者編書籍への再録・出版社公開要旨)
- Arkes and Blumer(1985)“The psychology of sunk cost”
- Tversky and Kahneman(1974)“Judgment under Uncertainty: Heuristics and Biases”