非課税口座でも熱狂の影響は残る
周りで話題のテーマへNISAで投資し、「長く非課税で持てるから安心」と感じることがあります。NISAは対象利益等への国内課税を軽くする制度で、人気のある資産の価格を保証しません。チューリップの比喩を思い出しても、今が天井かどうかはその話だけでは決まりません。
売却損と総枠を分ける仮例
NISAで60万円分買った対象商品を36万円で全て売ると、費用を省いた損失は24万円です。売却により翌年以降に再利用できる非課税保有限度額の基準は取得額の60万円ですが、失った24万円が補われるわけではありません。売った年の年間投資枠がその場で戻る仕組みでもありません。
この損失を課税口座の利益と損益通算したり、翌年以降へ繰越控除したりすることはできません。制度の扱いは2026年10月23日に金融庁・国税庁の説明で再確認しました。例は売買を勧めるものではなく、口座の枠と現金残高を混同しないための整理です。
歴史と制度は別の情報として使う
17世紀のオランダの球根取引について、Garberは取引や価格を経済的な要因から問い直しています。現代のNISAや取引所の条件と同じではなく、昔の逸話から現在の商品の安全性を採点することはできません。
話題の商品を比べるなら、何に投資し、上位銘柄や業種がどの程度重なっているか、価格の根拠と費用を読みます。複数の商品を買っても同じ人気テーマへ集中すれば、同じ原因で下落する場合があります。
非課税枠が余っていることは、入金や購入を急ぐ理由にはなりません。生活費や近く使う資金を分け、価格が戻らない場合でも支出に対応できるかを先に考えます。長期の保有が可能な制度と、自分が待てる資金の期限をそろえることが、歴史の比喩より具体的な点検になります。
出典
- Peter Garber(1989)『Tulipmania』(Journal of Political Economy・出版社公開要旨)
- 金融庁「よくある質問:NISA特設ウェブサイト」
- 国税庁「No.1535 NISA制度」
出典確認日:2026年10月23日。