記事の図解

ベンジャミン・グレアムの考え方と投資心理

ベンジャミン・グレアムは、企業の価値を調べ、株価と比較する価値投資の考え方を体系化した人物です。投資判断に心理が影響するのは、株価が大きく動いたときに、価格の変化を企業価値そのものの変化と取り違えやすいからです。

グレアムの考え方にある「安全域」は、企業価値の見積もりに不確実性があることを前提に、見積もった価値より低い価格で買う余地を設ける発想です。価値は正確に測れる数字ではありません。将来の利益や資産をどのように見積もるかで変わるため、低い株価や低PERだけで安全域があると決めることはできません。

安く見える株に飛びつかない

株価が大きく下がると、「前より安くなったから割安だ」と考えたくなります。しかし、利益の減少、債務の増加、事業の競争力低下などがあれば、企業価値の見積もり自体も下がるかもしれません。価格の下落だけを見て買い増すと、悪化の理由を無視することがあります。

反対に、良い企業だと考えるあまり、高い価格を正当化することもあります。企業への好感や期待と、現在価格にどの程度の成長が織り込まれているかを分けて考えます。どちらの場合も、先に投資仮説を書き、都合の悪い情報を探すことが役立ちます。

判断を急がないための確認

  1. 会社の財務諸表と開示資料から、利益、負債、キャッシュフローを確認する。
  2. 一時的な業績変動と、事業の長期的な変化を分けて考える。
  3. 企業価値を一つの数字で断定せず、前提を変えた複数の見積もりを作る。
  4. 自分の見積もりが間違っていた場合に備え、無理のない投資額にする。
  5. 株価が下がったときは、値動きだけでなく投資理由が変わったかを調べる。

グレアムの安全域は、損失をなくす保証ではありません。価値の見積もりが外れれば、余裕があっても損失になることがあります。投資家心理を点検し、期待や不安に左右されずに根拠を確かめる考え方として使いましょう。

参考資料