非課税で値戻りを待てば、財務の弱い会社も有利なのか
株価が大きく下がった会社を、NISAで長く持てば回復時の利益を大きく残せると思う場合があります。しかし、税の扱いは会社の返済や本業の採算を変えません。ゾンビ企業は、収益や利払い能力が長く弱く、借換えや支援への依存を問う時の呼び名で、統一した法的分類ではありません。
低い株価だけで当てはめることも、呼び名があるだけで再建不能と決めることもできません。
同じ年の別口座と比べる仮例
架空の国内株をNISAで一株260円、1,000株、計26万円買い、後に一株180円で全株を売ったとします。売却代金は18万円、価格差の損失は8万円です。同じ年に課税口座の別の上場株式等の売却益が8万円あったとしても、NISAの損失で相殺はできません。
2026年10月23日に確認した国税庁の説明では、NISAの売却損は税務上ないものと扱い、課税口座の対象利益等との損益通算や繰越控除ができません。費用、配当、他の取引を省き、実在の会社の価格や成績を使わない例です。
この架空の会社をゾンビ企業と認定するための財務情報も置いていません。低い価格の株に起きる損失と口座の扱いを読み、非課税だから下落の負担も軽くなると考えないための設定です。
存続することと、株主の成果は違う
借換えや支援で事業が続いても、増資や債務の処理で既存株主の持分が変わる可能性があります。資産を売れば、返済の現金を作る一方、その後に残る収益も変わる場合があります。
利益と利息の比率、営業キャッシュフロー、手元現金、返済期限を同じ範囲で読めます。計画が出たことと、本業の採算や返済余力へ成果が出たことも別です。
口座の枠を、投資理由の代わりにしない
BISやOECDの研究は、継続した利払い能力や企業年齢などの条件を使っています。名称だけを根拠に、安いから多く買える、支援があるから戻るという見込みへ進むことはできません。
NISAの非課税期間が長くても、会社の資金繰りや自分の支払日が同じだけ延びるわけではありません。損失を取り返すため投資額を増やせば、同じ会社へ負う金額も増えます。
制度の枠を埋めることより、今からどの事業と財務へ参加するかを分けて考えられます。借換えや再建の条件が未確認なら、将来の値戻りを確定した利益のように数えない読み方です。
出典
- Banerjee・Hofmann(2018)BIS Quarterly Review『The rise of zombie firms: causes and consequences』(研究ごとの分類と将来収益の区別)
- Adalet McGowan・Andrews・Millot(2017)OECD『Insolvency regimes, zombie firms and capital reallocation』(分類の条件と、継続した利払い能力の扱い)
- 国税庁『No.1535 NISA制度』(非課税の対象と損失の扱い)
出典確認日:2026年10月23日。