「良い企業」と「有利な買値」の間にある問い
マークスが述べる第二次思考では、企業や資産の将来を見るだけでなく、他の参加者の見方と価格の関係を考えます。事業が順調でも、その成長を上回る期待が価格に含まれていれば、買い手にとって有利とは限りません。逆に、厳しい現状だけで投資対象から外すと、改善の可能性や価格の低さを見落とす場合があります。
これは、多数派と反対の売買をすればよいという指示ではありません。自分の予想が違う理由を、資料や仮定に戻って説明する必要があります。
25%増益という事実からは分からないこと
架空の企業の利益が80億円から100億円へ増えたとします。前年との比較では25%増ですが、発表前の予想が90億円なら上振れ、110億円なら下振れです。ここでの予想は説明用で、実際の市場参加者の予想を表しません。
この違いを調べるには、会社予想と調査会社の集計予想を区別し、いつ時点の数値かをそろえます。発表後に修正された集計値を発表前の期待として使えば、当時の判断を再現できません。予想の対象が営業利益か純利益か、連結か単体かも一致させる必要があります。
自分の予想を細かく分ける
上の比較予想ではなく、自分の利益予想を置くなら、販売数量、単価、利益率など、どの部分が他の予想と異なるのかを分けられます。数量が増えても単価の下落で打ち消される場合や、一時的な利益が増益に含まれる場合も考えられます。
見立てが当たる可能性だけでなく、外れた際に何が起きるかも検討対象です。一つの強気予想から買付額を決めると、予想に幅があることを見落とします。第二次思考に計算基準が統一された「適正株価の公式」があるわけではありません。
複雑さを増やすだけでは検証できない
他の投資家がどう考えるかを何重にも推測すると、根拠がない想像が増えることもあります。株価の動きから参加者全員の期待を直接読み取れるわけではなく、使える情報には限りがあります。
判断時点の価格、比較した資料、自分の予想、その予想が崩れる条件を残せば、結果と前提のどちらが違ったかを追えます。利益が予想どおりでも、評価倍率や為替が変わって株価が逆に動く場合があります。考え方の妥当性と、短期の売買損益を同じ一回の結果だけで判定しない姿勢につながります。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。