バケツの穴の見方で起きる失敗

残高が増えても運用益とは限らない

「バケツの水が増えた」を投資の成功と読み替えると、給料からの追加投資と運用の利益が混ざります。比喩だけでは入金と利益が区別されないため、何を集計しているかを自分でそろえる必要があります。

運用口座の期首残高が100万円、途中の追加投資が20万円、期末残高が110万円だったとします。途中の払戻しがなければ、運用による増減は110万円−100万円−20万円=マイナス10万円です。残高は10万円増えていても、利益が出たとはいえません。

金額と収益率は別に計算する

この例の損益額は分かっても、収益率を単純に10万円÷100万円で決めることはできません。20万円をいつ入れたかによって、実際に運用していた資金額と期間が変わります。

月初の積立と月末の積立、年の初めの一括入金を同じ条件と見なすと、商品や他人の成績との比較もずれます。運用報告の利回りが、入出金の影響をどう扱う方式かをそろえる必要があります。

税金と内部費用も混ぜない

信託報酬が差し引かれた基準価額で運用成果を計算しているなら、同じ信託報酬を後から二度目の費用として引く必要はありません。一方、別に払った売買手数料や、配当・売却益への税金は、計算の目的に応じて扱いをそろえます。

NISAなら対象となる利益の国内課税は異なりますが、商品の内部費用や値下がりまで消える制度ではありません。「税金という穴をなくせば減らない」という説明には飛躍があります。

支出を何でも悪い穴と呼ばない

医療や生活の維持に必要な支出を削ったために、後で家計の負担が増えることもあります。逆に、使っていないサービスの支払を止められるなら、運用利回りを仮定せずに費用の差を把握できます。

資金移動、消費支出、運用損益、税金・費用を分けて記録すれば、改善できる支出と、投資で引き受けたリスクが見えます。比喩をそのまま売買指示にせず、数値を整理する入口として使う範囲が適切です。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。