ゾンビ企業をどう比較するか

利益が低い会社は、すべて同じ状態か

新しい事業へ投資している会社と、長く主力事業の利益が弱い会社では、同じ年の利益が低くても背景が異なります。借入れの額や支払う利息、返済の期限も違います。低収益という一言から、すべて同じ扱いにはできません。

ゾンビ企業は研究などで使われる呼び方ですが、定義は一つではありません。法的な倒産状態と同じ意味でもなく、名前だけで個別企業の将来を決められません。

利払いを賄う力を置く独自の比較

架空の非金融会社AとBの、利払い・税引前利益をどちらも12億円とします。支払利息はAが4億円、Bが16億円です。利益を利息で割る利払い能力の比率は、Aが3倍、Bが0.75倍です。

この期間の利益だけでは、Bは利息を全額賄えていません。ただし、一年の比率だけでBをゾンビ企業や倒産間近と断定できません。手元の現金、資産の売却、損益と現金の差、次の期の収益によっても支払いの条件が変わります。実際の企業の数値ではない独自の設定です。

利益や利息の範囲が違う資料を比べると、比率自体がずれます。営業利益を使う指標等もあるため、表示名だけで同じ式と考えず、定義と対象期間をそろえる必要があります。

過去の研究で使われた条件

BISの2018年の掲載研究は、非金融の上場企業を対象に複数の定義を比べています。広い定義では、利払い能力の比率が三年以上続けて一未満で、設立から十年以上という条件を使います。狭い定義では、市場評価からみた将来の収益性の条件も加えています。

これは過去のデータを分析する執筆者の研究であり、現在の日本の公式な企業分類や法的基準ではありません。自分が使った一年の比率だけを、その研究の完成した判定へ置き換えることはできません。

回復の説明と、支払う期限を重ねる

設備投資や事業再編の費用で利益が一時的に小さくても、その後の回復には前提があります。会社が示す受注、販売数量、固定費の削減、資金調達が実際に進んでいるかを追う材料になります。

返済が先に到来すれば、回復の見込みがあっても資金が足りない場合があります。反対に、現金や調達余地があれば、その期間に立て直すこともあります。損益と資金繰りを一つの数字にまとめないことが必要です。

企業を比べる際は、呼び名より利益の継続性と支払いの条件へ戻れます。低い株価や大きな反発への期待も、事業の回復や株主へ残る価値を保証するものではありません。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。