残高が減っただけで、運用の失敗とは限らない
退職後に預金を取り崩して生活すると、資産残高は少しずつ減ります。使う予定だったお金まで残高維持の対象にすると、生活に必要な支出を無理に削ったり、高い利回りを求めたりしがちです。60代の資産防衛は、収入と支出、使う時期を踏まえ、資産を生活へつなぐ考え方です。
法律で一つの投資手法が決まった用語ではありません。働き続ける人、住宅ローンや家賃がある人、家族への支援がある人では、同じ年齢でも必要な現金は違います。
取り崩しと損失を分ける仮例
架空の人が預金1,000万円を持ち、生活費のうち収入で賄えない部分へ年96万円を使ったとします。利息や税、他の入出金をゼロと置けば、一年後の残高は904万円です。この96万円は暮らしに使った支出で、運用の値下がり損ではありません。
残高を維持するため同じ額の運用益を毎年求めると、必要な生活費と不確実な収益を結びつけることになります。支出が今後も同じか、収入が変わるか、臨時の費用があるかは、この一年の例とは別に考えます。残高を割っただけで、生涯の安全を判断する例でもありません。
何を守るかは、一つではない
名目元本を守ること、物価が上がっても買える量を保つこと、支払日に使えることは、違う目標です。金融庁の資産形成の説明も、安全性、収益性、流動性のすべてが最も高い商品は無いと示しています。商品を選ぶ前に、どの用途のお金かを決める理由になります。
年金についても、通知された額と実際の振込額を混ぜないようにします。日本年金機構の説明では、年金振込通知書に支払額と控除後振込額が区別されています。生活の予算には、本人が実際に使える収入と、別に支払う費用を対応させます。
資産防衛は、すべてを現金へ移すことでも、年齢相応の株式比率を当てはめることでもありません。自分の支払いと負担に合う形へ、資産を整理することです。
出典
出典確認日:2026年10月23日。