お金と幸福とは?投資心理との関係でわかる投資判断の使い方

収入が多いほど幸福、から飛躍しない

お金があれば、急な出費に対応したり、働く時間を選んだりできる余地は広がります。一方、評価額が増えても、家計の支払いを心配しながら値動きを見続けるなら、投資前に求めた生活とは離れる場合があります。資産額、収入、日々の気分、人生全体への満足は、それぞれ別の指標です。

ペンシルベニア大学が2023年3月6日に紹介した共同研究では、収入と感情面の幸福との関係は、人々の群によって異なるという結果でした。この関係の報告から、日本で誰もが幸福になる資産額や、投資で儲ければ必ず幸福になるという因果関係までは導けません。年収を調べた結果を、保有資産の基準額に読み替えることも避けます。

現金60万円と120万円で変わる選択肢

固定的に必要な支出が月20万円で、収入が完全に止まった家計を仮定します。他の給付や収入、臨時支出を入れなければ、現金60万円は3か月分、120万円は6か月分です。後者には、急いで転職先を決めたり、下落中の投資資産を売ったりせずに済む期間を長くできる面があります。

この60万円の差は幸福度の差を数値化したものではありません。同じ家計でも、家族の援助や再就職の見込みで必要な余裕は変わります。収入が続いていても毎月2万円の赤字なら、現金は別の速さで減ります。残高の大きさと一緒に、今の収支が黒字かも確認します。

目標を他人の残高から自分の使途へ戻す

SNSで同年代の資産額を見るたびに目標が上がると、生活の必要額とは関係なく保有額を増やしたくなります。比較したくなったら、「何に、いつ、いくら使いたいか」を一度書き出します。半年後の引越し費用と、20年以上先の生活費では、値下がりに耐えられる期間が異なります。

たとえば、自由時間を増やすための転職準備金を作りたい人が、評価額の順位を上げるためにその資金まで投資すると、目的と手段が逆になります。売買後の満足度だけで判断せず、相場を確認する時間、睡眠、予定していた支払いに支障が出たかも振り返ると、自分が何を代償にしたかが見えます。

安心のための現金にも役割と限度がある

生活用の現金を残すことは、長期資金も全額現金にすることと同じではありません。物価が上がれば、同じ金額で買えるものは減ります。近い支払いを守るお金と、時間をかけて増やすお金を分けると、安心と将来への備えを別々に検討できます。

目標を達成した後も不安が続くなら、直ちに目標額を引き上げる前に、支出や家族の事情が変わったのか、比較の相手が変わったのかを確かめます。必要な準備と尽きない競争を見分けることが、投資心理としてのお金と幸福を考える入口です。

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