生活費25万円、手取り収入20万円の家計
ここでは退職後の一世帯について、生活費が毎月25万円、年金などの継続収入が手取りで毎月20万円と仮定します。不足は月5万円、年60万円です。収入と支出が変わらず20年続くなら、60万円×20年=1,200万円になります。これは実在世帯の平均額ではなく、必要額を計算する手順を示す例です。
年金額の通知などに載った額面を、そのまま使える収入にしないよう注意します。税や社会保険料を差し引いた入金額と生活費を対応させます。生活費側に既に含めた費用を別にもう一度足すと二重計上になるため、どちらへ入れたかも記録します。
修繕と長生きの条件を一つずつ追加する
この家計で、20年間に住居の修繕費100万円を別途見込むなら、必要額は1,300万円です。持ち家でも修繕や管理の費用はなくなりません。車の買替えや医療・介護なども、月々の支出と分けて、時期と金額の幅を置きます。保険で受け取る見込みがあれば、支出との重複を整理します。
取り崩し期間が25年に延び、他の条件を据え置くなら、60万円×25年+100万円=1,600万円です。20年の場合との差は300万円。何歳まで生きるかを一つに決め打ちするより、期間を延ばした場合に支出の調整や追加収入がどれだけ必要かを確認できます。
物価上昇は生活費全体へかかる
初年度の年間生活費は25万円×12か月=300万円です。翌年から支出全体が2%増え、手取り収入は年間240万円のままと仮定すると、翌年の支出は306万円、不足は66万円になります。不足額60万円だけを2%増やした61万2,000円ではありません。収入と支出が違う動きをするためです。
2%は説明用の仮定で、将来の物価や年金改定を予測していません。実際には固定的な支払いと変動する支出を分け、年金などの収入が増減する場合も試します。生活費を月1万円調整できるなら年12万円、20年の単純合計では240万円の差になることも、同じ表で比べられます。
計算した不足を、いつ使う資金かに分ける
必要額が分かっても、全額を高い利回りの商品へ移せば解決するわけではありません。近い生活費と修繕費まで値動きの大きな資産で持つと、相場の下落時に売却して支払いに充てる可能性が高まります。取り崩す年を並べ、近い支払い用の資金と長期で運用する部分を分けて考えます。
運用収益を入れる場合は、手数料や税を引いた後の額で試算し、毎年同じ利益が出ない場合も確かめます。働く期間、住まい、家族構成が変われば表を更新します。一度計算した1,300万円を固定目標にするより、実際の入出金に合わせて不足額を見直す方が、使うための老後資金計画に近づきます。