生成AI銘柄の考え方とは?実例でわかる投資判断の使い方

「AIを導入した」の先で、誰がお金を払うか

生成AIは文章や画像などを生成する技術の総称です。関連銘柄という呼び方には、半導体や計算設備を供給する会社、AIの仕組みを提供する会社、それを使った業務サービスを売る会社など、異なる立場が含まれます。「AI」と付くこと自体は、利益率や株価の上昇を保証する条件ではありません。

OECDのAI供給網に関する説明でも、モデルを作る学習と、出来上がったモデルを使う推論の両方に計算基盤が必要だと分かります。サービスを売る側が外部の基盤を利用するなら、利用が増えた際の売上だけでなく、その費用も読む対象になります。

無料実証から有料契約へ進んだ独自の仮例

架空の会社Aが、企業の社内資料を検索して回答案を作るサービスを始めたとします。無料実証に参加した企業は1,000社ですが、その後一年間を通じて料金を払ったのは100社です。月額は1社3万円で、この一年の契約社数や料金は変わらず、解約や未払い、値引きもないと仮定します。

このサービスの年間売上は100社×3万円×12か月=3,600万円です。外部AIとクラウドの利用費が年1,200万円、担当者の人件費が1,000万円、ほかの直接費が300万円なら、これらを引いた残りは1,100万円になります。すべて説明用の独自の数字で、実在の企業の契約数や採算ではありません。

残った1,100万円を、そのまま会社の利益にしない

例では、この事業に直接割り当てた費用しか入れていません。開発段階の費用をどこまで負担したか、会社全体の管理費や設備の償却、資金調達の費用、税などは別です。したがって、この残額を会社の営業利益や純利益と呼ぶことはできません。

また、無料実証の1,000社を有料顧客として売上計算へ入れると、前提を取り違えます。契約100社が、以前からある別サービスの契約を切り替えただけなら、会社全体で同額の売上が増えたとも限りません。新規の売上と既存事業からの移行を分ける必要があります。

顧客の価値と、提供側の採算を一緒に追う

例のサービスを続けて調べるなら、顧客が回答の点検にどれだけ手間をかけるか、料金に見合う効果を感じて更新するかが問いになります。回答案が速く出ても、誤りの修正や運用の負担が大きければ、契約が続くとは限りません。逆に、利用回数の増加が外部AIの利用費を押し上げる場合、売上増加と採算改善も同じではありません。

実際の企業の資料では、実証の参加、契約、稼働、売上計上がどの段階かを読みます。AI関連売上を分けて開示していなければ、全社の増収をすべてAIの成果と見なすことはできません。成長を確認できても、株価が既にどれほどの成果を期待しているかは別の問いとして残ります。

出典