辰巳天井の誤用

何を当たりと呼ぶかが曖昧なまま数えない

辰巳天井は、辰・巳の年と株価の高値を重ねる格言です。これをデータと比べるなら、年中に高値を付ければよいのか、年間で下落すればよいのか、翌年より高ければよいのかを先に定める必要があります。

一年には通常、その期間の最高値が存在します。単に年内に高値があったことだけを条件にしても、ほかの年との違いを示せません。検討したい問いと、条件に合ったと判定する方法をそろえることが出発点です。

不都合な一件を外すと割合は変わる

選別の影響を示すため、架空の判定を五件置き、条件に合う三件と合わない二件があったとします。このとき、合う割合は3÷5=60%です。実際の辰年や巳年のデータではありません。

ここから合わない一件を「特殊な事情だった」として後から外すと、3÷4=75%になります。元の条件で精度が上がったのではなく、評価する対象を変えたためです。特殊事情を除くなら、なぜ除くかを結果を見る前に定め、ほかの年にも同じ扱いをする必要があります。

合う三件にも異なる政策や景気の事情があるはずです。外れた側だけを例外にすると、格言を支持する結果だけが残ります。少ない件数で得た割合を、そのまま将来の確率とすることもできません。

都合の良い指数や期間を選ばない

ある指数で合わなかったため、別の指数へ変更すれば、検証する問い自体が変わります。配当込みか価格だけか、年初から年末か途中の高値からかによっても結果は異なります。

格言の意味を知ることと、売買戦略の成績を測ることも別です。後者なら、実際に知ることのできた時点、売買価格、費用などの条件まで必要になります。過去の最高値で毎回売れたと仮定すれば、当時は使えなかった情報を使うことになります。

結果の表し方も限定する

調べた期間の記述として「この条件では何件だった」と示すことはできます。しかし、その集計だけで十二年周期の因果関係や、次回の天井を証明したことにはなりません。

格言を読む際も、対象、期間、判定方法、除外した例を並べて残せば、印象と検証を分けられます。年回りに合う部分だけを選んで売買を正当化する使い方を避けるための手順です。

出典

参考資料の確認日:2026年10月23日。