実例の見方は損益と生活を別にすること
ここで使う投資中毒は、取引や価格確認を抑えにくく、生活へ支障が出る状態を表す通称です。以下の例は説明用の架空設定で、医療上の診断基準ではありません。回数や金額が例と同じでなければ問題がない、という意味でもありません。
確認したいのは、当初の投資上限を超えた入金や、取引以外の予定を果たせない状態が続いていないかです。儲かったか損をしたかだけでは、それらの負担を判断できません。
例1:20万円の生活費から5万円ずつ移す
一か月の生活費として20万円を別口座へ残していた人が、含み損を小さく見せようとして、投資口座へ5万円ずつ3回入れたとします。生活費の残りは5万円で、予定した支払いに対して15万円不足します。投資口座の損失率が下がって見えても、家計の不足は残ります。
投資口座が当初50万円で、追加15万円の後に60万円だったとすると、出金などがない場合の運用増減は60万円−50万円−15万円=マイナス5万円です。残高が10万円増えたという表示だけでは、追加資金の影響を分けられません。家計と証券口座の両方の履歴を照合し、まず支払いに必要な額と期日を確認します。
例2:利益が出ても睡眠と仕事が崩れる
別の人は、売買では利益が出ているものの、夜間に何度も価格を確認して就寝が遅れ、翌日の仕事を中断して注文する状態だとします。予定した確認時間へ戻そうとしても繰り返し画面を開き、家族との約束も守れなくなっているなら、利益の有無とは別の困りごとです。
この例で記録するのは、利益額だけでなく、確認した時刻、削った予定、睡眠、予定外の取引です。通知を止めるなど生活を守る変更を考える一方、記録が完成するまで相談を先延ばしする必要はありません。取引を控えるつもりが続けてしまうなど、抑えにくさも具体的に伝える材料になります。
口座の穴埋めだけで解決したとしない
損失を取り戻せば元どおりと考えると、回収のための入金や取引をさらに続ける理由になり得ます。生活費が不足している場合は、投資の利益予測とは別に、現在の支払いと借入を整理します。値上がりを待てば必ず払えるとは考えないことです。
公的な相談先としては、厚生労働省が保健所や精神保健福祉センターなどを案内しています。本人だけでなく家族の相談に対応する窓口もあります。困りごとを伝える際は、本人を責める言葉より、入金の日付と金額、未払い、生活への影響を分けて説明します。口座の損益に加え、生活への負担も伝わる具体的な記録になります。