1630年代の出来事を、単純な教訓だけにしない
チューリップバブルは、1630年代のオランダで球根の価格が高騰・急落した出来事を指す呼び方です。しばしば投機的熱狂の例とされますが、全ての価格変化が理由のない狂気だったと一括りにはできません。希少な品種と一般的な球根、取引された時期や条件を区別する必要があります。
Garberの1989年の研究は、球根価格の時系列と価格を支える条件を検討し、希少な球根の高価格やその後の低下を、商品としての特性から説明する見方を示しています。ここで確認したのは出版社掲載の論文要旨です。歴史上の全取引の損失額や、経済全体への影響まで一つの話から断定しません。
希少だから高い、から転売価格の条件へ進む
希少性があっても、将来どの価格で買う人がいるかは別です。収集品には鑑賞や所有の価値があり、配当が出ないから価値ゼロともいえません。一方、購入理由が「さらに高く売れる」だけなら、次の買い手が減った場合の評価が難しくなります。
架空の収集品が1個1万円から2万円へ上がり、2万円で10個買った後に6,000円になった例では、取得額20万円に対し評価額6万円、損失14万円で70%減です。値下がり後も品物を持っていることと、購入資金を回収できることは違います。この数値は当時の球根価格を再現したものではありません。
価格だけでなく、売りたいときの買い手を見る
高値の取引が一件あっても、自分の持つ数量を全て同じ価格で売れるとは限りません。売買の回数、価格の確認方法、受渡し条件、代金を払う時期を調べます。借入や将来の支払約束があれば、品物の価格が下がっても債務が同じように減るとは限りません。
現代の投資へ置き換えるときも、株式、収集品、暗号資産などの仕組みを同一視しません。企業の利益請求権がある株式なら、その収益見通しも検討します。似ているのは値上がりの物語に引かれる点なのか、資金調達や流動性なのかを具体化します。
バブルという名前で、売買の時期まで決めない
急騰した資産をバブルと呼べても、いつ下がるか、どこまで上がるかが分かるわけではありません。割高だと考えて空売りすれば、さらに上がる間の損失や費用が生じます。逆に歴史上の成功例だけを理由に急騰へ参加することも避けます。
調べる際は、価格を支える需要、供給が増える可能性、転売以外の価値、売却できない場合の負担を並べます。昔の人の失敗を笑う話として終わらせず、自分の購入理由のどこが他人の値上がり期待に依存しているかを見つけることが、この歴史を学ぶメリットです。