ギャンブラーの誤謬を投資判断でどう見るか

反対の結果が来るという思い込みとの違い

ギャンブラーの誤謬は、独立な出来事でも偏りが続けば次は反対が出やすいと考える誤りです。これに対し、平均回帰という言葉は、極端だった値がその後より通常に近い水準となる傾向などを指します。どちらも「戻る」と表現されるため混同しやすいものの、何が変わるという主張なのかが異なります。

株価について平均回帰を考えるなら、対象が利益率、評価倍率、価格と基準値の差のどれなのかを先に決めます。平均をどの期間で計算し、事業の条件が変わっていないかも調べます。単なる下落の連続回数からは、この説明はできません。

特需の利益が通常へ戻る架空例

通常のEPSが100円程度の会社に一時的な特需があり、その年のEPSだけ200円になったとします。EPSは1株当たりの利益です。仮に市場が通常利益の15倍で評価するなら、EPS100円を使った計算上の株価は1,500円です。特需年のEPS200円をそのまま15倍すると3,000円になります。

特需が終わってEPSが100円へ戻るなら、利益の平常化は株価の上昇理由ではなく、利益の下振れ要因になり得ます。株価が3,000円から下がった後に「平均回帰だから3,000円へ戻る」と言うと、利益の平常化と過去の高値への回復を取り違えています。この15倍は説明用の仮定で、実際の適正価格を示すものではありません。

割安修正と連続下落も区別する

利益見通しが変わらず、何らかの売却で価格だけが下がった場合には、割安と考える人の買いが入る可能性があります。この説明は現在価格と見込む価値の差に根拠を置き、下落した日数には根拠を置いていません。見込む価値が誤っていたり、資金の流出が続いたりすれば、想定した回復が来ない場合もあります。

「過去平均のPERより低い」というだけでも十分ではありません。利益成長が鈍化した、借入が増えた、金利が変わったなど、低い倍率が続く理由がないかを確認します。過去の平均を選んでから、それに都合のよい期間だけで説明しないようにします。

戻る対象と外れる条件を言葉にする

予想を書くときは、「何が」「どの水準へ」「何を根拠に」戻ると考えるのかを一文にします。たとえば利益率の正常化を想定するなら、原価率や需要の変化を調べ、その根拠が決算で確かめられなかった場合の扱いも決めます。

株価の上昇を予想する場合は、利益が戻っても倍率が下がる場合など、異なる結果も検討します。単に「下げ過ぎたので上がる番」だけしか残らなければ、平均回帰の仕組みを説明したことにはなりません。投資で使う際は、計算の仮定と市場で確認できた事実を分け、予想が外れた場合の保有量も先に決めます。

出典