目標を持つことと損失回収に追われること
一発逆転思考は、過去の損失や資金不足を大きな一回の利益で埋めようとする考え方です。資産形成の目標を持つこと自体とは分けて考えます。目標額を決めたうえで、達成が難しければ期間や拠出額を見直す計画と、期限を守るために投資リスクだけを増やす計画では、変更する条件が違います。
「来月までに20万円必要だから値動きの激しい商品を買う」という理由には、その商品が割安か、どんな損失があり得るかの検討が抜けています。必要額は家計の条件であり、商品の期待できる収益を高める材料ではありません。
回復した残高のうち何が利益なのか
架空の例として、50万円が損失で30万円になった後、残高を50万円へ戻す二つの経路を考えます。追加入金なしなら20万円の運用利益が必要で、残る30万円に対する率は約66.7%です。一方、毎月2万円ずつ10か月追加し、価格が変わらなければ、残高は入金によって50万円になります。
後者でも過去の運用損失20万円が利益で回復したわけではありません。入金と運用益を分けることで、残高だけを達成目標にして無理な利益率を求めるのを避けられます。ただし月2万円を追加できるかは家計次第で、期間中の価格が変わる場合もあります。収支と値動きを別に置いた比較です。
集中投資と借入で達成率は保証されない
例えば手元30万円に借入20万円を足して50万円投じるとします。投資先が20%下がれば損失は10万円で、資産は40万円です。借入元本20万円の返済を考えると、残る自己資金相当額は20万円になります。金利と売買費用を除いた計算でも、もとの自己資金30万円から約33.3%減っています。
同じ20%の値下がりでも、借入なしで30万円を投じた場合の損失6万円より負担が増えます。借入は期待する利益を得る保証にはならず、返済時期や費用という別の条件も負います。過去の損を早く戻したいという目的だけで、この負担を引き受けないようにします。
根拠から数量を決める計画へ直す
比較の順番は、まず必要な生活資金と返済を確保し、そのうえで投資に使える額を出すことです。次に、現在価格に対する見通しと外れる条件を調べ、その商品へどれだけ配分するかを考えます。収益率を先に固定して、合いそうな商品を探す順番から離れます。
目標が実現できそうにない場合は、期間、積立額、支出など変更できる条件を見直します。投資を見送った間に相場が上がることもありますが、それは借入や集中の負担を無視してよい理由にはなりません。達成額だけでなく、予想が外れた場合にも続けられる計画かを比べます。