建設が増える話と、利益が増える会社を分ける
大きなデータセンターの建設計画を見て、電力、建設、空調、半導体の会社がすべて同じように伸びると考えると、受注と収益化の時間差を見落とします。どの会社が、何を、誰へ売るかを先に分ける必要があります。
データセンターは、サーバーなどのIT機器を電源、冷却、通信、保安とともに動かす施設です。施設の運営会社が顧客へ場所や電力・接続環境を提供する場合も、クラウド事業者が自社サービスを提供するために使う場合もあります。建物の面積だけでは、提供できる計算能力や売上は分かりません。
NTTドコモビジネスのサービス説明では、液冷方式のサーバーに向けた設置・冷却環境を扱っています。同じ施設関連でも、顧客へ何を提供する契約かによって、事業の構造は異なります。
立場ごとに、比べる指標を変える
| 立場 | 収益へつながる主な項目 | 点検する条件 |
|---|---|---|
| 施設運営 | 契約容量、利用料、実際の稼働 | 電力確保、契約期間、運営費 |
| 建設・設備供給 | 建設や機器の受注と引渡し | 工事費、納期、案件の採算 |
| 冷却・電源機器 | 採用方式、設置台数、保守 | 仕様、更新需要、競合との違い |
| サーバー・半導体 | 顧客の購入数量と製品構成 | 検収、在庫、次世代製品への移行 |
土地や建屋を確保しても、受電や通信回線の準備が終わらなければ稼働できません。設備企業が機器を引き渡した時に売上を計上し、運営側が稼働後に利用料を得る場合など、資金の回収時期も違います。計画の総額をそのまま関連企業の当期売上へ足すことはできません。
PUEが低い施設の方が、電力量も少ないとは限らない
PUEは施設全体のエネルギー使用量をIT機器の使用量で割る指標です。IT機器以外の電源・冷却などの負担が相対的に小さければ、値は1に近付きます。処理能力や収益率を直接表す指標ではありません。
独自の仮例として、同じ1時間に施設AはIT機器1,000kWh、その他400kWhを使い、全体1,400kWhでPUEは1.4。施設BはIT機器2,000kWh、その他400kWhで、全体2,400kWh、PUEは1.2とします。
Bの方がPUEは低いのに、全体の使用電力量は多くなっています。動かすIT機器の規模が違うためです。図は同じ尺度で電力量を積み上げたもので、両施設の仕事量や稼ぎを同じにした比較ではありません。現実のPUEを比べる時も、計測範囲、期間、気候、稼働状況をそろえる必要があります。
効率の数字だけで、採算を決めない
省エネでも、設備投資や保守費用が大きい、契約が十分に埋まらない、電力価格の上昇を利用料へ反映できない、といった条件があれば利益は残りにくくなります。逆に、設備の販売会社にとっては導入台数が増えても、個別対応の費用で採算が変わります。
比較する際は、稼働する時期と契約済みの容量、残る設備投資、費用を負担する契約先を確認します。将来の需要予想と、すでに確認できる受注や利用の実績を分ければ、建設の大きさだけを株の買い材料にすることを避けられます。