60代の資産防衛とは?投資心理との関係でわかる投資判断の使い方

退職金の額より、毎年の不足額を先に見る

資産を守りたいという気持ちは、退職などで定期収入が変わると強まりやすくなります。ただ、同じ60代でも、働く予定、住宅費、扶養する家族、年金の手取り額は異なります。「この年齢なら株式は何割」と一律に決める前に、収入と支出を年ごとに並べます。

年金などの収入は、額面と税・社会保険料を差し引いた手取りを区別します。住居の修繕や家族への援助は毎月の生活費に表れないため別に置きます。保有株に含み益があっても、その全額を来月の支払いに使える現金と同じには扱えません。

年間60万円の不足を3年分分ける例

年間の生活費を手取り収入で賄い切れず、60万円不足する家計を仮定します。3年分なら180万円です。さらに2年後の修繕費100万円を見込むなら、近い支払いに対応する額は合計280万円になります。金融資産1,000万円からこの額を分けると、残りは720万円です。

720万円を全て投資すべきという計算ではありません。医療などの想定外支出、家族の収入や借入も確認してから配分を考えます。3年分という期間も説明用の仮定です。現金を使えば残額が減るので、年1回などの時点を決めて、今後何年分の不足を賄えるかを計算し直します。

下落への恐怖を、売却予定の点検へ変える

退職金を受け取った直後は、現金を寝かせる焦りから一度に投資し、下落後には全額売りたくなることがあります。判断の前に、近い支払い分を除いた運用額が、自分の見込んだ下落でも持ち続けられる範囲かを確かめます。

仮に720万円を値動きのある資産で持ち、30%下がれば評価額は504万円、減少額は216万円です。近い支払い用の280万円が値動きせず残っていても、この下落を受け入れられるとは限りません。216万円という円の額を見て配分を減らす案も比較します。分けた現金は損失を消す仕組みではなく、下落中の売却を急がずに済む余地です。

守る対象は残高だけでなく、将来の購買力も

現金だけなら相場の値下がりは避けやすい一方、生活費の上昇には別に備える必要があります。また、家族の健康や住まいが変われば必要額も変わります。利回りだけ高くして不足を埋める計画にせず、支出を減らす場合、働く期間が延びる場合、取り崩し期間が長くなる場合を並べます。

「元本保証」「高利回り」といった言葉に安心して契約する前に、誰がどの条件で保証するのか、中途換金に制約や費用があるかを確認します。年齢を理由に判断を急ぐ必要はありません。仕組みや資金を戻せる条件を説明できる範囲に絞ることも、資産防衛の実務です。

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