逆向きの売買と違う見通し
「人の行く裏に道あり花の山」は、人気に追随するだけでは見落とす機会を考える格言です。一方、順張りは、値上がり・値下がりなど確認した流れに沿う取引を指します。両者は着目点が違い、名前だけで優劣を決められません。
値下がりした株を買っても、企業の改善を期待する人がすでに多いかもしれません。上昇中の株でも、将来利益が価格以上に増えると考えるなら、自分の見通しは市場より強気かもしれません。値動きの方向と、価格に含まれる期待は同じ問いではありません。
一株利益を共通にして価格を比べる
架空の企業について、予想一株利益を100円で共通とします。購入候補が株価1,000円なら予想PER10倍、2,000円なら20倍です。同じ事業を考えても、支払う価格によって予想利益に対する倍率は異なります。
その利益予想が80円へ下がったと仮定すると、株価が変わらない条件でPERはそれぞれ12.5倍と25倍になります。実際には予想も株価も動きます。ここでは、利益の見通しを固定せず、同じ条件で比較し直すために一つの企業へ二つの価格を置いています。
どの倍率なら適正かは、この算数だけでは決まりません。成長率、財務、利益の継続性などの違いが評価に関わります。低倍率という一つの数字も、逆張りの成功証明にはなりません。
見通しの違いを明らかにする
例えば同じ利益予想を使いながら「自分だけが価値を知っている」と考えると、何が独自の判断なのかが不明です。売上の伸び、利益率、競争環境など、自分が市場と違う条件を置く場所を示せると、反証する材料も探せます。
ハワード・マークスの2022年のメモでも、ほかの投資家の期待や現在価格を踏まえて考える点が論じられています。単に皆と反対を選べばよい、という意味にはできません。
同じ目的と期間で振り返る
数日の価格変化を狙う取引と、数年の利益成長を期待する保有では、比較する期間も違います。逆張りか順張りかを評価するなら、買った理由、使った情報、実際の約定、費用を同じ条件で残せます。
利益が出た方法を後から選ぶだけでは、判断時点の不確実性は消えません。格言は、自分の根拠を他人の人気から切り離して考える入口として使えます。
出典
参考資料の確認日:2026年10月23日。