売った直後の安心だけで判断を終えない
狼狽売りによる失敗の一つは、値下がりの恐怖から売った後、現金をどう使うか、何を確認して再投資するかが決まっていない状態です。売却によってその後の値下がりを避けられる場合もありますが、現金化しただけで運用の計画が完成するわけではありません。
この問題は、売ること自体の禁止ではありません。投資先の状況が悪化した、生活資金が必要になった、当初の保有額が大きすぎたなどの理由があれば、保有を縮小する判断には意味があります。ここでは、恐怖と安心だけを追う売買の不利益を考えます。
100口を80円で売り100円で買い直す例
1口100円で100口購入した架空の商品が80円へ下がり、全量を売ったとします。売却代金は8,000円、当初の1万円からの損失は2,000円です。その後、価格が100円へ戻り、安心したからと同じ商品を買い直すと、8,000円で買えるのは80口です。費用と分配金、税金を除きます。
元の100口へ戻すには、追加で2,000円が必要です。追加しなければ、その後の価格変化を受ける数量が以前より20口少なくなります。一方、売却後に60円へ下がったなら、現金で持つ8,000円は、100口を継続保有する評価額6,000円を上回ります。結果の経路によって有利不利が変わるため、売却後の反発だけを理由にすべての売却を失敗とはいえません。
売買費用と保有する意図のずれも生じる
実際の再購入には売買費用や価格差も関わります。表示された価格で希望する数量が取引できるとは限らず、短い間に売買を繰り返せば、それぞれの負担を確認する必要があります。下落を見て売り、上昇を見て買う行動が続くと、投資先の価値とは別の理由で出入りすることになります。
長期資金として持っていたのに、下落のたびに全売却するなら、当初の運用方針と実際の行動が合っていない可能性があります。反対に、短期で使う予定のお金だったなら、最初から大きな価格変動にさらした資金配分を見直します。性格の弱さと片付けず、投資額と家計の条件も調べます。
売却後の条件を一緒に書く
売却前には、必要な現金額、残す数量、売却代金の用途を記録します。市場へ戻るつもりなら、単に「上がって安心したら」ではなく、業績や資産配分、資金の余裕など、何を確認して再検討するかを書きます。元の銘柄へ必ず戻る必要もありません。
予定していなかった売却なら、落ち着いてから当時のニュースと注文理由を読み直します。見通しが崩れた事実があったか、下落額が生活へ影響する大きさだったか、全部売る必要があったかを確認します。後の最安値や最高値を基準に自分を採点せず、次も使える保有上限と資金計画へ修正することが振り返りの目的です。