偏りが続くと反対が来ると思ってしまう
ギャンブラーの誤謬とは、独立した出来事なのに「同じ結果が続いたので、次は反対が出やすい」と考える誤りです。独立とは、前の出来事を知っても次の出来事の確率が変わらないことをいいます。この前提があるなら、過去の偏りを次の一回が埋め合わせるわけではありません。
投資では「5日下がったから6日目は上がる番」「3連敗したから次は勝てる」といった言い方に表れます。ただし、株価や売買の成否を公平なコインと同一視できるわけではありません。株式で何が続いているかを調べず、回数だけを理由にする点を考えます。
6回連続の確率と次の1回を分ける
毎回の表・裏の確率が各2分の1で、各回が独立な架空のコイン投げを考えます。始める前に「表が6回連続する」確率は、2分の1を6回掛けて64分の1です。一方、すでに表が5回出たと分かった後で、次の1回が表となる確率は2分の1です。
6回全部がまだ起きていない段階での問いと、最初の5回が確定した段階での問いは違います。前者の小さな確率を見て「6回目の表はもう起きにくい」と考えると、条件を取り違えます。次が裏でも、表のほうが多かった過去の5回は消えません。長く観察した割合の話を、直後の一回に補償がある話へ置き換えないことです。
5日続落の株は独立なコインではない
株価が1,000円、960円、920円、900円、880円と下がった架空例を考えます。この数字だけでは、次に上がる確率を計算できません。同じ会社の利益見通しが繰り返し引き下げられているなら、前の日と次の日の判断材料がつながっている可能性があります。
逆に、会社の見通しが変わらず市場全体の売却で下がったのなら、現在価格と利益の関係を調べる余地があります。それでも「5日続落なので上昇確率は50%超」と結論する根拠にはなりません。コインの例から学ぶのは、株価に50%を当てはめる方法ではなく、確率を使う前に前提を確かめる手順です。
「そろそろ」を確認できる条件へ直す
買いたい理由に「さすがに」「そろそろ」が入ったら、下落日数を消しても理由が残るか試します。売上や利益の想定が変わったのか、現在価格ならどの評価倍率になるか、売買高や注文の状況に変化があるかを具体的に書きます。
資料から反転の根拠を説明できなければ、回数を追加して自信を強める必要はありません。見送る、確認を待つ、投資額を抑える選択もあります。下落後に買うこと自体を否定するのではなく、過去の並びとこれから保有する根拠を分けます。予測が外れた場合の損失額も、連続回数とは別に計算します。