まず結論

水戸証券は、低コストのネット証券と同じ土俵だけで見ると少し分かりにくい会社です。

本質は、関東圏に店舗網を持つ地域密着型の中堅証券です。そのうえで、水戸ネットというインターネット取引専用口座を用意しています。

最初に分けたいのは、次の4つです。

取引方法位置づけ手数料の見方
営業店担当者に相談しながら注文もっとも対面色が強く、手数料は高め
マルチコールカスタマーセンター経由の電話注文営業店より低いがネットより高い
マルチネット営業店口座で使うネット注文営業店併用型のネット取引
水戸ネットインターネット取引専用口座50万円以下440円、500万円超4,400円

「営業店で100万円10,120円、500万円39,160円」と紹介されていることがありますが、公式表では営業店ではなく、マルチコールの手数料に近い数字です。

営業店そのものは、100万円で12,650円、500万円で48,950円になります。

ここを混ぜると、水戸証券のコスト感を読み違えます。

水戸証券とは

水戸証券は、1921年4月1日創業の老舗証券会社です。

会社概要では、金融商品取引業者として第一種金融商品取引業、投資助言・代理業、投資運用業を行う会社とされています。上場市場は東京証券取引所プライム市場、証券コードは8622です。

店舗数は25店舗です。店舗案内を見ると、東京都、茨城県、栃木県、群馬県、埼玉県、千葉県、神奈川県、福島県に店舗があります。

茨城・北関東・首都圏に地盤を持つ証券会社として見ると、かなり自然です。

全国どこでもスマホだけで完結するネット証券というより、近くの店舗や担当者との関係を使いながら資産運用を考える会社です。

水戸ネットとは

水戸証券には、大きく分けて2つの取引方法があります。

口座・サービス内容
水戸マルチチャネルサービス営業店、カスタマーセンター、インターネットを併用する口座
水戸ネットインターネット取引専用口座

水戸ネットは、パソコン、タブレット、スマートフォンから申し込めるインターネット取引専用口座です。

国内現物株式は、東京証券取引所と名古屋証券取引所の上場株式を扱います。ETF、REIT、ETNも対象です。

ただし、水戸ネットではPO・IPOの取扱いはありません。IPO狙いで水戸証券を見る場合は、ネット専用口座だけで判断しない方がいいです。

国内株式の手数料

水戸証券の国内株式手数料は、取引チャネルによってかなり差があります。

水戸ネット

水戸ネットの国内株式委託手数料は、かなりシンプルです。

約定金額水戸ネットの手数料(税込)
50万円以下一律440円
50万円超500万円以下約定金額 x 0.0880%
500万円超一律4,400円

500万円を超えると一律4,400円で止まるため、大口の現物取引では見た目以上に使いやすい設定です。

100万円なら880円、500万円なら4,400円です。

ただし、SBI証券や楽天証券のような国内株式手数料0円のネット証券と比べると、少額・ライト層向けの最安口座ではありません。

営業店・マルチコール・マルチネット

対面や電話、営業店併用型のネット注文では、手数料が変わります。

約定金額営業店マルチコールマルチネット
10万円2,750円2,200円1,650円
50万円6,325円5,060円3,795円
100万円12,650円10,120円7,590円
500万円48,950円39,160円29,370円

営業店は、100万円以下が約定金額 x 1.2650%で、最低手数料は2,750円です。

マルチコールは、100万円以下が約定金額 x 1.0120%で、最低手数料は2,200円です。

マルチネットは、100万円以下が約定金額 x 0.7590%で、最低手数料は1,650円です。

水戸ネットの手数料だけを見ると割安ですが、営業店や電話で注文するとコスト感はかなり変わります。

手数料の読み方

水戸証券の手数料でいちばん見落としやすいのは、「ネット」と書いてあっても2種類あることです。

ネット取引の種類注意点
マルチネット営業店口座の一部として使うネット取引
水戸ネットインターネット取引専用口座

水戸ネットの方が手数料は低く、500万円超で4,400円に上限が付きます。

一方、営業店で担当者に相談したい人は、営業店またはマルチチャネル側の手数料を見ます。

この違いは実務的に大きいです。

たとえば500万円の国内株を買う場合、水戸ネットなら4,400円です。営業店なら48,950円、マルチコールなら39,160円、マルチネットなら29,370円です。

同じ水戸証券でも、どの窓口から注文するかでコストは別物になります。

水戸ネットの注意点

水戸ネットには、大口現物取引の手数料上限という強みがあります。

ただし、使いどころはかなり選びます。

注意点内容
IPO・POは扱わない水戸ネットの商品ページでPO・IPOの取扱いなしと案内されている
電話注文は別手数料PC故障などで電話注文する場合、マルチコールの手数料率になる
店舗相談とは別設計対面サポートを使うなら営業店・マルチチャネル側を見る
最安ネット証券ではない国内株0円の大手ネット証券とは比較軸が違う

実際に使うなら、少額売買を何度も繰り返す口座ではなく、まとまった金額の現物株をネットで発注したい人向けです。

水戸ファンドラップ

水戸証券のもう一つの特徴が、水戸ファンドラップです。

水戸ファンドラップは、投資一任契約に基づき、複数の投資信託を組み合わせて国際分散投資を行うサービスです。

公式ページでは、運用目的ごとに最大6つまでポートフォリオを設定でき、各ポートフォリオの最低投資金額は300万円とされています。

報酬体系は、固定報酬のみのAタイプと、固定報酬・成功報酬併用のBタイプがあります。

長期保有割引もあります。公式の報酬表では、2年経過後に15%割引、5年経過後に30%割引と示されています。

「最大30〜50%割引」と紹介されていることもありますが、現行の公式表で確認できる範囲では、長期保有割引は2年経過後15%、5年経過後30%として扱うのが安全です。

なお、ファンドラップは便利な一方で、固定報酬や成功報酬に加え、組み入れる投資信託の信託報酬などが間接的にかかります。手間を任せるサービスであって、低コストインデックス投信の積立とはかなり性格が違います。

相続・贈与サポート

水戸証券のサービス案内では、相続手続きや相続・贈与サポートも案内されています。

水戸ファンドラップにも、相続時受取人指定サービスがあります。水戸ファンドラップで運用している資産について、あらかじめ受け取る家族を指定し、相続発生時に簡易な手続きで資産承継できるサービスです。

ここは、水戸証券らしいところです。

単に株を安く売買するだけなら、主要ネット証券で足ります。

でも、退職金、相続資金、家族への資産承継、店舗での相談まで含めて考えるなら、水戸証券のような地域密着型の対面証券が選択肢になります。

水戸証券が向いている人

水戸証券が向いているのは、次のような人です。

向いている人理由
関東圏の店舗で相談したい人店舗網が関東中心に広がっている
退職金や相続資金を相談したい人対面相談、相続・贈与サポートがある
水戸ファンドラップを使いたい人国際分散投資を一任できる
大口の現物株をネットで発注したい人水戸ネットは500万円超で手数料4,400円
名証銘柄もネットで扱いたい人水戸ネットは名古屋証券取引所上場株式も対象

合いにくいのは、次の人です。

向いていない人理由
国内株手数料0円を最優先する人SBI証券や楽天証券の方が分かりやすい
少額売買を頻繁にする人水戸ネットでも50万円以下は440円かかる
IPOをネットから申し込みたい人水戸ネットではPO・IPOの取扱いがない
店舗が近くにない人地域密着の価値を生かしにくい

初心者が間違えやすいポイント

営業店とマルチコールを混同する

100万円で10,120円、500万円で39,160円という数字は、営業店ではなくマルチコールの手数料です。

営業店は100万円で12,650円、500万円で48,950円です。

水戸ネットとマルチネットを混同する

水戸ネットはインターネット取引専用口座です。

マルチネットは、水戸マルチチャネルサービスの中で使うネット取引です。

名前が似ていますが、手数料は違います。

水戸ネットでIPOも申し込めると思う

水戸ネットの商品ページでは、PO・IPOの取扱いはないと案内されています。

IPO目的なら、別の証券会社も含めて比較した方が実務的です。

ファンドラップを低コスト投信と同じものとして見る

ファンドラップは、投資一任、資産配分、運用管理、報告、相談まで含むサービスです。

その分、固定報酬、成功報酬、投資信託の信託報酬などを確認する必要があります。

図解:水戸証券の手数料は窓口で変わる

水戸証券の取引窓口 同じ国内株でも手数料が変わる 営業店 相談重視 100万円: 12,650円 マルチコール 電話注文 100万円: 10,120円 マルチネット 営業店併用 100万円: 7,590円 水戸ネット ネット専用 100万円: 880円 相談を取るか、ネット発注の低コストを取るかで選ぶ

まとめ

水戸証券は、1921年創業の老舗中堅証券会社です。

関東圏を中心に店舗網を持ち、対面相談、水戸ファンドラップ、相続・贈与サポートに強みがあります。

国内株式の手数料だけを見るなら、水戸ネットがいちばん分かりやすいです。50万円以下は440円、50万円超500万円以下は0.0880%、500万円超は一律4,400円です。

ただし、営業店、マルチコール、マルチネットでは手数料が大きく変わります。特に営業店の手数料をマルチコールと混同しないことが大切です。

水戸証券は、国内株を最安で何度も売買するための口座というより、関東圏で相談しながら資産運用を進めたい人、または水戸ネットの大口手数料上限をうまく使える人に向いた証券会社です。

出典

本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。