三魔女とは
三魔女とは、3種類のデリバティブ取引の期限が同時期に重なる市場イベントです。
主に次の3つが対象になります。
| 対象 | ざっくりした意味 |
|---|---|
| 株価指数先物 | S&P500など指数の将来価格を取引するもの |
| 株価指数オプション | 指数を一定価格で売買する権利を取引するもの |
| 個別株オプション | 個別株を一定価格で売買する権利を取引するもの |
これらの期限が近づくと、投資家はポジションを決済したり、次の期限へ乗り換えたりします。この乗り換えを「ロール」と呼ぶこともあります。
普段より売買が増えやすくなる理由は、ここにあります。
なぜ「魔女」と呼ばれるのか
「魔女」という名前は、少し大げさです。
もともとは、複数の期限が重なることで市場が落ち着かなくなりやすい様子を、魔女が騒ぐようなイメージで表現した言葉です。
特に意識されやすいのは、次のような動きです。
| 起こりやすいこと | 理由 |
|---|---|
| 出来高が増える | 期限前後に決済や乗り換えが増える |
| 引け前に売買が集中する | ポジション調整やヘッジ調整が入りやすい |
| 一部銘柄や指数が急に動く | オプションの権利行使価格やヘッジ売買が影響する場合がある |
ただ、名前ほど怖がる必要はありません。
三魔女の日は「必ず荒れる日」ではなく、「売買が増えやすい日」と理解したほうが実用的です。
いつ発生するのか
米国市場では、三魔女は通常、次の月の第3金曜日に発生します。
| 月 | 見方 |
|---|---|
| 3月 | 四半期末に近い期限日 |
| 6月 | 半期に近い期限日 |
| 9月 | 第3四半期末に近い期限日 |
| 12月 | 年末に近い期限日 |
ただし、祝日などで取引日がずれる場合があります。実際に短期売買をする人は、証券会社や取引所のカレンダーで確認したほうが安全です。
日本市場では、米国の三魔女とまったく同じ仕組みではありません。
日本では、先物・オプションの最終決済に使われる「SQ(特別清算数値)」が重要です。日本取引所グループの用語集では、日経225先物、日経225mini、日経225オプションの場合、限月の第2金曜日の日経平均株価構成銘柄の始値に基づいてSQ値が算出されると説明されています。
つまり、米国は「三魔女」、日本は「SQ」や「メジャーSQ」という言葉で見ると整理しやすいです。
図解:三魔女で重なる3つの期限
初心者が知っておきたいメリットと注意点
三魔女を知っておくメリットは、相場の動きに少し冷静になれることです。
たとえば、普段より出来高が多い、引け前に指数が急に動く、特定の大型株が不自然に上下する。こうした場面で「何か悪材料が出たのか」と慌てる前に、期限イベントの影響も考えられます。
一方で、初心者が三魔女を使って短期売買で勝とうとするのは簡単ではありません。
| メリット | 注意点 |
|---|---|
| 市場の注目日を理解できる | 値動きが読みにくい |
| 出来高の増加に気づける | 短期売買では損切り判断が難しくなる |
| ニュースの意味を理解しやすい | 「必ず上がる」「必ず下がる」はない |
三魔女は、相場の方向を教えてくれるサインではありません。
あくまで、売買が集中しやすいイベントです。
よくある誤解
三魔女について、初心者が誤解しやすい点を整理します。
| 誤解 | 実際 |
|---|---|
| 三魔女の日は必ず暴落する | 必ずではない。上がる日も、ほとんど動かない日もある |
| 長期投資家も必ず売買すべき | 長期投資なら過度に反応しなくてよい |
| 出来高が増えれば儲けやすい | 値動きが速く、損もしやすい |
| 米国の三魔女と日本のSQは同じ | 似た部分はあるが、制度や日程は異なる |
特に大事なのは、「必ず暴落する」という思い込みを持たないことです。
市場イベントは、方向ではなく需給を変えるものです。そこを分けて考えるだけで、かなり落ち着いて見られます。
長期投資家はどうすればよいか
長期投資や積立投資をしている人は、三魔女だからといって特別な対応をする必要はほとんどありません。
基本方針は次の3つです。
- 慌てて売買しない
- 一時的な乱高下を大きく見すぎない
- 積立や資産配分のルールを守る
もし三魔女の日に株価が大きく下がっても、それだけで投資方針を変える必要はありません。長期投資で大事なのは、数時間や1日の値動きより、投資対象、資産配分、コスト、継続性です。
むしろ、イベントのたびに反応して売買を増やすほうが、手数料や税金、判断ミスで成績を崩しやすくなります。
短期トレーダーは何を見るべきか
短期売買をする人は、三魔女の日に次の点を意識したいところです。
| 見るポイント | 理由 |
|---|---|
| 出来高 | 通常より売買が集中しているか確認する |
| 引け前の値動き | ポジション調整が出やすい |
| 指数先物 | 現物株より先に動くことがある |
| 大型株 | 指数連動の売買が入りやすい |
| オプションの権利行使価格 | 価格が特定水準に寄せられる場合がある |
ただし、初心者がいきなりこの日に短期売買を増やす必要はありません。
値動きが大きい日は、チャンスに見えます。けれど、同時に失敗も大きくなります。三魔女の日を「勝負の日」と見るより、「無理に参加しない選択もある日」と考えるほうが現実的です。
まとめ
三魔女とは、先物やオプションの期限が重なり、売買が集中しやすくなる市場イベントです。
米国市場では、3月、6月、9月、12月の第3金曜日が意識されます。日本市場では、同じ言葉よりもSQやメジャーSQとして理解するほうが自然です。
初心者にとって大事なのは、三魔女を怖がりすぎないことです。
値動きが荒くなる可能性はあります。ただし、必ず暴落するわけではありません。長期投資なら、慌てて売買せず、積立や資産配分のルールを守る。それで十分です。
出典・参考資料
- Britannica Money, Triple witching days: What are they and when are they?
- Cboe, Hours & Holidays
- 日本取引所グループ, 特別清算数値(SQ値)
- 確認日: 2026-05-28