値ガサ株とは

値ガサ株は、1株あたりの株価が高い株を指す市場用語である。

たとえば、次の2銘柄を比べる。

銘柄A銘柄B
株価50,000円500円
発行済株式数少ない多い
100株の必要資金5,000,000円50,000円

株価だけを見ると、Aの方が大きな会社に見える。だが、会社全体の価値を見るなら、株価だけでは足りない。

基本は次の式で考える。

時価総額 = 株価 × 発行済株式数

株価が高くても、発行済株式数が少なければ時価総額はそこまで大きくないことがある。反対に、株価が低くても発行済株式数が非常に多ければ、時価総額が大きい会社もある。

つまり、値ガサ株という言葉は「1株の価格が高い」という説明であって、「企業価値が高い」「割高」「安全」という判断ではない。

なぜ値ガサ株が生まれるのか

株価が高くなる理由はいくつかある。

理由内容
長期的に利益成長してきた株価が長く上がり、株式分割が少ない
発行済株式数が少ない1株あたりの価値が大きく見えやすい
株式分割をあまりしない1株価格が高いまま残りやすい
市場の期待が高い成長期待や収益性が株価に織り込まれる

ただし、値ガサ株になった理由が「成長の結果」なのか、「期待が先に乗っているだけ」なのかは分けて見たい。株価が高い銘柄ほど、好材料だけでなく失望にも反応しやすい場面がある。

値ガサ株のメリット

1. 有力企業が含まれることがある

値ガサ株には、長く利益を伸ばしてきた企業や、高い収益性を評価されている企業が含まれることがある。

たとえば日本市場では、ファーストリテイリング、東京エレクトロン、キーエンスなどが値ガサ株として話題になりやすい。いずれも株価水準が高く、個人投資家が100株で買うには資金負担が大きい銘柄として知られている。

ただし、ここで見るべきなのは「株価が高いから良い」ではなく、「なぜ市場がその株価を許しているのか」だ。利益率、成長率、競争力、株主還元、今後の期待値を確認したい。

2. 流動性が高い銘柄もある

大型の値ガサ株は、機関投資家や海外投資家の売買対象になりやすく、売買代金が大きい銘柄も多い。

流動性が高いと、注文が成立しやすいという利点がある。ただし、流動性が高いから下がらないわけではない。決算、為替、金利、海外景気、半導体サイクルなどで大きく動くことはある。

3. 日経平均への影響が意識されやすい

日経平均株価は、株価平均型の指数である。日本取引所グループの説明でも、日経平均株価は株価平均型の計算方法を採用しているとされている。

そのため、株価水準が高い銘柄や指数寄与度の大きい銘柄は、日経平均の動きにも影響しやすい。ファーストリテイリングや東京エレクトロンのような銘柄が動くと、個別株だけでなく指数全体の印象も変わることがある。

一方、TOPIXのような時価総額加重型の指数では、見方が変わる。株価そのものより、時価総額や浮動株の影響が大きくなる。指数を見るときも、どの指数の話をしているのかを分けたい。

値ガサ株のデメリット

1. 100株で買うと必要資金が大きい

日本株は、多くの銘柄で1単元が100株に統一されている。

そのため、値ガサ株を通常の単元株で買うと、まとまった資金が必要になる。

株価100株購入に必要な資金
500円50,000円
5,000円500,000円
50,000円5,000,000円

株価5万円の銘柄を100株買うと500万円。これを1銘柄に入れると、資産全体の中でかなり大きな比率になりやすい。

2. 値動きによる損益額が大きく見える

株価が1,000円動いた場合、100株なら損益は10万円になる。

1,000円 × 100株 = 100,000円

ただし、ここでも割合を見る必要がある。株価50,000円の銘柄が1,000円動くのは2%の変動だ。一方、株価500円の銘柄が50円動くのは10%の変動になる。

損益額だけでなく、変動率も見る。ここを混同すると、値ガサ株だけが特別に危険に見えたり、低位株が安全に見えたりする。

3. 分散投資しにくい

資金が限られている場合、値ガサ株を100株買うと、それだけでポートフォリオの大部分を占めることがある。

1銘柄集中は、うまくいけば大きいが、悪材料が出たときのダメージも大きい。初心者が値ガサ株を扱うなら、単元未満株で少額から買う、投資信託を中心にして個別株は学習枠にする、という使い分けも現実的だ。

値ガサ株と低位株の違い

値ガサ株の反対語として、低位株という言葉が使われることがある。

項目値ガサ株低位株
株価水準高い低い
100株の必要資金大きい小さい
分散のしやすさ資金次第で難しい少額では分散しやすい
値動き銘柄次第銘柄次第
リスク企業内容と価格次第企業内容と価格次第

低位株は少ない資金で株数を多く買えるため、心理的には買いやすい。だが、株価が安いことと割安であることは別だ。

赤字、業績悪化、希薄化懸念、流動性の低さで株価が低くなっている銘柄もある。値ガサ株も低位株も、結局は企業の中身と価格のバランスを見るしかない。

初心者が確認したい3つの誤解

誤解1:株価が高いから割高

株価が5万円だから割高、株価が500円だから割安、とは言えない。

割高・割安を見るなら、PER、PBR、ROE、利益成長率、キャッシュフロー、時価総額などを合わせて見る。株価はその入口にすぎない。

誤解2:値ガサ株は必ず優良企業

値ガサ株には優良企業が含まれることがある。

しかし、株価が高いまま業績期待だけが先行している場合もある。期待が高い銘柄は、決算が少し弱いだけで売られることもある。高い株価には、高い期待が入っていることが多い。

誤解3:低位株の方が初心者向き

株価が安いと、たくさん買えるので得をした気分になりやすい。

だが、株数が多いこと自体に意味はない。大事なのは、投資額に対して何%動くか、会社の価値がどう変わっているかだ。初心者ほど「何株買えるか」より「いくら投資するか」を先に決めたい。

初心者向けの考え方

値ガサ株を見たときは、次の順番で考えると整理しやすい。

  1. まず時価総額を見る
  2. 次に利益と成長率を見る
  3. PERやPBRで市場の期待を確認する
  4. 100株でいくら必要か計算する
  5. 資金が重いなら単元未満株や投資信託も検討する

最初から値ガサ株を100株で買う必要はない。

個別株に慣れていないなら、インデックスファンドを中心にし、値ガサ株は単元未満株で1株だけ持って値動きを学ぶ方法もある。ファーストリテイリングや東京エレクトロンのような銘柄は、日経平均の動きを理解する教材にもなる。

ただし、1株でも株式は株式だ。損失は出る。生活費や短期で使うお金を入れない、1銘柄に寄せすぎない、決算前後の値動きに驚きすぎない。このあたりが実務上は大事になる。

まとめ

値ガサ株とは、1株あたりの株価が高い株のことだ。

株価が高いことは、企業価値の高さや投資妙味をそのまま意味しない。見るべきなのは、時価総額、発行済株式数、利益、成長性、財務、そして市場がどれくらい期待を織り込んでいるかである。

値ガサ株は、100株で買うと必要資金が大きくなりやすい。値動きによる損益額も大きく見えやすい。そのため、初心者は単元未満株や投資信託も使いながら、まずは投資額と分散を管理する方がよい。

株価を見るだけで終わらせない。株価の後ろにある企業価値を見る。値ガサ株を理解する第一歩は、そこからだ。

出典

本記事は、公開情報に基づいた教育的・情報提供のみを目的としており、特定の銘柄や金融商品の売買を推奨または勧誘するものではありません。掲載内容の正確性については万全を期しておりますが、その内容や将来の投資成果を保証するものではないことをあらかじめご了承ください。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行っていただけますようお願い申し上げます。