IPO株はいつ売れる?
IPO株は、上場日の売買開始以降に売却できます。
上場前は市場で売買できないため、通常は売却できません。上場日に市場で売買が始まり、買い注文と売り注文が合って最初に成立した価格が「初値」です。
ただし、上場日の朝にすぐ初値が付くとは限りません。買い注文または売り注文が大きく偏ると、初値が付くまで時間がかかることがあります。人気IPOでは買い気配のまま初値が付かないこともありますし、逆に売りが多ければ公開価格を下回って始まることもあります。
初心者はまず、「上場日になれば必ずすぐ売れる」ではなく、「上場日以降、売買が成立すれば売れる」と考える方が安全です。
IPO株を売る流れ
1. 証券口座にログインする
IPO株を購入した証券会社の口座にログインします。
証券会社によっては、上場日前営業日から売り注文を受け付ける場合があります。受付開始のタイミングは証券会社や銘柄によって異なるため、保有商品一覧やIPO関連のお知らせを確認します。
2. 保有株式を選ぶ
保有銘柄一覧から、売却したいIPO株を選びます。
ここで確認するのは、銘柄名、銘柄コード、保有株数、預り区分です。特定口座、一般口座、NISA口座など、どの口座で保有しているかによって税金や損益の扱いが変わります。
3. 売り注文を入力する
通常の株式と同じように、売却株数、注文方法、価格、有効期限を入力します。
代表的な注文方法は次の通りです。
| 注文方法 | 特徴 | IPO上場直後の注意点 |
|---|---|---|
| 成行注文 | 価格を指定せず、その時点で成立しやすい価格で売る | 新規公開銘柄の上場日・初値決定日までは成行呼値が禁止される |
| 指値注文 | 「この価格以上なら売る」と価格を指定する | 約定しないことがあるが、売却価格を決めやすい |
IPOの上場日まわりでは、まず指値注文を基本に考えます。どの価格なら売ってよいのかを先に決めておくと、気配値の上下に振り回されにくくなります。
4. 注文が成立する
買い手と価格が合うと売買が成立します。これを約定といいます。
約定後、売却代金は証券口座に反映されます。ただし、株式の受渡日は取引日から起算して3営業日目、いわゆるT+2です。買付余力として使えるタイミングや出金できるタイミングは、証券会社のルールも確認してください。
図解:IPO株を売る流れ
初値で売るとは?
IPOでは「初値売り」という言葉をよく聞きます。
これは、上場日に最初に成立する株価である初値付近で売却する考え方です。公開価格より初値が高ければ、早めに利益を確定できます。
ただし、2023年6月26日以降、新規公開銘柄の新規上場日の売買では成行呼値が禁止されています。上場日に売買が成立しなかった場合も、初値決定日まで成行呼値が禁止されます。
そのため、初値売りを考える場合でも、証券会社が受け付ける注文方法、指値価格、注文の有効期限を確認する必要があります。「成行で出しておけば初値で売れる」と覚えるのは避けた方がいいです。
売るタイミングの考え方
初値付近で売る
短期で利益を確定したい場合の考え方です。
初値が公開価格を上回れば、早く利益を確定できます。反面、上場後にさらに上昇した場合は、その分の上値を取り逃します。逆に公開価格割れで始まると、損失を確定する判断になります。
上場後もしばらく保有する
事業内容や成長性を見て、上場後も保有する方法です。
この場合は、初値だけでなく、上場後の決算、売上成長、利益率、競合、ロックアップ解除、需給を見ます。IPO直後の株価は期待先行になりやすいので、長期保有するなら「その会社をその価格で持ち続けたいか」を考えます。
目標価格で売る
あらかじめ売却価格を決めておき、指値注文を使う方法です。
たとえば、公開価格に対して何%上がったら売る、公開価格を下回ったら見直す、といったルールを先に置きます。完璧な売り時は読めません。だからこそ、注文画面を開く前に売却条件を決めておくと、かなり落ち着きます。
初心者が注意したいポイント
上場直後は値動きが大きい
IPO銘柄は、上場直後に価格が大きく変動することがあります。
買いたい人と売りたい人のバランスが一気に変わるため、気配値だけを見て焦って注文すると、想定と違う価格で約定したり、逆に約定しなかったりします。
成行注文を使えない場面がある
新規公開銘柄の上場日・初値決定日までは、成行売呼値と成行買呼値が禁止されています。
通常の株式なら成行注文を使える場面でも、IPOの上場日まわりでは同じ感覚で注文できません。取引画面で注文が通るか、指値の範囲がどうなっているかを確認します。
受渡日と出金タイミングを見る
株式の売却代金は、約定した瞬間にすぐ自由に出金できるとは限りません。
日本株の決済はT+2で、取引日から起算して3営業日目に受渡しが行われます。資金をすぐ別用途に使う予定がある場合は、受渡日を確認しておきます。
税金と口座区分を確認する
IPO株を売って利益が出た場合、口座区分によって税金や手続きが変わります。
一般的には、上場株式等の譲渡益には所得税と住民税がかかります。特定口座、一般口座、NISA口座では扱いが異なるため、自分の預り区分を確認します。
NISA口座で買った株式の売却益は非課税の対象になりますが、損失が出ても損益通算はできません。特定口座でも源泉徴収あり・なしで確定申告の扱いが変わる場合があります。税金は個別条件で変わるので、不安な場合は税務署や税理士、証券会社の案内を確認してください。
売却前チェックリスト
IPO株を売る前に、次の項目を確認します。
- 上場日と売買開始日を確認したか
- 証券会社の売り注文受付タイミングを確認したか
- 成行注文が使えない場面を理解したか
- 指値価格を先に決めたか
- 売却株数を間違えていないか
- 公開価格、初値、現在値を見比べたか
- 受渡日と出金可能タイミングを確認したか
- 特定口座、一般口座、NISA口座のどれで保有しているか確認したか
- 売った後にさらに上がった場合、保有し続けた場合の両方を想定したか
よくある質問
IPO株は上場前に売れますか?
通常は売れません。上場前は市場で売買できないためです。売却できるのは、上場日以降に売買が始まり、注文が成立した場合です。
IPO株は初値で必ず売れますか?
必ずではありません。注文方法、指値価格、証券会社の受付ルール、買い注文と売り注文の状況によって変わります。特に上場日まわりは成行呼値が禁止されるため、初値売りを考える場合も注文条件の確認が必要です。
成行注文と指値注文はどちらがよいですか?
IPOの上場日・初値決定日までは成行呼値が禁止されます。初心者は、まず指値注文で「いくら以上なら売るか」を決める方が理解しやすいです。通常売買になった後でも、値動きが大きい銘柄では指値の方が価格管理をしやすくなります。
売却益には税金がかかりますか?
特定口座や一般口座で利益が出た場合、原則として課税対象です。NISA口座で保有している場合は、制度上の条件を満たせば売却益は非課税です。ただし、口座区分や申告要否は個別条件で変わるため、証券会社や国税庁の案内を確認してください。
まとめ
IPO株は、上場日以降であれば通常の株式と同じように売却できます。
ただし、上場日まわりは通常の株式と少し違います。新規公開銘柄は新規上場日、そして上場日に初値が付かなかった場合は初値決定日まで、成行呼値が禁止されます。
売却前に確認したいポイントは次の通りです。
- 上場日と売り注文の受付タイミング
- 成行注文と指値注文の違い
- 初値で売るのか、保有するのか
- 指値価格と売却株数
- 受渡日と出金タイミング
- 税金と口座区分
IPO投資では、買い方だけでなく売り方を先に決めておくことが大切です。上場日の気配を見てから慌てるより、売却条件、注文方法、税金まで一度整理しておく方が、落ち着いて判断できます。
IPO初心者向けシリーズ
- IPOとは?初心者向けに仕組みやメリット・デメリットを解説
- IPO株の初値売りとは?やり方・タイミング・注意点を解説
- IPO株はいつ売れる?上場日の売却時間と注文方法を解説
- IPO初値売りで失敗する5つのケース|初心者が避けたい注意点
- IPO株は初値売りと長期保有どっちがおすすめ?メリットを比較
- IPO当選後にやること|購入手続きから受渡日までを分かりやすく解説
出典・参考
- 日本取引所グループ(JPX)「新規上場日の売買における成行呼値の禁止について」(2023年3月16日公表、2026年6月25日確認)
- 日本取引所グループ(JPX)「株式等の決済期間短縮化(T+2化)」(2026年6月25日確認)
- 国税庁「株式・配当・利子と税」(2026年6月25日確認)
- 国税庁「No.1476 特定口座制度」(2026年6月25日確認)