連名預金とは
連名預金とは、AさんとBさんのように、複数人が一つの預金口座の名義人となる預金です。誰が払戻しを請求できるか、一人の指示だけで取引できるかといった条件は、口座契約や金融機関の規定によって決まります。
海外では夫婦のジョイント口座として見かけますが、日本の一般的な個人向け口座では事情が異なります。三井住友銀行は個人名義の共有口座を作れないと案内しており、SMBC信託銀行も連名預金口座の新規取扱いを2016年12月30日で終了しています。
すべての金融機関で一律に禁止されている、とまでは言えません。既存口座や団体預金などで連名の取扱いが残る場合もあるため、開設や手続きの可否は金融機関へ確認します。
共通口座や代理人カードとの違い
夫婦が生活費を出し合い、どちらか一人の名義の口座で管理することがあります。日常会話では「夫婦の共通口座」と呼ばれますが、銀行との契約上は名義人一人の口座です。
| 形態 | 銀行に登録される名義 | 注意点 |
|---|---|---|
| 連名預金 | 二人以上 | 払戻方法や持分は口座規定による |
| 家計用の共通口座 | 原則として一人 | お金の負担者と口座名義人が異なることがある |
| 代理人カード・代理人指名 | 口座名義人は一人 | 代理人は預金者になるわけではない |
| 屋号付き口座 | 屋号と個人事業主名 | 二人の共同名義ではない |
家族だからといって、名義人のキャッシュカードや暗証番号、インターネットバンキングの認証情報を勝手に共有してよいわけではありません。共同で使いたい場合は、金融機関が用意する代理人制度や家族向けサービスの条件を確認します。
預金保険ではどう扱われる?
預金保険制度では、利息の付く普通預金や定期預金などの一般預金等について、1金融機関ごとに預金者1人当たり元本1,000万円までと破綻日までの利息等が保護されます。
連名預金だからといって、口座残高の全額に対して「名義人数×1,000万円」の保護枠が自動的に与えられるわけではありません。実際の預金者と各人に帰属する金額を確認し、それぞれが同じ金融機関に持つ他の預金と名寄せして保護額を判定します。持分や帰属が不明確な場合は、確認に時間がかかることがあります。
法人格がなく、権利能力なき社団・財団にも該当しない任意団体の預金は、各構成員の連名預金として扱われる場合があります。この場合も、団体名だけで独立した1預金者になるとは限りません。
税金や相続は名義だけで決まらない
夫婦連名にすれば、残高が当然に半分ずつの財産になるとは限りません。誰が資金を出したか、誰に財産上の利益が移ったか、当事者間でどのような合意があったかなど、実態によって判断が変わります。
一方が出した資金を他方の財産とする場合、贈与税の問題が生じることがあります。名義人の死亡時も、海外のジョイント口座と日本の相続手続きを同じ感覚で考えるのは危険です。金額が大きい場合や海外口座が関係する場合は、金融機関、税務署、税理士、弁護士などへ個別に確認します。
夫婦で家計を管理する現実的な方法
日本の銀行で連名口座を作れない場合は、次のような方法があります。
- 生活費専用の一人名義口座を決め、二人が毎月定額を振り込む
- それぞれの個人口座を維持し、家賃や光熱費などの担当を分ける
- 金融機関が認める代理人カードや代理人指名制度を利用する
- 入金額と支出を家計簿などに記録し、資金の負担関係を残す
口座を一つにまとめると管理は楽になりますが、名義人が死亡した場合や、関係が変化した場合の手続きも考えておく必要があります。便利さだけでなく、誰のお金か、誰が操作できるかを分けて決めるのが実用的です。
まとめ
連名預金は、二人以上が一つの預金口座の名義人となる仕組みです。一人名義の家計口座や代理人カードとは、預金者としての立場が異なります。
日本では連名口座を新規開設できない金融機関が多いため、まず取扱いの有無を確認しましょう。預金保険、贈与税、相続では名義だけでなく、資金の実際の帰属や契約内容が問われます。2026年8月2日以後の取扱いは、利用する金融機関や関係機関へ確認してください。
出典
- 金融庁「預金保険制度」(2026年8月2日確認)
- 三井住友銀行「共有口座は作れますか?」(2026年8月2日確認)
- SMBC信託銀行「取引規約集」(2026年8月2日確認)
- 北洋銀行「預金保険制度について」(2026年8月2日確認)
- 国税庁「夫婦財産契約と贈与税」(2026年8月2日確認)