CIPSとは
CIPSは「Cross-Border Interbank Payment System」の略称で、中国人民銀行の承認を受けた運営機関が、人民元の越境・オフショア決済などの清算と決済を提供するシステムです。2015年に稼働し、銀行などの金融機関が国境をまたいで人民元をやり取りする際に使います。2026年10月8日時点では、2026年2月施行の業務規則が現行ルールです。
たとえば、中国企業に代金を人民元で支払う場合、関係する銀行がCIPSを通じて資金の決済を処理できます。実際の手続きは銀行間で行われ、個人がCIPSに口座を開いて直接送金するものではありません。
参加者と決済の流れ
CIPSの参加者には、システムに口座を持って直接取引する「直接参加者」と、直接参加者に委託して利用する「間接参加者」があります。利用する企業や個人は、取引銀行などを通じて決済サービスを受けます。
処理方式は一つではありません。CIPSは、個別の支払いを一件ずつ処理する方法や、複数の支払いをまとめて差し引き計算する方法などを使い分けます。金融市場の取引では、資金と証券の受け渡しを連動させる決済にも対応しています。
SWIFTとの違い
SWIFTは、銀行などが国際送金の指図や取引情報を安全にやり取りするための通信網です。SWIFT自身が資金を移動するわけではありません。一方、CIPSは人民元取引の資金清算・決済を行う基盤です。役割が違うため、「CIPSがSWIFTを置き換える」と単純に言い切ることはできません。銀行は取引や接続状況に応じて複数の仕組みを利用します。
投資ニュースで見るときの注意
CIPSの取扱額や参加金融機関の広がりは、人民元を使った貿易・金融取引の動向を知る材料の一つです。ただし、システムの利用拡大だけで人民元の国際的な地位や為替レートが決まるわけではありません。通貨の使われ方には、貿易量、資本規制、金融市場の厚み、各国の制度や政策なども関わります。
ニュースで「脱ドル」や「SWIFT離れ」と結びつけられていても、CIPSの数字だけから市場全体の変化を判断するのは早計です。決済システムの役割、対象通貨、比較する期間を分けて読むと、見出しに引きずられにくくなります。
まとめ
CIPSは、銀行などが人民元の越境取引を清算・決済するための金融インフラです。銀行間通信網のSWIFTとは役割が異なり、個人向けの送金サービスではありません。投資材料としては、人民元決済の広がりを示す一つの指標として扱い、為替や通貨の将来を単独で予測する材料にしないことが大切です。
出典
- CIPS「人民币跨境支付系统业务规则」(2026年2月1日施行)
- CIPS「加入CIPS」
- Swift「Who we are」